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コンフェデ杯の夜(2 0 1 3) [s o c c e r]



6大陸の王者とW杯優勝国、開催国の8チームが対戦するコンフェデレーションズ・カップ(FIFA Confederations Cup 2013)がブラジルで行なわれている。コンフェデ杯はドイツ大会(2005)からW杯の前哨戦という位置づけになって、4年に1度、W杯の前年に開催されることになった。参加8ヵ国がA・B、2グループに分かれてリーグ戦を行ない上位各2チームが準決勝へ進出する方式は、32ヵ国が出場するW杯の1/4の規模。全16試合、2週間(6/15~30)に渡るプレ大会である。1次リーグの組み分けはA組・ブラジル、日本、メキシコ、イタリア、B組・スペイン、ウルグアイ、タヒチ、ナイジェリアで、AFCアジアカップ 2011で優勝した日本は強豪国の集まるAグループに入った(UEFA EURO 2012 準優勝のイタリアは優勝したスペインが前W大会優勝国だったので繰り上がりで出場権を獲得した)。南アフリカ大会(2009)は日本が不出場ということもあってか、地上波TVの放映は準決勝と決勝戦を含む5試合のみだったが、今回は日本戦全試合が地上波(フジTV系列)で、全16試合がNHK BS1で完全生中継される。

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  • ○ ブラジル 3 ─ 0 日本(6/15 ブラジリア)
  • 前半3分、DFマルセロの左サイドからのクロスを中央にいたFWフレッジが胸で落とし、FWネイマールがボレー・シュートをゴール右上に放つ。電光石火の早業だった。セレソンは戦術以前にスピードで日本を圧倒していた。走る速さだけではない。トラップ、パス、フェイント、ドリブル、シュート、ダイレクト・パスを繋ぐ状況判断の速さと精確さ。相手に詰め寄る暇を与えない自在のフットワーク。ボールを受けてからパスコースを探している日本選手とは雲泥の差だった。後半3分、先制点と同じようにDFダニエウ・アウヴェスの右サイドからのクロスを受けたMFパウリーニョが左足でトラップしてシュート‥‥ボールはGK川島永嗣の手を弾いてゴールインする。同48分にはマルセロからパスを受けたオスカルが左サイドをドリブルで駆け上がり、ペナルティ・エリア中央へスルーパス。途中出場のFWジョーが左足でノートラップ・シュートを決めた。W杯ブラジル大会(2014)での優勝を公言していたDF長友佑都は試合後にブラジルとの実力差を「中学生とプロのレヴェル」と自嘲気味に評した。大人と子供の差は1年で縮まるのだろうか。

  • ● メキシコ 1 ─ 2 イタリア(6/16 リオデジャネイロ)
  • W杯南アフリカ大会(2010)で1勝も出来ずに1次リーグで敗退したイタリアはプランデッリ監督を迎えて復活した。「カテナチオ」と呼ばれる堅牢な守備戦術に安住することなく、攻撃的なサッカーを目指す。その象徴的な存在がFWバロテッリである。守備ユヴェントス+攻撃ミラン+MFデ・ロッシ(ローマ)という布陣のイタリアは前半27分、バロテッリが倒されて得たFKをMFピルロがゴール左上に決めて先制するが、メキシコも同34分、ペナルティ・エリアに侵入したFWドス・サントスをDFバルザーリが倒して得たPKをFWエルナンデスが右隅に蹴り込んで同点とする。膠着気味の試合を決めたのは後半33分、MFジャッケリーニからの浮き球を相手DFと縺れ合いながらゴールへ蹴り込んだバロテッリだった。得点差は1点だったが、イタリアがメキシコを圧倒したゲームだった。ロンドン五輪(2012)で優勝したメキシコはショート・パスを繋ぐ本来のサッカーが出来ずに精彩を欠いた。

