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ネコ・ログ #23 [c a t a l o g]

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  • 今日、日本には約1374万匹の猫がいると言われます。東京都の人口が約1320万人ですから、その数の多さに驚かされますが、人はなぜ猫を飼うのでしょうか。/ 自分では理解し得ない自らの魂の動きを猫の中に見出すから、自分自身を猫の行動や生き方に投影して共感しているから、という説もあれば、人間関係や家族関係の稀薄化を猫との関係で埋め、安らぎや癒しを得るためという説もあります。フランスの詩人ジャン・コクトーは、猫を愛する理由を「猫は家の魂というべき存在だから」と述べています。同感する愛猫家も多いかと思います。/ しかし、猫を愛することに理屈はいりません。愛猫家にとっては猫丸ごと、そのすべてが可愛いのです。だからこそ限りない愛情を注ぐわけですが、実は猫もそれに応えています。玄関で両足を揃えて主人の帰りを待つ姿、柔らかくてしなやかな身体、膝の上から離れなかったり、甘えてゴロゴロと喉を鳴らしたり、ニャーと鳴きながら物をねだったりする仕草、はたまた気ままで言うことを聞かない性格にすら、飼い主は安らぎや癒し、励ましなどを得ているのです。
    「猫の魔法について」


  • ♯199│エミ│地域猫 ── ストラップで猫じゃらし
    某マンションの隣にある敷地、鉄製の門で車道と隔てられた空間に4〜5匹のネコたちがいる。鉄柵の内側は安全地帯と心得ているらしく、寝そべったり毛づくろいしたりしていて容易に出て来ない。マンションに住んでいる女性がゴハンを運んで来ると、鉄門の外へ出て来る。耳の大きさからも分かるようにエミちゃんは好奇心旺盛な子猫で、その動きも素早い。女性が持参した「ネコジャラシ」にも激しく反応するが、敏捷すぎるネコも撮るのに苦労する。ネコたちの夕食後、エミちゃんに狙いを絞って30分くらい粘った。左手でカメラのストラップを揺らしてネコの気を惹きながら、右手でカメラのシャッターを押す。可動式の鉄門の間でエミちゃんがストラップを見上げている。一眼レフならばシャッター・スピードを速く切れるので、動きが速くても決定的なチャンスを逃すことなく、もっと楽にネコ写真を撮れるのかもしれないけれど。

    ♯200│ミミ│地域猫 ── ブラッシングが大好き
    一時も静止せず、常に動き回っている疲れを知らないエミちゃんに比べると、穏和で大人しいミミくんは写真に撮り易い。右の耳から額の一部だけが黒い白ネコ。そこだけ黒く染めた前髪のように見えなくもないワン・ポイント・カラー(逆・関口宏ヴァージョン?)‥‥白地に明るいカッパー色の目とピンク色のマズル部分の配色もパステル・カラーで美しい。ミミくんは雄ネコなのに、無類のブラッシング好き。マンション女性が持参したブラシを手にすると、一目散に駆け寄って来てブラッシングを強請る。白い毛並みを梳かされると目を細めて、まるで昇天して天国へ行ったみたいな夢心地の恍惚状態になってしまう。その効果なのか、ミミくんの真っ白い毛並みは美しく光輝いている。たまたま通りかかった女性も気持ち良さそうにブラッシングされているネコに興味を示して、マンション女性と立ち話をしていた。「まぁ、気持ち良さそうに寝そべって!」「男の子なのに、ブラッシングが大好きなのよ」

    ♯201│ソラン│飼い猫 ── ちょっとトロピカル
    民家の窓の白いブラインドと黒い自転車、観葉植物(?)をバックにした逆光気味のソランちゃんは南国気分かしら?‥‥目を瞠ってビックリをしているのは遠くから来る人や犬や猫の気配を感じて注視しているからでしょう。写真を撮っている時でも近くの撮影者には無頓着で、遠くの方を見つめていることが少なくない。視界を遮ると首を動かして視野を確保しようとする。眼や耳の良い高感度センシブルな黒ネコ。ソランの見ている方向に誰もいなくても、数十秒後には必ず人や犬や猫が姿を現わす。ニャンと鳴いて近寄って来てスリスリするかと思うと、道端の草をムシャムシャ食み、バケツの中の溜め水を飲み、木や塀で爪をバリバリと研ぐ。気まぐれネコのようにも見えるが、毛づくろい中でも周囲の動向に決して注意を怠らない。親交を深めて仲良くなると、次第に打ち溶けて柔和な表情を見せるようになる。今がシャッター・チャンス!‥‥と思って、今日もネコを撮る。

