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ネコ・ログ #28 [c a t a l o g]

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  • またまた会いに行ってきました! パリに住むおしゃまな猫たち、”パリにゃん”。今回もパリジャンたちとのほっこり和めるような、それでいてクスリと笑えるおかしな関係をじっくり拝見! な〜んて今では傍観者として、”パリにゃん” を楽しんでいた私ですが、フランス北西部にあるノルマンディー地方に引越しをしたところ、立場が一転してしまいました。予期もせず、田舎の家で子猫がわんさかと生まれたのです!〔‥‥〕他所の猫のかわいらしさをニヤニヤ眺めていた第三者が、まさに子猫たちに振り回されまくる当事者となってしまったから、さあ、大変! 生まれて初めて体験する猫との暮らしは、思っていた以上に大騒ぎで、思っていた以上に温かく幸せな日々でした。/ そんな猫との生活で思うことは、この不思議で魅力的な生き物に振り回されつつも愛さざるを得ない、滑稽な人間のこと。世の中は人間によって引き起こされる、ひどい事件や事故ばかりで、全体が悪い方へ、悪い方へと転がっていくようです。それでも、猫という小さな生き物に、いともあっけなく右往左往させられてしまう、哀れでお茶目な愛すべき人間でいる限り、まだまだ私たちも捨てたものではないかもしれません。
    酒巻 洋子 「猫と人間」


  • ♯244│ムンク│飼い猫 ── 目が縦に長いのだ
    アトムやドラえもんなどのマンガやアニメ・キャラみたいに縦に長い目。ネコ科の動物に限らず、多くの哺乳類の目は人間と同じようにアーモンドの形をしているはずなのに、ムンクちゃんはビックリして驚いたようなアニメ目になっている。チャコールグレーの毛色に赤い首輪(円形のプレートと丸い鈴付き)。黒い瞳の周辺部が緑色で、外周部は黄色に変化して行く。カメラと撮影者以外のもの、それが一体何かは分からないけれど‥‥を一心不乱に見つめている。ネコが目の前のカメラと撮影者以外の別の対象に意識を集中させている時は逆にシャッター・チャンスとなることが多い。目線が外れているという欠点はあるけれど、インパクトの強い印象的な写真が撮れたりする。撮影場所は民家の建ち並ぶ通りの裏路地で、背景の一部には使われなくなった古井戸が写っている。水色のポンプのある井戸(開口部はコンクリートで塞がれている)の上で毛繕いをしたり、微睡んでいることも少なくない。

    ♯245│アク│飼い猫 ── 猫目のグラデーション
    1匹のネコを撮っていると、どこからともなく他のネコたちが姿を現わすことがある。この日も黒猫ソランちゃんの写真を撮っている時にムンクとアクが興味深そうに近寄って来た。ボス猫と喧嘩をしてから左耳だけがスコティッシュホールドみたいに折れ曲がってしまったというアクちゃんはミステリアスな灰色ネコ。アニメ目のムンクよりも毛色が明るく、黒い瞳の周りの緑色部分も大きく鮮やか。外周部の黄色との美しいグラデーションを形成している。眉目麗しい猫目に魅入られて惹き込まれそうになる。神秘的な目をしたネコは繊細で神経質な性格なので、躰に触られるのを極度に嫌う。手で撫でようとすると、ニャンと鳴いて拒否表示する。写真の左右にあるフィルムのような黒い帯は民家の門で、黒い鉄柵の隙間から玄関の前にいるアクちゃんを撮っている。鉄門の内側は安全地帯と心得ているらしく、逃げることもなくカメラと撮影者を見つめているのだ。

    ♯246│エル│ノラ猫 ── 原っぱで腹這いに
    自由気儘な外ネコには緑の芝生や広い原っぱが良く似合う。コンクリートの建物とアスファルトの地面に囲まれた都会では背景色が灰色のモノトーンになってしまうことも多い。無味乾燥なコンクリート・ジャングルで見上げる空は暗鬱な鉛色‥‥台風一過や強風が吹いた翌日の青空は稀なパラダイス、緑の植物は貴重なオアシスである。澄み切った青い空や赤や黄色などカラフルな花々をバックにネコを撮りたいと思っても、都心ではロケーション的にも難しい。エルちゃんも稲荷公園の原っぱで寛いでいたのは僅かな時間で、直ぐに安全な敷地内‥‥関係者以外は立ち入れない鉄柵の向こう側へ避難してしまった。相対的に両耳が大きいので子猫に見えるが、チビ猫ではない。まん丸い顔と茶目っ気のある杏色の目も魅力的に映る。ちょっとピントが甘いような気もするけれど、グリーン(緑色)の映えたネコ写真なのでアップすることにしました。

