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コ・ピートルズ [a p p l e]



The Beatlesの全アルバム(250曲)を圧縮エンコードして、バックアップ用CD-R1枚に焼いてみよう。パソコンはiBook(2001 Late)、使用するソフトはAppleのiTunes(4.1)とQuickTime(6.3.1)。《The Beatles 1》(Apple 2000)を非圧縮(AIFF)でリッピングして音楽CDを作成するのが基礎編ならば、今回は応用編。多少難易度が上がるので実際の手順の前に基本的なことを確認しておく。音楽CD(CD-DA)で使われているデジタル・サウンドはPCM(Pulse Code Modulation)という方式。一般にはサンプリングレートと呼ばれるサンプリング周波数と量子化ビット数で表わされるが、Audio CDのビットレートは44.1kHz/16bitに決まっているので設定を変更する必要はない。iTunesで読み込めるファイル形式は4種類。AIFFとWAVが非圧縮ファイルで、MP3(MPEG-1 Audio Layer3)とAAC(Advanced Audio Coding)が圧縮フォーマット。今回は同じ圧縮率ならMP3より高音質だというAACを使う。

圧縮フォーマットの場合、ビットレート(転送レート)が音質を決める。iTunesのMP3エンコード設定は、標準音質(128kbps)、良音質(160kbps)、高音質(192kbps)となっていて、「カスタム」を選択すると16〜320kbpsの中から好きなレートを選べる。さらにMP3には固定(CBR)と可変レート(VBR)があるけれど、AACならビットレートを決めるだけで済む(デフォルト設定は128kbps)。転送レートが高ければ高いほど高音質になるが、比例してファイルサイズも大きくなる。今回はThe Beatlesの全曲を1枚のCD-Rに焼くことなので、余り転送レートが高いと容量オーヴァしてしまう。非圧縮の音楽CDは1分が10MB、MP3変換だと約10分の1に圧縮出来るので(1分=1MB)、アルバム1枚につき約40分としてCD-R(650MB)に16枚分のCDが入る計算になる。The Beatlesのオリジナル・アルバムは12枚。高音質レートに設定するとCD-R1枚に収まり切れない可能性も出て来る。MP3(192kbps)で読み込んだ曲と聴き比べてみても音質的に大差なかったので、デフォルト設定のAAC(128kbps)を採用することにした。

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音楽CDの調達は都内の区立図書館を利用する。まぁ、どこの公立図書館の視聴覚コーナにもThe BeatlesのCDくらいは置いてあるでしょう。多くの人に貸出された結果ついたCD盤のキズを心配する向きもあるかもしれないけれど、余程酷いものでない限りCD盤面上のキズは殆ど気にしなくても良い。耳障りなノイズの殆どはマスター盤自体に入っていることが少なくない(同じCDの同じ箇所に同じノイズが入っているのを今回幾つかの曲で確認済み)。それよりも「人気本」の場合と同じく、インナスリーヴや歌詞カード(対訳)の傷みの方が気に障るかもしれない。そこで1つアドヴァイス‥‥比較的新しく開館した図書館が狙い目です。自治体によっては区や市で一括購入〜管理というところもあるらしいが、専門書やAV資料は各地域図書館が独自に買い付ける場合も多い。もし貴方の住んでいる近くに新しく図書館がオープンしたら超ラッキー!‥‥新品同様の音楽CDや映画DVDが真っ先に借りられるかもしれません。

PCで再生出来ないコピー・コントロールCDが氾濫していますが、幸いThe BeatlesのCDは33年振りに陽の目を見た《Let It Be...Naked》(2003)を除き、すべてのアルバムは非CCCD。利用者の足枷になるのは図書館の貸出し枚数制限の方ではないでしょうか。ちなみにT島区は1人3組、K区は5組まで(K区では2010年4月からCD10組に変更された)、貸出期間は本と同じく約2週間。しかも未だに貸出中のタイトルもあって、短期間でアルバムを全部集めようとすると意外に苦労するかもしれません。The Beatlesのオリジナル・アルバムは12枚──《Please Please Me》《With The Beatles》(1963)、《A Hard Day's Night》《Beatles For Sale》(1964)、《Help!》《Rubber Soul》(1965)、《Revolver》(1966)、《Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band》(1967)、《White Album》(1968)、《Yellow Submarine》《Abbey Road》(1969)、《Let It Be》(1970)。プラス編集盤2枚──英オリジナルEP盤(2枚組)をA面、アルバム未収録シングルをB面に収録した米盤《Magical Mystery Tour》(1967)とアルバム未収録曲やシングル盤B面、別ヴァージョンなどを網羅した2枚組《Past Masters》(1988)。