  • ○ スペイン 2 ─ 1 ウルグアイ(6/16 レシフェ)
  • 前W杯大会(2010)で優勝し、欧州選手権(2012)を連覇した王者スペインのサッカーはMFメッシの代わりにFWフェルナンド・トーレスが入ったと考えれば、国内リーグのバルセロナと余り変わらない。高速パスを回して相手ディフェンスの隙を突く高等戦術の中心はMFシャヴィとイニエスタの2人。ウルグアイ戦はトーレスに替えてFWソルダードが先発した。前半10分、FWセスクの放ったシュートは惜しくも左ポストを直撃するものの、同20分にはFWペドロのシュートが相手DFルガーノの右足に当たってラッキーなゴールとなる。同32分にはシャヴィのCKを起点にセスクからのパスを受けたソルダドが冷静にループ・シュートをGKムスレラの頭上に決めた。スペインの術中に嵌まってしまったウルグアイはセリエA得点王(2012-13シーズン)のFWカヴァーニと英プレミア・リーグ得点ランキング2位のFWスアレス(試合中に相手選手の腕に噛みついて10試合の出場停止処分になった)という強力な2トップを擁しながらも前線で孤立し、後半43分、DFセルヒオ・ラモスに倒されたスアレス自らがFKをゴール左に入れた1点に終わった。

  • ● タヒチ 1 ─ 6 ナイジェリア(6/17 ベロオリゾンテ)
  • FIFAランキング138位と31位の差が順当に表われた試合となった。オーストラリアがアジア枠に入った後のオセアニアと他5大陸との実力差は大きい。前半5分、タヒチのクリアボールが主審に当たる。DFエチエジレがミドルシュートを放つと今度は相手DF2人に当たってコースが変わってゴールイン。同10分、MFオドゥアマディが相手のパスミスを奪ったFWアフメド・ムサからのパスを受けて追加点。同26分には同じくムサの左サイドからのセンタリングをGKサミンがハンブルして、オドゥアマディが3点目を入れた。それでも気落ちすることなく果敢に攻め続けるタヒチは後半9分、FWマラマ・バヒルアの左からのCKをMFホナタン・テハウがヘディングで決めて一矢報いる(タヒチのFIFA国際大会初得点!)。その後は同24分にオドゥアマディのクロスがホナタン・テハウのオウンゴールを誘い、同31分には途中出場したFWイデイエ・ブラウンの左サイドからのスルーパスをオドゥアマディが足で合せてハットトリックを達成、同35分には再びエチエジレが自身2点目となる6点目を入れた。

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  • ○ ブラジル 2 ─ 0 メキシコ(6/19 フォルタレザ)
  • 前半9分、DFダニエウ・アウヴェスの右サイドからのクロスボールをDFフランシスコ・ロドリゲス(マサ)が頭でクリアするも中途半端。浮き球をFWネイマールがダイレクト・ボレーでゴール左に突き刺す。ネイマールの先制点は日本戦の再現を想わせたが、その後は徐々にメキシコが攻勢に出る。同34分、自陣CKの競り合いで負傷したDFダヴィド・ルイスが鼻血を出し、治療のためにピッチから離れていた約10分間はメキシコに押し込まれて何度かピンチに陥った(試合後に鼻骨骨折と判明)。不穏な空気、嫌なムードがピッチ内に漂ったが、セレソン内には1人少ない間は無理に攻めずに守りに徹するという暗黙の意思疎通があったのかもしれない。後半もメキシコが優位に試合は進めた。しかし、アディショナル・タイムの48分、ネイマールが左サイドからドリブル〜フェイントでDF2人の間を抜き、ペナルティエリア内に侵入してラストパスすると、ゴール前で待っていたFWジョーが左足で合せて駄目押し点を決めた。

