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スニンクス 4 0 0 [b l o g]



  • ♭ 猫のバディ〔cat's cradle〕2009-06-11
  • スニンクスの主幹カテゴリー「猫のゆりかご」(cat's cradle)は猫本と猫盤(ネコード)の2つに枝分かれしている。ネコをテーマにした本10冊とネコ・カヴァのアルバム10枚を紹介するシリーズで、〈猫のバディ〉はネコード第3集になる。記事タイトルは《My Name Is Buddy》(Nonesuch 2007)から採った。Ry Cooderの愛猫に捧げられたハードカヴァ仕様のアルバムは音楽(猫盤)としても、絵本(猫本)としても愉しめる。赤ネコとネズミとヒキガエルの放浪の旅は黒ネコやアオカケスやアマガエルたち「使い魔」が活躍する冒険ファンタジーではないので、よりリアリスティックに胸の中に沁み入って来る。涙なしに読み(聴き)終えることが出来ない。Kitty Craftの《Beats And Breaks From The Flower Patch》(Kindercore 1999)は廃盤だったので中古CDを購入。記事の中でも触れたように、CD盤面には木に登って降りられなくなったネコが描かれている。お花畑でミツバチと戯れる可愛いネコードを知ったのは『猫に恋して』(ブルース・インターアクションズ 2006)だったことも付記しておこう。

  • ♭ 空中ブランコ乗りのレイ〔books〕2009-03-21
  • 別役実の不条理童話を「おはなしのお姉さん」が朗読するNHKの幼児番組があった。若き日の田島令子が目に涙を溜めて読み終えた童話が「空中ブランコのりのキキ」だった。「おはなしこんにちは」が当時の子供たちに少なからずショックを与えたことは記事下に付いている2つのコメントからも窺える。『淋しいおさかな』(三一書房 1973)や『黒い郵便船』(1975)を数十年ぶりに再読して分かったことは子供だから難解だったのではなく、馬齢を重ねた大人が読んでも分からないという事実だった(たとえば岡田史子の少女マンガのように)。キキは4回転宙返りを成功させて虚空に消えてしまったが、レイは今も女優として活躍している。年を重ねた「お姉さん」は4回宙返りに挑戦しようとするキキに「すんだ青い水の入った小びん」を与える魔女(お婆さん)役の方が相応しい気もするけれど、もう1度「空中ブランコのりのキキ」を朗読して欲しい。記事タイトルとしては「空中ブランコ乗りの危機」の方が良かったかしら?

  • ♭ 三日月もぎつかみ〔palindrome〕2009-03-01
  • 回文(palindrome)は「猫ゆり」と共にスニンクスの根幹となるシリーズ。第16集には栗山千明、ハリス・アレクシーウ、ねずみ男、マドンナ、ワンカ氏、火田七瀬‥‥と多数の人名(固有名詞)が登場する。その無理が祟ってか、冷静になって読み返すと凝りすぎたような気もする。空港爆破テロの栗山千明は兎も角、真木よう子の主演ドラマ「おんな任侠筋子肌」や「チョコレート工場の秘密」「七瀬ふたたび」「羊たちの沈黙」などを下敷きにした人名回文よりも、〈葛饅蒸かす、グズグズ花粉マスク〉や〈遺灰バリ島、保安官、アホウ鳥バイバイ〉の方が回文としてスッキリしている。同じ女性ミュージシャン回文でもハリス・アレクシーウは綺麗に纏まっているけれど、マドンナの「変態ダンス」は下品だなぁ。〈火事何度招く、ネグリジェ燃え尻クネクネ、マドンナ痔か?〉というボツ回文もあった。マドンナに悪意のないことだけは言っておかねばならないだろう。

  • ♭ 絵文字萌え〔palindrome〕2009-06-01
  • 回文シリーズ第17集は凝りすぎの第16集を反省して、概ねシンプルな回文に軌道修正している。何よりも〈絵文字萌え〉というタイトル回文が美しいではないか(自画自賛?)。画廊の看板ネコが「絵画」の売値を決めるという前代未聞の上戸彩回文。東西南北に配置された守護神が落雷から神殿を護るというヒライ神(神官のアゲハは耐震偽装・カツラ疑惑の一級建築士がモデル)、ハゲ頭に揚羽蝶が止まったり滑ったり、オカリナ少女のダーク・ファンタジー、ナイフとフォークの歴史と箸文化、女子高校バレー部の必殺技「竜巻スパイク」など、人名の入らない(字数の少ない)回文の方が制約も緩くストーリの自由度も高いので、書いていて愉しい。土曜ワイド劇場「麻薬課の女刑事、香具山紫子の事件簿17、天の香具山老人ホーム人質立て籠り殺人事件、麻薬ネコが嗅ぐ犯罪の臭い」と「草薙水素の出家」は森博嗣ネタということで‥‥。