    ♯202│マイ│ノラ猫 ── 可愛いニャン!
    I袋駅前公園のマイちゃんは内気な縞ネコ。水天宮神社前の置き石や草叢の中が好き。石段に腰かけて一服している人の膝の上に乗る茶目っ気もある。躰を掴んで無理に降ろそうとすると、ニャン(否)と鳴き、衣服に爪を立てて必死に抵抗する。階段脇の石の上で寛いでいるところを撮った1枚。目線もバッチリ決まっている(カメラのレンズを真っ直ぐ見据えている)。1/30秒のスロー・シャッターだが、カメラを固定して被写体が静止していればコンデジ(コンパクト・デジカメ)でも、この程度の写真は撮れる。ピントが合っているかどうかは背面の液晶画面を拡大してヒゲの1本1本が鮮明に写っているかで判断を下す。手ブレやピンボケ写真は躊躇なく、その場で削除するのがスニーズの流儀。8年間愛用しているデジカメ(Cyber-shot DSC-P8)のカウンターは「4854」を示しているが、パソコンの編集ソフト(iPhoto)に取り込んだ枚数は1/4以下である。Lサイズにプリントしたネコ写真はもっと少ない。それでも400枚くらいあるだろうか。

    ♯203│プチ│ノラ猫 ── 可愛いニャンニャン!
    まだ幼さの残る白黒ツートーン・カラーのプチちゃんは良く似た色柄のシコとは兄弟姉妹関係にあるようだ。下顎の黒い部分が「アゴ髭」のように見えるシコは短い尻尾に触れられるとニャンと鳴いて拒否反応を示す(機嫌が悪い時はネコパンチを繰り出すこともある)。ところがプチは対照的に大人しくて淑やか。マイちゃんと同じ場所、ほぼ同じ日時に撮った写真だが、同じ境遇のネコでも性格の違いは鮮明に表われる。大胆不敵な面構えのシコや愛くるしい顔のマイとも異なった魅力‥‥クール・ビューティと呼んでも良いくらいの気品が備わっていると思うのは手前味噌の身贔屓だろうか。プチは神社の前にいるだけで絵になる。まだまだ子供だと思っていたけれど、先日会った時には躰も一回り大きくなって大人に成長していた。機会があったら子ネコ時代のプチの写真もアップしたいなと思います。

    ♯204│ニコ│ノラ猫 ── 膝の上に乗ります
    マイやプチたちが棲む水天宮神社周辺から少し離れた場所、JR駅の方に近いP' PARCO寄りの公園内にも数匹のネコがいる。恐らくテリトリーが決まっていて賢く住み分けているのだろうが、両ネコの間に親しい交流があるかどうかは良く分からない(境界線を越えて侵入して来たネコと縄張りを犯されたネコの喧嘩は凄まじい)。灰色がかった茶トラ(胸部と足先は白い)のニコちゃんは緑色の目が魅惑的で人懐っこい。このネコもマイと同じく植え込みと舗道を隔てる仕切りに坐っていると、徐に近づいて来て膝の上に乗る。生まれながらのノラではなく、飼い猫ではなかったのかと思うほどの親密さである。毎夕、キャットフードを持って来る男性もニコの背中を撫でながら、もしかしたら飼い猫だったのかもしれないと言う。膝の上で丸くなるのは良いけれど、ニコは重い。毎日ゴハンを運んで来る人は複数いるので、駅前公園で暮らすネコたちの多くはメタボ体型になってしまうのだ。

    ♯205│フリオ│地域猫 ── 消えたニャンコたち
    久しぶりにK本通り沿いにある小公園へ行ってネコおばさんに会った時のこと。開口一番、フリオちゃんがいなくなってしまったと嘆かれた。毎朝夕、ゴハンを運んで来るネコおばさんにさえ皆目分からないのだから、数か月振りに立ち寄った者に消えたネコの行方が分かるはずもない。真っ先に思い着くのは交通事故だが、ネコおばさんは即座に否定する。近くのマンションの住人(フリオが屋上に昇って騒がれた)や隣りのスーパーの従業員たちも顔馴染みのネコなのだから、もしクルマに轢かれたのならば誰かが情報を持っているはず。ネコが自ら放浪の旅に出ることは考え難いので、通りがかった人が拾って行った可能性が高い。フリオを抱いて連れて行くことは不可能と断言するネコおばさんも、攫われて三味線の皮にされたんじゃないかと危惧する。ある日、忽然と消えてしまった地域ネコに対する世話人やネコ・ウォッチャーの想いは1つ‥‥ネコ好きの人に飼われて幸せに暮らしていると願うだけである。せめてもの慰めはミニ公園に棲む母ネコが2匹の仔猫を産んだこと。茂みの奥に隠れて出て来ないけれど‥‥と話すネコおばさんの表情は笑顔だった。