  • ○ イタリア 4 ─ 3 日本(6/19 レシフェ)
  • ブラジル戦では刀を抜く前に破れてしまったサムライブルーが真剣勝負の斬り合いに出た。優勢に試合を進めた前半21分、DFマッジョのミスパスを奪ったMF岡崎慎司がペナルティ・エリア内でGKブッフォンに倒されて得たPKをMF本田圭佑が冷静にゴール右に決めて先制。同33分にはショートCKの流れからMF香川真司が反転シュートを鮮やかにゴール右隅に突き刺す。同41分、フランスはMFピルロの右からの素速いCKをMFデ・ロッシがヘッドで合せて1点差に詰め寄った。突然降り出した雨が波乱を暗示していたのか、後半5分、MFジャッケリーニがDF吉田麻也をゴールライン上で躱してゴール前にラストパスを送り、DF内田篤人のオウンゴールを呼び込む。同7分、交代出場したFWジョヴィンコのシュートをブロックしたMF長谷部誠がペナルティ・エリア内でハンドを喫し、FWバロテッリにPKをゴール左に決められる。アッという間の逆転劇だった。同24分にMF遠藤保仁の左サイドからのFKを岡崎がヘッドで合せて同点に追いつくが、同41分、デ・ロッシのスルーパスを受けたMFマルキージオの折り返しをジョヴィンコに入れられて再び勝ち越された。

  • ○ スペイン 10 ─ 0 タヒチ(6/20 リオデジャネイロ)
  • スペインはDFセルヒオ・ラモス以外の先発メンバー10人を入れ替えた。前半5分、FWフェルナンド・トーレスはFWマタとのワンツーで左サイトを切り裂き、ゴール左に突き刺す。同31分、FWヴィジャのスルーパスを受けたMFダヴィド・シルヴァ、33分にはマタのスルーパスに反応したトーレスがGKロチェを躱してシュート。同39分にシルヴァのセンタリングをヴィジャが入れて4─0とリードした。後半も4分、左サイドを突破したDFモンレアルの折り返しをヴィジャが追加点。同12分、後半から出場したMFヘスス・ナヴァスの右サイドからの折り返しをトーレスが合せてハットトリック。同19分にはロチェの後逸したボールを攫ったヴィジャも無人のゴールに流し込んでハットトリックを達成。同21分にはシルヴァとのワンツーで抜け出したマタが決めて8─0。同33分、DFアスピリクエタのクロスがMFアイタマイの右手に当たって得たPKをトーレスがクロスバーに当てて失敗。ところが直後の同34分、トーレスがドリブルでGKを躱して汚名返上のポーケル(4ゴール)。同44分にはナヴァスのパスを受けたトーレスのトラップからシルヴァが反転シュートして10点目を入れた。

  • ● ナイジェリア 1 ─ 2 ウルグアイ(6/20 サルヴァドール)
  • キックオフ直後からウルグアイが攻勢に出る。最初の約5分間は殆ど左サイドで試合が行なわれていた。前半19分、左CKのリフレクションをFWフォルランが再びゴール前にグラウンダーのクロスを送ると、FWカヴァーニがスルーしたボールをDFルガーノが左足で合せて先制。同37分、ウルグアイは中央でFWイデイエ(モヒカン刈り)のパスを受けたMFミケルがルガーノを躱し、左足でゴール左に蹴り込んで同点に追いつく。決勝点を入れたのはW杯南アフリカ大会得点王のフォルランだった。後半6分、FWスアレス、カヴァーニと繋いだパスを左サイドで受けたフォルランが左足でゴール左上に華麗に決めたのだ。ウルグアイは後半38分、スアレスに代えてDFコアテスを入れて守備を固める。ナイジェリアにも決定的なチャンスは少なからずあったが、シュートの精確性に欠けた。タヒチ戦でハットトリックを達成したMFオドゥアマディが前半45分に負傷退場したのも響いた。

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    • 地球の裏側での試合は「コンフェデ杯の夜」ではなく「‥‥の朝」だったりして^^;

    • 朝日新聞の人名表記は今回も変ですね。カバニ(Edinson Cavani)はないでしょう
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    2013 FIFA Confederations Cup

    2013 FIFA Confederations Cup

    • Host Country: Brazil
    • Dates: 15-30 June
    • Teams: Brazil / Spain / Japan / Mexico / Uruguay / Tahiti / Italy / Nigeria
    • Venue(s): Belo Horizonte / Brasília / Fortaleza / Recife / Rio de Janeiro / Salvador

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