  • ♭ ルドンの蜘蛛〔art〕2007/11/11
  • いわゆる美術館の展覧会記事は余り書きたくないというのが偽ざる本音である。カタログ図録の類いは一切買わないことに決めているので、鑑賞中にメモを録ることになる。純粋に展示作品を愉しめないし、記事を書く前に資料を何冊か読まなくてはならないから‥‥でも、まぁ、「ルドンの黒」(Bunkamura ザ・ミュージアム 2007)の後で読んだ『ODILON REDON ── 光を孕む種子』(みすず書房 2003)も面白かったし、つい買ってしまったルドンの異形キャラをCGアニメ化した映像作品『NOIR』(DVD 17分)もユーモラスで愉しめた。人面クモや1つ目巨人など、グロテスクで薄気味悪いルドンの黒い怪物たちが長い年月を経て婦女子の喜びそうなキモ可愛いキャラ・グッズと化してしてしまうのは一体どういうことなのかしら。少なくとも19世紀末までは想像上の未知なるものに対する畏怖や畏敬の念があったはずなのだが‥‥。トンマーゾ・ランドルフィの短編集『カフカの父親』(国書刊行会 1996)の表紙カヴァにも「ルドンの蜘蛛」が使われている。

  • ♭ ムンクの娘〔art〕2008-05-01
  • 生涯独身だったエドヴァルド・ムンクに実の娘はいないのだが、絵のモデルになりたくてアトリエを訪れる娘たちは引きも切らなかったという。〈生命のフリーズ〉という今日のインスタレーションにも繋がる展示方法、鑑賞者に見られることで初めて完成するアートという今日的なテーマも先取りされている。ベルリンのワイン・バー「黒豚亭」で夜な夜な熱く語り合った若き芸術家の卵たち‥‥スー・プリドーの『ムンク伝』(みすず書房 2007)はムンク・ファン必読の書である。まるで、その場所に居合わせてルポルタージュしたような臨場感でムンクの全体像を描く筆致には舌を巻く。壁に架けられたタブローの連なりの中から新たな「絵画」が見えて来るように、『ムンク伝』から立体的なムンク像が立ち現われる。自分の絵を「子供たち」と呼んで売らずに手許に残して置きたがったムンクに倣えば、〈ムンクの娘〉もスニーズの子供ということになるだろうか。

  • ♭ 赤レンガ図書館へ行こう〔culture〕2008-07-11
  • 白亜の旧文化センター図書館と同じように、2008年6月28日にオープンしたK区立中央図書館もTVドラマや映画のロケ地になることが少なくない。大沢たかおが来館して医学の歴史を調べたり、和久井映見が司書をしていたりするのだ。新中央図書館の施工に先立ち、2006年5月14日に約3万冊の「本のリサイクルフェア」が開催された。旧図書館の蔵書だけでなく、一般区民から寄贈された膨大な本が赤レンガ倉庫前の広場に並んだ風景は壮観だった。土日や祭日は冷暖房完備の無料施設として賑わっているけれど、青空の下の緑陰読書も悪くない。実は池袋サンシャイン・シティ裏にあるT区立新中央図書館のオープン前にも旧中央図書館や雑司が谷図書館(閉館セール?)で同じようなリサイクル市があった。「本のリサイクルフェア」で掘り出した本の一部については記事中で紹介済みだが、T区のリサイクル市でゲットした本については〈リサイクリング・ブキ〉という記事になるかもしれない。

  • ♭ FAVORITE ー ALBUMS 1 / 2〔favorites〕2006-02-02 / 2007-05-26
  • ブログの記事数を増やしたくなかったので、本やアルバム(CD)の寸評は「FAVORITES」として纏めることにした。ブログとしては変則技だが、本20冊、アルバム20枚の一覧記事になっている。「FAVORITE-ALBUMS」は新譜を中心にサイドバーでアルバム(画像)を紹介。更新すると前のアルバムはサイドバーから消えてしまうので、過去一覧としてアーカイヴ。タイトルバーやアルバムをクリックするとコメントの付いた一覧記事が開くというアイディアは悪くないでしょう。これならばミニ記事が増えて記事管理が煩瑣になることもないし‥‥。〈FAVORITE - ALBUMS 1〉はFlorencia Ruiz、Animal Collective、Mylene Farmer、Emilie Simon、Juana Molinaなど、〈FAVORITE - ALBUMS 2〉ではBjork、Sufjan Stevens、Simon Fisher Turnerなど、新・旧譜を交えて愛聴盤を紹介。「プロフィール」に連動したAmazon商品紹介風の〈favorite - albums〉も作ってみました。

