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ネコ・ログ #25 [c a t a l o g]

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  • やがて、ピーターサンドさんがせきばらいをしました。/「おまえさんがたは、ねこを愛してなんかいないね!」ピーターサンドさんは、一語一語ゆっくりといいました。「おまえさんがたは、ねこのことをだいじになんか思っちゃいない。もし思っているんなら、あんなふうに夏のおわりにねこをほうりだして帰ってしまったりはできないはずだ。ねこは人間と同じ生き物だよ。木のおもちゃとはちがうんだ。さんざん遊んでおいて、いざ出発となったらその場におきざりにしてしまう権利はだれにもないはずだ。そうじゃないかね。わたしはもうこんりんざい、ねこは貸しださない。そうすりゃ、おまえさんがたも、ねこをほうりだすことはできないわけだからね。おまえさんがたは、ねこを愛してなんかいない。ねこを飼う資格だって、おまえさんがたにはないのではないかね。」/ ピーターサンダさんはそこまでいうと、深呼吸をしました。こんなに長い演説をしたのは生まれてはじめてだったのです。
    ルイス・スロボドキン 『ピーターサンドさんのねこ』


  • ♯217│ミキ│飼い猫 ── びっくり猫屋敷の殺人 8
    猫屋敷のネコたちは元気に暮らしてるようだ。ニャーニャー鳴きながら近づいて来る人懐っこいネコ、様子を窺いながら周囲を用心深そうに徘徊するネコ、身の危険を感じて塀の中へ逃げ込んでしまう小心者のネコ‥‥。野性味を残した精悍な面構えのミキは塀の上に乗ったままカメラを見つめている。これから夕食のゴハンを貰おうとしているのか、あえて逃げ隠れはしない。いつの間にか背後の郵便受けはカーマイン・レッドから黒っぽい色に塗り替えられている(レッドちゃんの写真参照)。最近、ネコ婆さんに出会わない。もしかして体調を崩しているのかと危惧するが(もちろん「びっくり猫屋敷の殺人」シリーズに、ネコ婆さんが惨殺されたというミステリ的なオチがあるわけではない)、車道を隔てた真向かいの家のネコ爺さんは健在なので、ネコたちが空腹で路頭に迷うことはなさそうである。

    ♯218│マミー│地域猫 ── オッドアイの貴婦人
    右目ブルー、左目イエローという美しいオッドアイの母ネコさま。2011年11月、ネコ撮りカメラをコンデジ(Cyber-shot)からミラーレス一眼(αNEX)に買い替えたので、この写真をアップしたのは旧デジカメで撮った「蔵出しネコ」の意味合いもある。いわゆる掃き溜めの鶴風のゴチャゴチャした廃材置き場がバックになっているが、もしミラーレスで撮ったならば背景がボケるはず。美観を損ねるケバケバしい看板が立ち並ぶ繁華街や人通りの多い舗道などでは背景がボケた方が都合が良い。しかし、逆に考えれば一眼レフはピントの合う範囲が少ないとも言えるわけで、ネコの一部にしかピントが合わない。被写体を際立たせるには背景をボカした方が良いけれど、必ずしもボケているのが良い写真とは限らない。たとえば桜や薔薇など綺麗な花をバックに人物を撮る場合、背景をボカすかどうかは微妙なところではないかしら。

    ♯219│クリ│飼い猫 ── 寄り目になってるよ
    某クリーニング店のクリちゃんは大柄の灰白ネコ。初対面の日、一番最初に撮った写真は表情も硬かったけれど、次第に馴れて(気を許して?)来て、柔らかく愛くるしい目になって行く。右前脚ネコ・パンチ臨戦体勢の寄り目写真は散々追い駆けた後なので、少々ご機嫌斜めというか、撮られることに飽きたような表情・態度になっている。パパラッチに追い回されて逆上したセレブ女優やストーカーに付き纏われて逆ギレした元恋人‥‥という気分なのかもしれない。‥‥今まで200枚以上のネコ写真を掲載して来ましたが、ここまでがコンデジ・ネコ(320万画素)で、#220以降はミラーレス・キャッツ(1610万画素)となる。縦横比も3:4から2:3に改め、サイズも440×330から480×320へワイド化した。カメラを替えたことで、ネコたちの写りは一体どのように変わるだろうか。

    ♯220│ペンネ│地域猫 ── 黒目が大きいねぇ〜
    「高感度番長」とか「暗闇の帝王」と呼ばれているミラーレス一眼(NEX-5N)で夜のネコちゃんを撮ってみた。モデルは閉店してしまった某イタリアン・レストランで飼われていたネコの子供なのだろうか。全く無関係・無血縁のノラネコの可能性も否定出来ないが、母ネコと良く似た色合いの子ネコであることは確かである。疲れを知らないサイド・バック選手のように元気良く動き回る子ネコのシャッター・チャンスは少ない。漸く静止した瞬間をノン・フラッシュ撮影した。iPhoto 9.2でクイック補正(Enhance)しているので、不自然に明るくなってしまったが、ピントは子ネコに合っている。何よりも黒い瞳が丸く大きくなって可愛く撮れた。旧来のコンデジでは陽が落ちて暗くなると、フラッシュ撮影を余儀なくさせられた。しかし、これからはフラッシュ発光なしで、可愛い夜のネコ写真が撮れるのだ。

