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サイボーグ 009ノ5 [c o m i c]



  • ‥‥タイタン、キュクロペス、プロメテウス、ギリシャ神話の巨人たちだが‥‥こうした巨人族に関する神話や伝説の類いはどこの国にもある‥‥。──またスペインの年代記にはマヤ族の神殿で発見した巨人の骨のことが記録されているのだが‥‥。──で‥‥「かつて地球には巨人が実在した」という仮説が生まれる。伝説や古記録にも残るほど、かれらは相当の期間われわれ人類と同じ時間を生きていたのだというわけだ!──〈ジャイアントピテーク〉の化石は1966年9月インドの生物学者たちによってパンジャブ州チュウルチャオンのボクハ村で発見された。──体長4メートル、肋骨の長さ1メートル。──たとえばバビロニアから発掘された粘土版には "あらゆる知識は巨人によってもたらされた" とあった。‥‥こうなるともはや伝説とはいえなくなってくる‥‥。そして、また──その仮説の科学的な裏づけもある‥‥。人類学でいうところの〈メガントロープ〉や〈ジャイアントピテーク〉‥‥。さよう‥‥ということは巨人は実在した──と断定してもいいということだ。
    石森 章太郎 「北の巨人コナン編」


  • 「北の巨人コナン編」(週刊少年サンデー 1979)
  • カラー・イラストやアニメなどで見ることが出来るゼロゼロナンバー・サイボーグたちのユニフォームは真紅で首に巻いたマフラーは黄色、髪の色は人種や国籍によって異なるが、島村ジョー(009)は赤味がかったブロンドだった。ところが通常のモノクロ・ページではグレー(アミ)だった009のヘア・カラーが白くなってしまった。塗り絵のような白い髪は少し肥ったような体型以上に違和感がある。札幌空港に降り立ったギルモア博士と島村ジョーは右京博士の助手・滝沢レミに出迎えられる。考古学者の右京博士がギルモア博士に見せたいものがあると連絡して来たのだ。北海道の大雪山で新しいスキー場のための山小屋やホテルの建設工事中に「古墳」らしきものが見つかったという。「アイヌ民族(北方民族)と日本人の繋がりを解く大発見?」かもしれない。調査団が発見したのは巨大な石棺の中に安置された巨人だった。

    全身に縫合手術の傷痕があるフランケンシュタインのような怪物は改造人間(サイボーグ)か、あるいは人造人間(ロボット)ではないかと右京博士は推論するが、ギルモア博士が説明したように神話や伝説に登場する巨人族の末裔である可能性も否定出来ない。しかし、目覚めて動き出した巨人コナンは新聞記者を騙って潜入した花角博士の造ったサイボーグ、始末されるはずだった失敗作のデク人形だった。花角博士が石棺の中にコナンを隠したのだ。出来の悪いコナンは造物主の花角博士をパパと思い込み、滝沢レミをママと勘違いして殺してしまう。「新・黒い幽霊団」(ネオ・ブラック・ゴースト)の新しい計画だと知った009は泣き叫んで狂乱するコナンをダイナマイトで破壊する。爆発のショックで雪崩が起こって「古墳」は雪に埋もれてしまう。「ボクも──身体の半分は機械‥‥「新・黒い幽霊団」に改造されたキミとは "兄弟" の──改造人間なんだよ‥‥」。

                        *

  • 「黄金の三角地帯編」(週刊少年サンデー 1979)
  • アメリカへ旅立つギルモア博士を見送った帰りに、東京・新宿の中華飯店「張々湖」に立ち寄った島村ジョーは張大人(006)と旧交を暖め、ギルモア研究所のフランソワ(003)に電話で連絡する。その直後、出刃包丁を握りしめた強盗が「張々湖」に押し入る。2人がヤク中の青年を捕らえるとパトカーのサイレンが鳴って、近所の五菱銀行新宿支店に散弾銃を持った若い男が行員を人質にして立て籠ったことを支配人が張々湖に報せる。ジェット・リンク(002)がギルモア博士をNYのブロンクスに連れて行く。戦闘服に着替えた009が銀行に潜入して人質犯を倒す。ドクター・コヤナギと再会したギルモア博士。ジェロニモ・ジュニア(005)に後を任せたジェットはマックスのアパートを訪れるが、荒んだ部屋には誰もいない。ジェットの姿を見て逃げ出した黒人のジムから「世界至福教会」のハルヴァ神父に仲間たちが殺されていると聞かされる。