    ♯206│シロ│地域猫 ── 白ネコはノービリティ
    フリオが消えた小公園内に血塗れの鳩の死骸があった。一体誰が殺したのかとネコおばさんは訝しがる。数か月前だったらフリオの仕業に違いないと言うところである。フリオ君は狩りの名人(名ネコ)だったらしい。鳩を襲っているところを目撃した人もいるし、爪に獲物の肉片が付いていたという武勇伝も残っているのだが。「まさか、お前に鳩を殺す度胸があるとは思えないし‥‥」と、1匹の白いネコに話しかける。シロは臆病な痩せたネコで、写真を撮ろうと近づくだけでも逃げ去ってしまう。ヘッピリ腰の小心者に鳩を仕留めるような甲斐性はないというわけだ。「黒ネコはミステリィ」「白ネコはノービリティ」‥‥と見出しに書いたけれど、黒いネコに比較して白いネコの個体数は意外なほど少ない。真っ白いネコに出会ったことは数回しかないし、ブログに載せたネコ写真もK場公園のエリカさまとシロの2枚(2匹)だけである。黒ネコよりも白ネコの方が希少種だった。「白ネコはマイノリティ」なのかしら?

    ♯207│エス│捨て猫 ── ねことびエッちゃん?
    民家の塀の上に美形ネコがいた。写真を撮ろうとしていると、ネコ好きの女主人が家から出て来て、隣りの空地に1匹だけ捨てられていたネコだと話す。捨てネコは成長して見目麗しいベッピン娘になった。周囲の牡ネコが放って置かないよのよと連れのネコを指差す。面白い顔をした三毛ネコを飼っている家があると言って、近くの民家の門を開けると釣られたようにエスたちも敷地内へ入って行く。残念ながら三毛ネコの顔は見れなかったが、塀の上に昇ったエスを撮ることが出来た。既に陽も落ちて、周囲は薄暗くなっている。手ブレ・マークが表示されたので、カメラを塀の上に置いて撮る(シャッター・スピードは1/30)。少しピントが甘いけれど、モデルの可憐さに辛うじて救われているような‥‥結果的にコンデジの限界を感じさせるネコ写真になってしまった。一眼レフならば暗くてもフラッシュなしで鮮明な写真が撮れるという。「高感度番長」の呼び名も高いミラーレス一眼(α NEX-5N)が欲しいにゃあ。

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    各記事のトップを飾ってくれたネコちゃん(9匹)のプロフィールを紹介する「ネコ・カタログ」の第23集です。サムネイルをクリックすると掲載したネコ写真に、右下のナンバー表をクリックすると該当紹介文にジャンプ、♯ネコ・タイトルをクリックするとトップに戻ります。ノラ猫や地域猫、飼い猫を差別しない方針で、これまでに延べ200匹以上のネコちゃんを紹介して来ましたが、こんなにも多くのネコたちが棲息していることに驚かされます。第23集の常連ネコはソランと消息不明のフリオちゃん。内気なマイや美形のエスなど可愛いニャンコたちが揃いました。『猫の魔法』(光文社 2011)はオラクル(託宣)とビブリオマンシー(書物占い)をコラボさせた「猫おみくじ本)。見開き左頁に5段階評価(大吉・吉・小吉・小凶・凶)と猫イラスト、右頁に占いの内容が記述されている。読者は神社仏閣で「おみくじ」を引く感覚で、任意の頁を開く。たとえば、「吉」「猫が音楽を聴いています / 万事好調です。平和や平穏がどれほど大切か身にしみて感じるでしょう。新たな人生の目標を考えるのによいときです」というように。150匹の可愛いネコちゃん(ダイアン・エルソンが描いた150枚のイラスト)が貴方の運勢を占ってくれる。

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    • 『魔法の猫』(扶桑社 1998)というネコ・アンソロジー集もあります。巻頭を飾るのは「SF史上最高の猫の呼び声も高い」ガミッチ君が活躍する「跳躍者の時空」
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    猫の魔法

    猫の魔法

    • 著者:ダイアン・エルソン(Diane Elson)/ The Whisker family
    • 出版社:光文社
    • 発売日:2011/09/20
    • メディア:単行本
    • 託宣:猫がじゃれあっています / 猫が草を欲しがっています / 猫が喉をゴロゴロ鳴らしています / 猫が柑橘系の匂いに逃げていきました / 猫がひなたで丸くなっています / 猫が大きく伸びをしました / 猫が毛づくろいを始めました / 猫が甘えた声で鳴きました /

    タグ:cats catalog
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