ボーナス・アルバムとして、デジタル・リミックス盤《Yellow Submarine Songtrack》(1999)と最新リマスター盤《The Beatles 1》の2枚が付く。前者はオリジナル盤の不備──The Beatlesの楽曲は前半(A面)のみの収録で、後半(B面)はGeorge Martinのオーケストラ曲で占められている。従って敢えて後半を読み込む必要はない(G. Martinの曲が好きだという人を除いて)──を補う意味も込めて全曲彼らの曲で再構成した同名長編アニメ映画の新サントラ盤。いっそのこと、このアルバムとオリジナル盤(6曲)をそっくり入れ替えてしまうという手もある。後者は最新のデジタル・リマスタリング技術で格段に高音質化したシングルNo.1ヒット曲全集。もちろん、このアルバムを含めて重複曲が溜ってしまうが、(リミックスや別ヴァージョン曲は別として)全くの同一曲も削除せずにアルバム単位で取り敢えず読み込んでおく方が良いでしょう。

Appleのアプリらしく直感的で使い易いiTunesにも欠点はある。たとえば1曲単位でしか読み込めないこと。しかし、この不都合──ライヴ盤など切れ目なく曲が繋がっている場合、曲間にノイズが入ってしまう点(「クロスフェード再生」で、目立たなくすることも可能)──は後の「ジョイント機能」で一部解消されたものの、統合すると複数曲が1曲として表示されてしまう不具合がある。つまり、統合した2曲目以降の頭出しが出来なくなるし、ハイフンで複数曲が1曲に纏められるので相対的に曲名が長くなる。名(表示)を取るか、実(音質)を取るか悩ましいところですが、ジョイントを必要最小限に留めておくことで納得するしかない(註:この不都合な仕様も後のヴァージョン・アップで解消されたので、次の段落は読み飛ばすべき)。単に楽曲が並んでいるだけの初期アルバム(~1964)は無視して良い。統合すべきなのは中期以降(1966~)、サウンド実験に凝り始めたコンセプト・アルバム《Sgt. Pepper's...》以降からである。

まず《Sgt. Pepper's...》の1〜2曲目〈Sgt.Pepper's...〉〜〈With A Little Help From My Friend〉と、12〜13曲目〈Sgt. Pepper's...(Reprise)〉〜〈A Day In The Life〉(万全を期すなら11曲目の〈Good Morning Good Morning〉から3曲)の2カ所。次に《Abbey Road》の後半部の10〜13曲目〈Sun King〉〜〈She Came In Through The Bathroom Window〉の4曲(安全に行くのならば直前の〈You Never Give Me Your Money〉から5曲‥‥ただし曲表示が長くなる)と14〜16曲目〈Golden Slumbers〉〜〈The End〉の3曲の2カ所。曲間が無いことでも話題になった2枚組《White Album》はCD1の1〜2曲目〈Back In The U.S.S.R.〉〜〈Dear Prudence〉と、6〜7曲目〈The Continuing Story Of Bungaiow Bill〉〜〈While My Guitar Gently Weeps〉の2カ所。そして《Let It Be》の5〜6曲目〈Dig It〉〜〈Let It Be〉も単独で読み込むと曲間にノイズが入ってしまうので、この曲が好きな人は繋げておいた方が良いでしょう。お耳をダンボにして探せば他にも数カ所あるけれど、後は各自が自分の耳で確かめて下さい。