    ジェットに掴まって問い詰められてもシラを切る神父は救急車の救助隊員に射殺されてしまう。ギルモア邸に戻った島村ジョーにハインリヒ(004)から国際電話が来る。グレート・ブリテン(007)と一緒にロンドン滞在中のハインリヒは「フレンチ・コネクションが最近奇妙な動きを始めた」という情報をジョーに伝える。事件はグレートがシアター・クラブの出演中に起こった。麻薬常習者の踊り子がヤクの売人を射殺してしまったのだ。ネズミに変身した007がフレンチ・コネクション幹部の会話を盗み聞きしたところによると、「黄金の三角地帯」を "影の存在" が支配しているという。走り去った救急車の後を追ったジェットは拉致した若者たちを「黄金の三角地帯」へ輸送していることを神父の一味から聞き出す。ハインリヒがアフリカのセレンゲティで密猟取締官をしているピュンマ(008)を呼び出して全員集結した9人のサイボーグ戦士たちはギルモア博士と共に新ドルフィン号に乗り込み、ビルマを中心にタイ、ラオス、中国などの国境が接する「黄金の三角地帯」へ向かう。

    ビルマ山岳地帯の小村に着いた009たち一行はKMT国民党に襲撃される。国民党の隊長によると政府軍が麻薬撲滅運動のスローガンを掲げる一方、「影の軍隊」が別ルートで政治屋どもを操っているという。「影の軍隊」に奇襲攻撃された009たちはドルフィン号に乗り組み、隊長の案内でケシを栽培してアヘンやヘロインを精製している地下工場を目指す。「影の軍隊」との戦闘中、009は拉致された父親と兄を救けに行く少年・段茂修と出会う。少年の道案内で地下工場内に潜入した009たちはケシ畑で強制労働させられている若者たちを救出し、時限爆弾を各所に仕掛けて爆破させる。「影の軍隊」と地下工場は破壊されるが、視察に来ていた「新・黒い幽霊団」の閣下だけは黒い専用機で脱出する。「‥‥もし、すぐこの時に追跡していたら──9人のサイボーグ戦士たちにとっては、最後の闘いとなるはずの "神々" との出会いがもう少し、早くなっていたことであろう‥‥」。

  • 「サルガッソー異次元海編」(少年ビッグコミック 1979)
  • ギルモア研究所が黒い戦闘機に空襲される。009、004、007、008の4人はドルフィン号に乗り込んで迎撃に向かう。海中から浮上して飛行態勢に入る。ドルフィン号が撃墜したプロペラ機は第2次世界大戦中(1945)に「魔の三角海域」で行方不明になったTBMアヴェンジャー機だった。002が捕虜にしたパイロットは「キサマたちは世界の平和を乱す敵だと言われた。だから殺せと‥‥」と告げる。怒った006が防護マスクを脱がすとパイロットは瞬く間に老化して死ぬ。009のどこから来たのだという問いかけに「サルガソー」という謎の言葉を呟いて。原子力潜水艦WWP593スレッシャー号が魚雷を発射する。原潜の後を尾けて行った場所は消失した「船の墓場」。船上から銃撃して来たのはサルガッソー異次元海に捕らえられた人間たちだった。ある日、使者と名乗る髑髏マスクの男が現われて、009たちを殺すという条件を呑めば異次元空間と正常空間を自由に出入り可能な〈人工トンネル〉のメカニズムを使って諸君たちを解放しても良いと言う。異次元空間に現われたスレッシャー号が魚雷を放ち、ドルフィン号は爆発の衝撃で正常空間に吹き飛ばされる。

                        *

  • 「極北の幽霊編」(週刊少年サンデー 1979)
  • 198X年、アラブ首長国連邦のアブダビ油田で原油が固形化してしまう。ニューヨーク、パリ、ロンドンは同時に大吹雪に見舞われ、オーストリア、インド、アフリカでは大暴風雨が荒れ狂う。世界中の油田がストップして、異常気象が発生!‥‥東京は停電になって暴動が起こった。中華飯店が暴徒に襲われて張々湖がギルモア研究所に逃げ帰って来る。太陽熱発電のギルモア邸に集結したゼロゼロナンバーたちは「新・黒い幽霊団」の仕業ではないかと疑う。厨房に侵入した強盗2人組を003と006が撃退する。「世界の7大都市は今やすべて無人の廃墟と化しつつあり」‥‥1日に3回、5分間だけ放送されるTVニュースの映像が混信してレーダーは狂い、電波望遠鏡にも怪電波が流れる。幸い電離層の抜け出たのは軍事用核ミサイルではなく、宇宙空間へ向かったロケットだった。突然目覚めた001が2つの地点で受信した同一電波の干渉具合から発信源を割り出せるとギルモア博士に教える。