    ♯247│ポン│飼い猫? ── ボンネットの上は特等席
    I神井川沿いにあるO無親水公園で数匹のネコたちが暮らしている。ポン、モト、アビの3匹は血縁関係にあるのかどうか定かでないが、とても仲睦まじい。いつも3匹で疑似家族らしきものを形成している。大柄なポンちゃんが母ネコ役、モトが長男でアビが長女という感じ。駐車中のクルマのボンネットの上で寛ぐポン母さんとアビちゃん。黒いボンネットはエンジンの余熱で温かく、見晴しも良い。往来する人々を真横から観察出来る。ツルツル滑り易いのが唯一の難点だけれど‥‥。ワゴン車のフロントガラスとボンネットに周囲の木々が映り込んでいる。右側のポンちゃんは物思いに耽り、左奥のアビちゃんは右前肢前肢を舐めている。束の間のリラクゼーション‥‥運転手がクルマに戻って来てエンジンを始動させると2匹は「安息地」から徐ろに跳び降りて、何事もなかったように離れる。

    ♯248│モト│ノラ猫 ── 可愛く撮ってね
    カメラを向けても嫌がったり、無視したりで‥‥気乗りしなかったモトちゃんも漸く観念したのか、被写体として静止してくれた(歩き疲れただけなのかもしれないが)。同じネコを撮っていても最初と最後、ファースト・ショットとラストでは表情が微妙に異なる。険しい目をしていたネコも時間が経つに連れて次第に柔らかい表情へと変化していく。30分くらいネバっていると、カメラを忌避していたモトちゃんも優しい目になってくれた。まるで「可愛く撮ってね!」とカメラマンに注文をつけるアイドル・タレントのように‥‥。良い写真が撮れた時はモデルとなったネコの頭を撫でて感謝の意を表わすことにしている。「世界ネコ歩き」(BSプレミアム)でトルコ、ギリシャ、イタリアなど地中海のネコを撮っていた動物写真家の岩合光昭さんも全く同じことをしたのでTVの前で思わず笑ってしまった。

    ♯249│アビ│ノラ猫 ── 黒と茶のネコ
    黒地に茶色の斑点模様のあるチビ猫アビちゃん。ボンネットの上の写真(ポンちゃんとの2ショット)では茶と黒の斑模様に見えるけれど、実際には黒い部分の方が多い。3匹の中では人懐っこい性格で、躰を撫でても嫌がったりはしない。3匹の疑似家族が暮らす地域はJR駅にも近く、春には多勢の花見客で賑わったり、2時間TVドラマのロケ地になったりすることもあるので、人間には馴れているのかもしれない。陽の翳った夕暮れ時‥‥辺りが少し暗くなってもミラーレス一眼ならば明るく鮮明な写真が撮れる。それでもNEX-5Nの標準ズームレンズ(E18-55mm F3.5-5.6 OSS)は暗いので、2013年に出るという噂のカールツァイスの標準ズームや「レンズロードマップ」に載っている高性能標準ズーム(Gレンズ)が待たれるところ。ネコ撮り用の明るいズームレンズが欲しいなぁ。ネコの瞳の大きさからも時間帯や天候状態が判断出来るのではないかしら。

    ♯250│イチゴ│飼い猫 ── 2年振りのイチゴちゃん
    2010年の夏以来、実に2年振りのイチゴちゃん。1昨年の夏には体調を崩して注射を3本も打ったと聞いていたので、心配していたのだった。民家の門柱の上で寝そべっている姿は優雅な夕涼みという風情‥‥でも、そこから動こうとしないし、頭や背中を撫でようとするとニャンと鳴いて嫌がる素振りを見せる。人懐っこいネコが躰に触れられるのを嫌うのは体調が優れないからなのかもしれない(懐いていたトミーちゃんも嫌がった)。iPhoto(9.2)で自動補正してあるので明るく写っているが、実際には陽も落ちて周囲は薄暗い。黒・茶・白の3色がパッチワークのように美しい幾何学模様を作っている三毛猫は日本国内だけでなく世界的にも少なくなっているという。イチゴちゃんには元気になって欲しいなぁ。これからも彼女の写真を撮って行きたいと思う。