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AACエンコードはアルバム1枚につき数分程度なので、たとえ全18枚を1度に読み込んでも1時間位で終了する。但しAudio CDにはアルバム名や曲名を表示する機能がないためにCD挿入時にインターネット常時接続環境ならCDDBから、そうでなければ手入力で予め打ち込んでおけば変換後のファイルにも自動的に曲情報等が書き込まれる。ライブラリにはABC順にアルバムが、トラック番号順に曲目が並んでいるはずだ。後はCD-Rに焼くだけだが、その前に最低1回はヘッドフォンで試聴しておいて欲しい。稀にエンコード時にノイズの入る場合があるからだ。そんな時は慌ててファイルを削除しないこと。再度読み込む際に出るアラートウインドウの「置換ボタン」(Replace Existing)をクリックするだけで自動的に置換され、前の曲はゴミ箱へ行く。この辺のキメ細かい配慮が、痒い所に手が届くiアプリの美点。iTunesパネル下部の〈250 songs, 12.1 hours, 680.3 MB〉という表示を確認したら、「環境設定」の「作成」からデータCDを選び、出来れば低倍速でCD-R(700MB)に焼くだけ。内臓ドライヴの性能にもよるが、等倍速(×1)の場合でも40分程度で終了する。

たとえば〈Artist/contains/The Beatles〉という風に「スマート・プレイリスト」を作って焼けば各アルバムのフォルダが作られて、その中の曲ファイルの頭にトラック・ナンバーが付く。単に「プレイリスト」から焼くと1〜250までの通しナンバ(曲順は自由に変えられる)が曲ファイルの頭に付く。どちらの場合もCD-Rには選んだリスト名が自動的に付く(『Get Back-up』というタイトルを付けてみました)。今回リストから外した《Let It Be...Naked》を加えてもCD-R1枚に収まるサイズでしょう。万一容量オーヴァした時には音楽用CD-R(80分)を使う方法もあります(DVD-Rドライヴ内臓のパソコンならば、サイズを気にせず高音質で焼くことも可能)。iTunesの「マイ・レーティング」(曲の個人的お気に入り度を5段階評価出来る機能)を各アルバムに当て嵌めると、5つ星(★★★★★)は《Revolver》《White Album》《Abbey Road》、4つ星(★★★★)は《Rubber Soul》《Sgt. Pepper's...》《Magical Mystery Tour》‥‥ワースト・アルバム(★)は《Let It Be》というところでしょうか。

窓族の皆様、iTunesを使っていますか?──最新ヴァージョン(4.5)には従来の「イコライザ」や「マイ・レーティング」機能に加えて、長時間連続自動ランダム再生を可能にする「パーティーシャッフル」や、表示〜収納用のCDジャケを自由に作成〜印刷出来る「プリント」、約半分のサイズでCD並の高音質を実現する「Apple Losslessエンコーダ」などの新機能が満載。Appleのサイトから無償ダウンロード可能。The Beatlesの全CDアルバム17枚(オリジナル盤12+編集盤3+リミックス&リマスター盤2)──2枚組があるので実際には全18枚──を圧縮エンコード(AAC)→CD-R1枚(700MB)にバックアップ出来たのはQuickTime 6.3.1にアップデートしたから‥‥AACエンコードにはQuickTime 6.2以降が必須なのだ。18.6MBのダウンロードに何と1時間半もかかってしまいました。ダイヤル・アップ接続のダウンロードに比べれば、図書館からのCD貸出〜コピーなどは超簡単。次はLed Zeppelinに挑戦?‥‥いや、その前にiPodが欲しいぞ!

