「犬畜生」という言葉があるように、とかく人間は、自分たちだけがひじょうに複雑な感情世界をもっていると考えがちである。しかし実際にはネコだって、怒りもするし泣きもする。不安になったり嬉しがったり、あるいはめげたり、失敗したら恥ずかしそうな顔をしてみたり‥‥ときには自己嫌悪の表情すらみせることもある。もちろん自尊心だってあるはずだ。/ ネコたちと一緒に暮らして、彼らをずっと見ていると、ネコも人間も、その経験する感情世界というものには、ほとんど変わりがないという気がする。/ ネコたちはいろんなものを見ている。ぼくが興味をそそられるのも、やはりその点にある。ネコが人間のやっていることをじっと見ているとき、彼らは何を考え、何を感じているのだろうか? 世界をどう認識し、どんな世界観をもっているのだろうか? それを考えると興味が尽きない。
日高 敏隆 「ネコの見る世界」
sknynx 2005 - 20062005年11月18日に登録・開設、12月1日に
〈猫のゆりかご〉を初投稿した。実質的には2012年12月1日で丸7年になるが、
〈CATS ー LOG〉を過去記事として登録日にアップしたので、記録上では今月(2012)18日に7周年を迎えたことになる。初年度は
〈タイヤキ焼いた〉に始まる「回文シリーズ」を隔月、写真のネコたちを紹介する「ネコ・ログ」を季刊(年4回)、猫本や猫ジャケ
(ネコード)を紹介する
「猫ゆりシリーズ」などをアップした。当初は書き溜めてあった記事を投稿するだけだったけれど、次第にブログの管理・更新も楽じゃないなと思うようになった。「no nice! 宣言」や「ブログ・カスタマイズ」など、記事以外のことで悩むことになるとは思いもしなかった。個人的な年間ベスト・アルバム10を選ぶ
「Rewind シリーズ」や外コメント集
「スニーズ・コメンツ」も始めた。期せずしてというか、結果的にスニンクス
(s k n y s - s y n k s)は「ネコと洋楽と回文」のブログになった。
sknynx 2006 - 20072年目は
〈スはスニーズのス〉で記事100件、
〈PAGE VIEW 100000〉で10万pvを達成した。
〈すべてはFから始まる〉〈那古野の人々〉〈4シーズンズ〉の3記事で、森博嗣氏の人気シリーズ、犀川&萌絵(S&M)、紅子(V)、「四季」4部作を紹介。
〈少年ヴィーナス〉〈サイ・ビョークが行く〉〈メドゥーラ第5の首〉はビョーク・シリーズ。
「アーカイヴス・シリーズ」は少女マンガと洋楽アルバムのコラボ・エッセイをブログ用に加筆・改稿したものだが、今読み返すと若気の至りという感じ。
〈ダリとリア〉〈ルドンの蜘蛛〉など、展覧会の観覧記事もアップした。TVアニメ
「009-1」(TBS 2007)に触発されて書いた
〈ミレーヌの憂鬱〉が人気記事になったこともあって、
「石ノ森シリーズ」を始めることになる。「回文シリーズ」は隔月から年4回へスローダウンしたものの、
「回文かるた」や
「なぞなぞ回文」などの副産物(スピンオフ)が生まれた。
sknynx 2007 - 20082008年2月末に実施された「大リニューアル」はソネ風呂ガーを大混乱に陥れた。デフォルト仕様のブログへの影響は少なかったが、非公認のカスタマイズをしているブロガーほど被害を大きかった。リニューアル後にメイン記事+サイド欄が全く表示されなくなった時は文字通り「真っ白」になっちゃいました。
「ムンク展」に感激したり、
「The Art Of ZTT展」にガッカリしたり、ロアルド・ダール関連で2つの発見(ロアルド・ダールのエッセイに
〈オレンジとレモン〉の唄が、808 Stateの曲にワンカ氏の台詞が引用されている)をしたり、「猫ジャケ」(ネコード)萌えしたり、ハロウィン、ヴァレンタイン、ブラック(白抜き)など、記事限定の
「オリジナル・スキン」を作ってみたり‥‥。
〈101匹ニャンちゃん大行進!〉はネコ写真が100枚を越えたらやってみたかったネコ・カタログ一覧。「アーカイヴス・シリーズ」を全10回で終了して、
「COMを読む」の連載を始めた。
sknynx 2008 - 2009「COMを読む」シリーズは無謀な企画だったかもしれない。月刊誌1年分(12冊)を1回の記事で紹介するのは予想以上に難しかった。それでも手塚治虫、石森章太郎、永島慎二の連載に加えて、岡田史子、宮谷一彦、青柳裕介、やまだ紫などCOM出身の新人マンガ家の短篇や連作を久しぶりに再読出来たのは有意義だったし、大友克洋のデビュー前の投稿作品「海が‥」(1971)を見つけたり、萩尾望都の「10月の少女たち」が「火の鳥」の穴埋めに使われたボツ原稿だったという逸話を知った。大ベスト・セラー長編小説
『1Q84』を読む傍ら、山田風太郎の
「忍法帖シリーズ」にハマっていたのも可笑しい。女刺客の青豆は現代版くノ一に似ていなくもないけれど‥‥。美術関連の記事は
〈ミレイドスコープ〉と
〈夏の終わりのトロンプ・ルイユ〉をアップした。前者から派生した
〈オフィーリア・クイズ〉は面白いはずだと思っていたが、読者のレスポンスは鈍かった。
sknynx 2009 - 2010「回文シリーズ」は
〈復学薬学部〉で200回文、
〈スはスニンクスのス〉で記事300件を達成。「COMを読む」が終了して、「少年マガジン」シリーズを新しく始めた。複数のマンガ家による競作短篇集
〈ORIGINAL SHORT STORIES〉〈未来がまつ落し穴〉〈サキ短編集〉は当時としても、40年後の今日でも斬新な企画だった。岩合光昭のネコ写真展
「ねこ」は愉しかった。猫ジャケ・カタログ集