    1人の女性がギルモア研究所を訪れる。世界中にパニックが起こったら、ギルモア博士を訪ねるようにという手紙を「母親」から受け取った栗島安奈は同封されていたメモを手渡す。「北緯84度10分、西経160度15分」‥‥メモに記されていた数字はコンピュータが解析した妨害電波の発信源と全く同じだった。施設で育てられたアンナは死んだと聞かされた母親に会えるのではないかと思い、009に一緒に連れて行って欲しいと願い出る。ドルフィン号はジェット気流に乗って北極アメラシアへ向かう。009、002、007の3人が偵察に出る。002が動物たちの死骸を上空から発見する。3人の目の前で電磁バリアーに触れた北極キツネがレーザーガンに自動照準されて焼け死ぬ。少し離れた地点に着氷したドルフィンII号から006が来て地下の氷を溶かす。トンネルを降りた009たちが見たのは電磁バリアー・ドームで防御された巨大な地下基地だった。周囲の氷が溶けてドルフィンII号が海中に沈み、再び氷の中に閉じ込められる。

    009たちが容易く地下基地に潜入出来たのは004が察した通り敵のワナだった。ギルモア博士や003を人質に取られて捕虜となってしまった009たち。基地内にあるスペース・シャトル、核融合炉室、重水タンク庫などを敢えて見学させたのはギルモア博士に「私の現在の力を知ってもらうためなのよ」と「新・黒い幽霊団」の女ボスが嘯く。彼女はドイツの理科学研究所で理論物理学を専攻し、第2次大戦中ナチスに招かれて水爆を完成させ、戦後アメリカに渡ってMIT(マサチューセッツ工科大学)の研究所長となり、1970年夏アラスカで休暇中に行方不明になった、かつてギルモア博士の同僚として「黒い幽霊団」の研究所で働いていた天才女性科学者ジュリア・マノーダだった。我々の仲間にならないかという誘いをギルモア博士は拒絶する。母親と初対面したアンナは両手を拘束している電磁ロックを解かれると豹変してレイガンを奪い、ジュリア・マノーダに銃口を向ける。

    レーザー・ビームが母親の顔面を直撃すると右半分を覆っていた仮面と黒いサングラスが外れて、ケロイド状に焼け爛れた醜い顔が露わになる。顔の疵痕は子供の頃に弟と火薬を作っていて遊んでいる時の爆発によるものだった。弟は即死し、姉も顔面に大火傷を負う。世界を支配するというジュリア・マノーダの野望は組織の裏切りや整形手術に失敗したギルモア博士に対する復讐心からだった。弟を殺してしまったという火傷以上の深い傷を心に負ってしまったジュリアは恋心を抱いていたギルモア博士や娘のアンナにまで拒絶されて自暴自棄となり、自爆ボタンを押す。中央制御室で再び対峙したアンナは自らの命を絶って母親を正気に戻す。ジュリアは固形化した石油を液化する方法をギルモア博士に告げ、狂った気象制御衛星を破壊することでブリザードやハリケーンなどの異常気象を静める。爆発した北極アメラシアの地下基地から脱出したドルフィン号にオーロラの幕が静かに降りる。

                        *

  • 「愛の氷河編」(週刊少年サンデー 1979)
  • 「週刊少年サンデー」に連載された短篇読み切りシリーズはゼロゼロナンバーたち1人1人を主役にしたエピソード集である。改造能力を自ら封じて登山に挑むジェット・リンクは切り立った崖から落ちて飛行能力を使わざるを得なかった。吹雪の吹き荒む中、避難用の山小屋に辿り着いたジェットは先在者の娘エヴァ・クラインと出会う。ヘリコプターを雇って山頂まで来た彼女は朝日の昇るところと夕陽の沈む光景を1度眺めてみたかったと言う。就寝中に高熱を発したエヴァに余り時間は残されていなかった。医者に余命1カ月と宣告されたからだ。山小屋のバルコニーから朝日を見つめるエヴァとジェットの2人。夕陽を見た夜にエヴァはバルコニーから身を投げてしまう。ジェットの飛行能力でも救うことは叶わなかった。「生命のない女と──部品さえ交換さえすれば、いつまでも生きられる男の出合い」‥‥ジェットはエヴァの亡骸を抱いて空を飛び、氷河の中に埋葬する。