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iTunesでCCCDを読み込めることは良く知られていますが、『iPod+iTunes for Win&Mac 徹底活用マニュアル』(メディア・テック 2004)を読んでいたら、CCCDを再生可能な一般のCDプレーヤ本体(ハード)が壊れる危険性を指摘していたのでビックリ!‥‥1〜2万の安価品なら兎も角、ン100万もする最高級プレーヤを愛用しているオーディオ・マニアは要注意。欠陥CDを買わされた揚句、大切なオーディオまで「御釈迦」にされては泣くに泣けません‥‥というわけで、CCCDは買わない→聴かないのが一番。著者・村上俊一氏は筋金入りの洋楽フリーク(ライブラリにJoy DivisionやSonic Youthの曲が入っている)らしくて好感が持てます。iTunesについても、今まで1度も使ったことのなかった「隠し機能」を発見したり、考え抜かれた使い勝手の良さに今さらながら感心しました。たとえば「iTunes Musicフォルダはライブラリで管理する」の中の《iTunesは本来Macのソフトであるため、Windowsのソフトではあまり考えられないことだが、ソフトの側で勝手にファイルの管理まで行なってしまう》という文章を読む窓派ユーザの気持ちは?‥‥。

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  • 2004年6月に書いた原稿を一部加筆・改稿しました。iTunesの仕様やCCCDなど現状にそぐわないアナクロな記述もありますが、アーカイヴ記事として読んで下さい

  • 今日、音楽CDをiTunesで圧縮エンコードしているリスナーは少数派でしょうね^^;
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A Hard Day's Night (2009 Remastered)

A Hard Day's Night (2009 Remastered)

  • Artist: The Beatles
  • Label: EMI UK
  • Date: 2009/09/09
  • Media: Audio CD
  • Songs: A Hard Day's Night / I Should Have Known Better / If I Fell / I'm Happy Just To Dance With You / And I Love Her / Tell Me Why / Can't Buy Me Love / Any Time At All / I'll Cry Instead / Things We...


Revolver (2009 Remastered)

Revolver (2009 Remastered)

  • Artist: The Beatles
  • Label: EMI UK
  • Date: 2009/09/09
  • Media: Audio CD
  • Songs: Taxman / Eleanor Rigby / I'm Only Sleeping / Love You To / Here, There And Everywhere / Yellow Submarine / She Said She Said / Good Day Sunshine / And Your Bird Can Sing / For No One / Doct...


iTunes 8.2.1 for G3

iTunes 8.2.1 for G3

  • Version: 8.2.1
  • Product: Apple Inc.
  • Date: 2009/07/15
  • File Size: 77.30MB
  • Media: Application


「iPod+iTunes」 for Win & Mac徹底活用マニュアル

「iPod+iTunes」 for Win & Mac徹底活用マニュアル

  • 著者:村上 俊一
  • 出版社:メディアテック出版
  • 発売日:2004/04/08
  • メディア: 単行本
  • 目次:パソコンで音楽を楽しむ方法 / iTunesのインストールとセッティング / iTunesでCD録音とライブラリを楽しむ方法 / iPodへの転送とCDの作成 / iPodの操作を極める / アナログサウンドのコレクションを作ろう

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コメント 2

こにゃ

こんにちは^^
10年以上、窓で数年前からCDこぴるの使ってるのはiTunes。
去年iPhone4(ワタシ初の林檎製品)にしてみて、パソコンは必須だし
iTunesないと駄目だし。。。。林檎の取説?にはびっくりしましたww
USIMカードの入れ方から分かんなくって^^;
でもiPodにもなったり管理するのも簡単でデザインも凄くお気に♥
何が言いたいのかっていうとiTunesは便利だなって^^
(PC関係ハードもソフトも1/10も使いこなせてないですけど^^;)

by こにゃ (2011-09-26 16:43) 

sknys

こにゃさんも「CDこぴ」派でしたか^^
家ではCDプレーヤで再生して聴くことが多いけれど、
音楽CDをパソコンに入れて、iTunesでエンコードする作業も愉しいですね。

旧ヴァージョン(4.1)では「iTunes Store」に繋がらない!
新しいパソコンに買い換えないと、最新ヴァージョン(10.4)が使えない。
薄くて軽いMacBook Airにするか、
CDやDVDの焼けるMacBook Proにするか悩ましい^^;

「林檎の取説」は薄くてペラペラなのよ。
10月に新CEOからiPhone5や新iPodの発表があるそうです。
by sknys (2011-09-26 22:13) 

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