  • ♭ メキシコの女たち〔art〕2006-11-11
  • 「フリーダ・カーロとその時代」(Bunkamura ザ・ミュージアム 2003)の印象が超鮮烈だったので、ブログ記事にした。「メキシコの女たち」というタイトルにしたのはフリーダ・カーロだけでなく、レオノーラ・キャリントンやメディオス・ヴァロなどの女性シュルレアリストたちの作品にも目を奪われたから。2人は「レオノーラ・キャリントン展」(東京ステーションギャラリー 1997)、「レメディオス・バロ展」(伊勢丹美術館 1999)という単独の展示会で身近な存在になっていた。レオノーラ・キャリントンは画家であるだけでなく、作家としても風変わりな小説を書いている。短編集『「美妙な死体」の物語』(月刊ペン社 1979)や『恐怖の館』(工作舎 1997)、家族の計略で老人ホームに入れられてしまった老婆マリオンの冒険を描いた長編『耳ラッパ』(工作舎 2003)などがある。レメディオス・ヴァロも『夢魔のレシピ』(工作舎 1999)が日本初の回顧展開催時に出版された。話題のネコ・パロディ名画集『キャット・アート』(求龍堂 2012)にもフリーダ・ニャーロの作品が載っていたにゃあ。

  • ♭ 池袋 → 木更津行き急行〔visual〕2006-10-21
  • 連続TVドラマを毎週欠かさず視聴することは少ない。必ず放映中(1クール)に1〜2回は見逃してしまうから。わざわざ録画して視る気もないし(最近は前回放送分をネットで無料配信しているドラマもある)、そもそもTVのない生活に憧れているのだった。しかし、深夜枠で再放送されていた『池袋ウエストゲートパーク』(TBS 2000)にはハマった。今では主役級の男優たちが登場する豪華絢爛たる配役。凝りまくったクドカンの脚本。「池袋」というホーム・グラウンド‥‥マジなんだか不真面目なんだか分からない窪塚洋介のタカシ役(キング)も決まっていた。キャラの立った「IWGP」に比べると『木更津キャッツアイ』(2002)の人物像は小粒で物足りないところもあるけれど、「主人公の死」という結末へ向かって行く深刻さが馬鹿騒ぎや悪乗り寸前の脱力ギャグを下支えしている。でも2度も映画化された劇場版「KCI」では「主人公の死」が逆に足枷になっているような気もする。ロンドン五輪(2012)が終わったら、今度こそTVのない快適生活が待っている?

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    祝400本!‥‥100本記念の時は「アクセス・ランキング・トップ10」、200本記念の時は「アクセス・ランキング・トップ20」の記事について「自作解説」したので、今回は40位以内に入った記事の中から過去3回と被らないように11本(〈FAVORITE ー ALBUMS 1〉と〈2〉を1つに纏めた)を選んで自作解説しました。1つの記事は10枚(400字詰め原稿用紙)を目安にしているので、トータルで約4000枚近く書いたことになります。40字×11行の段落を10ブロック並べるのが「スニンクスタイル」の基本型。細切れ記事で徒に記事数を増やさないという方針で、漸く400本に辿り着きました。ソネ風呂は1つの記事に5万字も書けるのだから、短い手抜き記事はブログにアップするまでもなく、TwitterやFacebookで事足りるでしょう。サイドバーの「アクセス・ランキング」にトップ5を表示。タイトルが記事別総閲覧数の一覧表「ACCESS RANKING 40」へのリンクになっています。

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    • これからもスニンクス(sknynx)をよろしくね^^;
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    s k n y s - s y n k s 4 0 0

    • Author: sknys
    • Articles: 400
    • Provider: So-net
    • Date: 2012/08/01
    • Media: Internet


    夢魔のレシピ ── 眠れぬ夜のための断片集

    夢魔のレシピ ── 眠れぬ夜のための断片集

    • 著者:レメディオス・バロ(Romedios Varo)/ 野中 雅代(訳)
    • 出版社:工作舎
    • 発売日:1999/05/31
    • メディア:単行本
    • 目次:夢のレシピ / 魔女のテクスト / イメージの実験室──バロ自身によるバロ展 / 地球の想い出──バロのアルバム / メキシコの魔法の庭──バロとキャリントン(野中雅代)

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