    ♯251│サイ│飼い猫 ── お外に出して!
    家の中で飼っているネコを外へ連れて行く時は、イヌの散歩と同じようにリード(引き綱)を着けるのも有りではないかと思う。屋内と外界を自由に出入りする放し飼いのネコは兎も角、外の世界を知らないネコや不慣れなネコはパニックを起こしてしまうかもしれないから。交通事故や行方不明(失踪・迷子)などのリスクを考慮すると、ネコにとっては多少不自由でも飼主に繋がれた状態の方が安全ではないかしら(山岸凉子の愛猫ケイトちゃんは背中のリックの中に入り、首だけ出して移動するという)。集合住宅の半開きのドアから外の様子を窺っているサイちゃんの首輪はリードに繋がれていて、自由に通路を動き回れない。ドアの隙間から顔を覗かせたり、ドアの前で寝転がったり‥‥。ちょっと可哀想な気もするけれど、好奇心はネコ一倍旺盛で人懐っこい。サイちゃんは散歩へ連れて行ってもらえるのでしょうか。

    ♯252│ソラン│飼い猫 ── ピントは左目に合っている
    一眼レフ・カメラの特徴は背景のボケ具合にある。都会の雑踏や繁華街のケバケバしい看板など、煩瑣で目障りなバックを暈して被写体だけを際立たせることが出来るのは大きな魅力でもある。しかし、背景がボケるということは逆に言うとピントの合う範囲が狭いということでもある。この写真でもピントは黒猫ソランの左目に合っているが、右目の方はボケている(真正面から撮れば左右の目に焦点が合う?)。ポートレイト写真の基本は人でも動物でも目にピントを合せることらしいけれど、顔のクローズアップは難易度が高い。それでもミラーレス一眼で最初に撮った「ソランちゃん」よりは自然で柔和な表情になっている。撮影技術が上達したというよりも、モデルの良さやネコとの信頼関係に負うところが大きいのかもしれない。身を屈めて目線をソランに合わせると前肢を衣服に凭れかけて、2本脚で立って挨拶するのだから‥‥可愛いにゃん。

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    各記事のトップを飾ってくれたネコちゃん(9匹)のプロフィールを紹介する「ネコ・カタログ」の第28集です。サムネイルをクリックすると掲載したネコ写真に、右下のナンバー表の数字をクリックすると該当紹介文にジャンプ、♯ネコ・タイトルをクリックするとトップに戻ります。ノラ猫や地域猫、飼い猫を差別しない方針で、これまでに延べ250匹以上のネコちゃんを紹介して来ましたが、こんなにも多くのネコたちが棲息していることに驚かされます。第28集の常連ネコはイチゴとソランちゃん。ムンクとアクも揃い踏みです。『パリにゃん II』(産業編集センター 2012)は仏在住のフリー編集ライターがパリのネコたちを紹介するシリーズ第2弾。コラム「ノルマン猫、"パリにゃん" になる」ではノルマンディーの家の外猫ミヌーが産んだ6匹の子猫を里子(4匹)に出す顛末が語られます。表紙カヴァでは隠れているけれど、愛猫カミーユを頭に乗せている少女チェレストの赤いキャミソールにはエミリーと黒ネコ(Emily the Strange)がプリントされているのだ。

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    • 記事タイトルの右に一覧リストのリンク・ボタン(黒猫アイコン)を付けました^^

    • オリジナル写真の横縦比は3:2ですが、サムネイルは4:3にリサイズしています
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    パリにゃん II

    パリにゃん II

    • 著者:酒巻 洋子
    • 出版社:産業編集センター
    • 発売日:2012/02/20
    • メディア:単行本
    • 目次:猫と人間 / はじまりはココからパリ・猫区(9区)/ 個性派猫が住むパリ・お洒落区(1・3・7・18区)/ 猫情が溢れるパリ・下町区(10・12・20区)/ 猫ドラマが繰り広げられるパリ・家族区(13・16区)/ 猫共存のゆったり空間パリ・郊外 / COLUMN・ノルマン猫、"パリにゃん" になる

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