  • 「機々械々編」(週刊少年サンデー 1979)
  • 古城で自分と瓜二つの敵と闘うアルベルト・ハインリヒ。稲妻と雷鳴の夜、ズブ濡れのギルモア博士がハインリヒの許を訪れる。ある実験のために頼まれて004と全く同じ戦闘能力を持つロボットを造ったが、制御不能に陥って逃げ出してしまったというのだ。マシンガン腕、レーザー・メス、小型ミサイル、レーダー耳、照準眼‥‥互角の能力を備える者同士の対決ならば長引けば長引くほど半機械人間の004の方が不利に働く。戦闘マシンとしては敵の方が絶対有利なはずだ。2人の違いはサイボーグとロボット‥‥フクロウの巣を無造作に踏みつけたロボットは母鳥に襲われて左腕のレーザー・メスで斬り殺す。その瞬間だけ攻撃が遅れ、004の右腕マシンガンで破壊される。人間ならば騒がしく鳴くフクロウの雛を情け容赦なく踏み潰したりはしないだろう。逆に鳴き声が途絶えたことで、004に位置を知られたのだ。手の込んだ対決を仕組んだギルモア博士も生身の人間ではなく、ロボットだった。

  • 「眼と耳編」(少年ビッグコミック 1979)
  • 崖から飛び降りた青年の叫び声をフランソワーズ・アルヌールが聴く。落下の途中で松の木にぶつかり、岩場に倒れていた青年をジェロニモ・ジュニアが救出する。一命を取り留めた青年は目覚めるとフランソワーズが名乗る前に彼女の名前を口にする。絵の勉強のためにパリに留学したユウジは才能にも恵まれず、捨てて行った日本の恋人は自殺し、パリジェンヌも利用してダメにした。慰めるフランソワーズの肩に手を触れたユウジは島村ジョーという恋人の存在を知る。崖から落ちた時に頭を打った後遺症なのか、テレパシー能力に目醒めてしまったユウジ。就寝中に魘された青年はフランソワーズに幽霊が、昔の恋人の亡霊がボクを呼んでいると告げる。フランソワーズに救いを求めるユウジ。自殺した恋人の京子がフランソワーズを殺してと命じる。彼女を刺して逃走したユウジの前に1人の女が現われる。同じ能力を持った仲間を集めていると話す女性。009と005は逃げたユウジを追うが、組織の男たちに行く手を阻まれる。崖の上のユウジは女を道連れに眼下の海へ落下する。

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    • 「石ノ森シリーズ」の第14弾は「サイボーグ・ゼロゼロナイン5」です^^

    • 「石ノ森章太郎萬画大全集」(角川書店 2007)をテクストに使いました
                        *


    サイボーグ 009 17 ── 石ノ森章太郎萬画大全集 8-1

    サイボーグ 009 17 ── 石ノ森章太郎萬画大全集 8-1

    • 著者:石森 章太郎
    • 出版社:角川書店
    • 発売日:2007/11/30
    • メディア:コミック
    • 目次:北の巨人コナン編 / 黄金の三角地帯編 / サルガッソー異次元海編 / イラストコレクション


    サイボーグ 009 18 ── 石ノ森章太郎萬画大全集 8-2

    サイボーグ 009 18 ── 石ノ森章太郎萬画大全集 8-2

    • 著者:石森 章太郎
    • 出版社:角川書店
    • 発売日:2007/11/30
    • メディア:コミック
    • 目次:極北の幽霊編 / 愛の氷河編 / 機々械々編 / 眼と耳編 / イラストコレクション

    コメント(2)  トラックバック(0) 

    コメント 2

    ツムジ

    いい写真だな〜〜。
    や〜〜いい写真だと思います。
    by ツムジ (2013-11-08 22:59) 

    sknys

    今まで素っ気ない態度だったのに、
    帰ろうとすると、こんな表情をするんです。
    by sknys (2013-11-09 13:19) 

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