〈麗しきネコードの世界〉も温めていた企画。2010年にはW杯南アフリカ大会、HMV渋谷閉店。佐藤史生やAri Upの急逝もあったが、地デジ化に伴う薄型TVへの買い替え〜エコ・ポイント・バブル(バラ撒き政策)は異常だった。改めて言うまでもないことだが、クルマに乗らず、TVを見ないのが究極のエコ(省エネ)である。2011年7月24日にアナログ放送が終了してどうなったのか。政府、家電メーカー、家電量販店、TV局に踊らされた(騙された)人たちがバカを見た?‥‥ちなみに自室のTVは未だに旧アナログ・ブラウン管のままである(2012年11月21日現在)。
sknynx 2010 - 20113・11後の世界。大地震と大津波に襲われ、原発事故と放射能汚染に侵された日本‥‥2011年は「東日本大震災」という一語に尽きる。「石ノ森シリーズ」は
〈ブルー・ゾーン〉〈おかしなあの子〉〈ミュータント・サブ〉の3記事をアップした。「ネコ・ログ」で紹介したネコちゃんが200匹を超え、11月に念願の
「100万pv」を達成したものの、3・11の後では素直に喜べなかった。10年間の長きに渡って愛用して来たiBookの電源アダプタ・コードから火花が出て断線してしまった。ノートブック本体よりも先にACアダプタの寿命が尽きたことは盲点だった。奇しくもスティーヴ・ジョブズの亡くなった年に
「MacBook Pro」を購入することになろうとは!‥‥この機会に8年間使用して来たデジカメ(Cyber-shot)をミラーレス
(NEX-5N)に買い替えた。「Rewind シリーズ」は
〈ラヴ・セクシー(1988)〉で一先ず終了。「とうようズ・トーク」でも知られる音楽評論家・中村とうよう氏の投身自殺もショックだった。合掌。
sknynx 2011 - 20122012年1月からミラーレス一眼で撮ったネコ写真をアップしている。しかし、高画質でアップロードしないと、レティナ・ディスプレイ
(Retina display)では逆に粗が目立つ。ピンチで簡単に拡大出来るようになったのは歓迎するが、文字は大きく表示されるのにバナーなどの画像は逆にボケてしまう。サムネイルを表示しておいてクリックで拡大するようにするか、予め大きめのサイズでアップしてリサイズする方が良いのか悩ましいところ。旧デジカメ(Cyber-shot)で撮ったネコ写真(未発表ショットを含む9枚)を公開する
「サイバー・キャット」。
「ファブ・フォー」はThe Beatlesのアルバムを1枚ずつレヴューして行く新シリーズ。
「キトゥン・カヴァーズ」「キャット・アート」という2つのパロディ集(子猫ジャケと猫名画)も紹介した。8月の
〈スニンクス 400〉で記事400件、9月の
〈貧相ゾンビ〉で300回文となった。
〈El Surの15年〉〈国書刊行会の40年〉〈スニンクスの7年〉というわけである。
*
Joni Mitchellの10枚組CDボックス
《Studio Albums 1968-79》(Rhino 2012)には驚いた。デビュー作
《Song To A Seagull》(1968)から10thアルバム
《Mingus》(1979)まで、見開き紙ジャケ仕様のアルバム10枚がボックスに収まっている。しかも国内アルバム約1枚分の低価格なのだ。リマスター盤ではない、音圧も低くダイナミック・レンジも小さい、ブックレットなども付いていない(
《For The Roses》(1972)と《Mingus》にはインナーに記載出来なかった「歌詞カード」が1枚ずつ入っている)、CDサイズに縮小された歌詞やクレジットも判読し難い‥‥という瑕疵はある。それでも、〈Both Sides Now〉や〈BIg Yellow Taxi〉〈Help Me〉など彼女のヒット曲だけでなく、アルバム収録曲を網羅的に聴き浸れる誘惑には勝てない。全105曲、約7時間。アマゾン
(Amazon .co.jp)で買うと、1曲当たりの単価は約25円。ネット配信(有料ダウンロード)対策でしょうか。
*
*
el sur 15th / kokusho 40th / sknynx 7th / sknynx / 418
Studio Albums 1968-1979
- Artist: Joni Mitchell
- Label: Warner Bros UK
- Date: 2012/11/13
- Media: Audio CD(10CDs)
- Albums: Song To A Seagull (1968) / Clouds (1969) / Ladies Of The Canyon (1970) / Blue (1971) / For The Roses (1972) / Court And Spark (1974) / The Hissing Of Summer Lawns (1975) / Hejira (1976) / Don Juan's Reckless Daughter (1977) / Mingus (1979)
ネコたちをめぐる世界
- 著者:日高 敏隆
- 出版社:小学館
- 発売日:1993/04/20
- メディア:新書
- 目次:わが家のネコ一族 / 母親リュリ / タブーと平安 / ネコたちの狩り / ネコのトイレット / オスネコ・サンクの家出 / 3度目の帰還 / 甘えと争い / ネコたちの闘い / 娘たちの出産 / ネコにとってのもの / ネコとドア / ネコはこたつで / ネコたちの離散 / けがの後 / ネコとローレンツ / ネコの怖いもの / ネコたちのこのごろ / 苦難のとき / ネコにおける確認
コメント 0