    ♯221│テンコ│ノラ猫 ── 瞳の中に映る風景
    ミラーレス一眼で一番最初に撮ったネコ写真。東京都某水道局給水所のネコちゃんである。「関係者以外立入禁止」なのだが、鉄門が開いているのを幸いに、ちょっと不法侵入して撮りました。良く見ると2つの黒い瞳の中に車道の向かい側の建物が写り込んでいる。カメラ本体に付いている標準ズーム(E18-55mm F3.5-5.6 OSS)では、これ以上近づけないと思う(1/80、F5.6、ISO3200、iAUTO)。広い敷地内をテリトリにしているネコたちが車道に面した鉄門付近で待機しているのは毎夕、ネコおばさんがゴハン(キャットフード)を門の前に置いて行くから。「カラスが集まって来るので、ネコのエサを置かないで下さい」という良く分らない趣旨の注意書きが鉄門に掲げてあるけれど、ネコもネコおばさんも全く頓着しない。水道局の職員は敷地内で暮らすネコたちに美味しいゴハンをあげていないのかしら?‥‥不思議にゃん。

    ♯222│プラ│ノラ猫 ── SF映画『猫の惑星』
    テンコと同じ日に同じ場所で撮ったネコちゃんだが、不法侵入はしていない(鉄門越しに撮影)。陽も翳って来て薄暗くなって来たのに、何故か青空をバックにした神秘的な「黄色いネコ」になってしまった(1/13、F3.5、ISO3200、iAUTO)。左側の鉄柵と右側の建物のV字形パースペクティヴの消失点に坐るイエロー・キャットというシュルレアリスティックな構図。巨大地震や原発事故、新型ウィルスや化学兵器、核戦争や天変地異などで人類が避難(死滅?)した後の近未来世界。そして誰もいなくなった「死の街」を想わせる。20××年、IQ160のスーパー仔ネコが生まれて、人間の言葉を流暢に喋り出すSF映画『猫の惑星』(Planet Of The Cats) 。もちろん、彼らネオ・ネコ族の金科玉条は「猫は猫を殺さない(Cat shall never kill cat.)」である。

    ♯223│パル│ノラ猫 ── 毛繕い中なの!
    標準ズーム・レンズの難点は意外にも暗く沈んだ色調で撮れてしまうこと。逆に奥行きや深みがあるとも言えるが、今まで使って来たコンデジのレンズ(F2.8-5.2)よりも暗いからかもしれない。もう少し明るいズーム・レンズがあると良いのに。Eマウント・レンズの種類の少なさはNEXユーザの多くが不満に思っていることである。その暗さのせいなのか、毛繕い中の姿を撮られたパルの表情も哀しげに映る。彼らが暮らすI袋駅前公園は改装工事中(2012年4月現在)で、小さな水天宮神社と地下駐輪場へ出入口を除く細長い公園の大部分が白っぽい塀で覆われてしまった。花見どころか飲食や喫煙、ベンチに坐って休憩することさえ出来ない。埼京線の車内から塀の中を見ると、無造作に積み上げられた資材の量や足場などから考えて、駅前公園がリニューアル・オープンするまでに少なくとも数カ月以上(今秋まで?)かかりそうな感じ。作業している人の気配も感じられないし、耳障りな工事の騒音も聴こえない。一体何のための改築工事なのかも全く不明なのだ。

    ♯224│シコ│ノラ猫 ── ボケる背景の老人
    顎の黒い部分がチャーム・ポイントのシコちゃんが目を瞠っている。何を見つめているのかしら?‥‥ロラン・バルト風に「私を魅惑する、背景の、老人」と書いてみたい誘惑に駆られるが、若い女性やネコ娘ならば兎も角、ボケた背景の老人に興味はない。邪魔な人物や目障りなものを鮮明に写したくないから、背景をボカすのだとも言えるだろう。これほどボケてくれるのならば、肖像権やプライヴァシーを考慮して見知らぬ他人の顔にモザイク処理を施す手間も省けるわけである。近視眼の人のように遠くがボケのは遠視や老眼よりも悪くないことなのかもしれない。シコはビックリ眼で対象を凝視する。どれだけ対象が見えているのかは良く分らないけれど。その隙を突いて後方から短い尻尾に触ると、ニャンと鳴き、振り向いて牽制するのだ‥‥「私を魅惑する、ネコの、尻尾」。

    ♯225│ワン│飼い猫 ── S鴨駅前の看板ネコさま
    S鴨駅前近くにある某中華料理店の看板ネコである。好奇心旺盛な子ネコのように動き回らず、ドッシリと腰を下ろして坐って周囲を睥睨している姿は目線の鋭い婦人を想わせなくもない。首輪に付いているピンク色の鈴と赤いメダルが白い胸を飾る。赤絨毯のように見えるのは店の入口に敷いてある足拭きマット。大人しそうに見えても気は滅法強いらしく、調子に乗って毛並みを撫でていると、不意のネコ・パンチに襲われる(掌を引っ掻かれてしまいました)。妙齢の看板ネコというよりも、飲食店の用心棒ネコ。S鴨周辺を統べる元裏スケ番みたいな存在かしら?‥‥。もしS鴨駅に立ち寄る機会があったら、駅前の中華料理店付近に行ってみよう。運が良ければワンさまに会えるかもしれません。彼女を愛撫する時は優しく、くれぐれも細心の注意を怠らないでね。

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    各記事のトップを飾ってくれたネコちゃん(9匹)のプロフィールを紹介する「ネコ・カタログ」の第25集です。サムネイルをクリックすると掲載したネコ写真に、右下のナンバー表の数字をクリックすると該当紹介文にジャンプ、♯ネコ・タイトルをクリックするとトップに戻ります。ノラ猫や地域猫、飼い猫を差別しない方針で、これまでに延べ220匹以上のネコちゃんを紹介して来ましたが、こんなにも多くのネコたちが棲息していることに驚かされます。第25集の常連ネコはマミーにパルやシコでしょうか。2011年11月からカメラをミラーレス一眼(NEX-5N)に替えたので、同じネコでも印象が異なるかもしれません(サムネイルは3:2から4:3にリサイズしました)。ルイス・スロボドキンの『ピーターサンドさんのねこ』(あすなろ書房 2012)はホタル島の漁師ピーターサンドさんが毎年夏のヴァカンスを島の別荘で過ごす人たちのためにネコを貸し出す物語。見捨てられたネコたちは東日本大震災と福島原発事故で置き去りにされた飼いネコたちとオーヴァ・ラップする。

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    • 記事タイトルの右に一覧リストのリンク・ボタン(黒猫アイコン)を付けました^^
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    ピーターサンドさんのねこ

    ピーターサンドさんのねこ

    • 著者:ルイス・スロボドキン(Louis Slobodkin)/ 清水 眞砂子(訳)
    • 出版社:あすなろ書房
    • 発売日:2012/01/30
    • メディア:単行本

    タグ:cats catalog
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    コメント 6

    輝月夜姫

    猫ちゃんの紹介文が面白いですね。
    「パパラッチに追い回されて逆上したセレブ女優」気分の猫ちゃんが素敵!
    「ちょっと、撮らないでよっ!」ってカメラを押さえる感じかニャ?

    お針子姫からニックネーム変えました。
    (かぐや)って読んでください。
    これからもよろしくおねがいしますね~。
    by 輝月夜姫 (2012-04-13 10:22) 

    sknys

    輝月夜姫さん、コメントありがとう。
    ちょっと前までは相思相愛の蜜月状態だったのに、
    一触即発の非常事態に!‥‥
    おネコさまの気分もネコ目のようにクルクル変わる。
    http://sknys.blog.so-net.ne.jp/blog/_images/blog/_fc3/sknys/DSC04772.jpg

    清水玲子さんに『輝夜姫』という大長編がありましたね。
    『月の子』までしか読んでいませんが^^;
    by sknys (2012-04-13 21:15) 

    ぶーけ

    221と224の猫さんがそっくりで、もしかしたら親子?

    横ですが、「輝夜姫」、私は全部読みましたよ。^^
    by ぶーけ (2012-04-15 12:55) 

    sknys

    ぶーけさん、コメントありがとう。
    221と224は赤の他人ネコですが、
    224と203(http://sknys.blog.so-net.ne.jp/_images/blog/_fc3/sknys/DSC04723.jpg)は兄弟姉妹、
    220は137(http://sknys.blog.so-net.ne.jp/blog/_images/blog/_fc3/sknys/DSC03915.jpg)の子供じゃないかしら。

    「輝夜姫」を読破したとは驚きです‥‥是非ブログで紹介して下さい^^;
    by sknys (2012-04-15 14:14) 

    ぶーけ

    さすが、猫の系図までばっちりですね。^^

    「輝夜姫」は掲載誌を購読してました。すごく面白かったけど、だいぶ前なのであらかた忘れてます。。^^;
    by ぶーけ (2012-04-17 20:31) 

    sknys

    218と(http://sknys.blog.so-net.ne.jp/blog/_images/blog/_fc3/sknys/11658697.jpg)も母子ですね。
    左右の目の色(ブルーとイエロー)が逆ですが^^

    同じく「月の子」も連載中に掲載誌で読んでいましたが、
    これだけ長いと、たとえ単行本を全巻持っていても読み返すのが大変です。
    少女マンガの醍醐味は圧縮濃密なストーリ展開にあるのではないかしら?
    by sknys (2012-04-18 20:53) 

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