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ネコ・ログ #20 [c a t a l o g]

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  • 猫が風呂場の水を好むというのは、賛同してくださる方も多いであろう。猫が風呂場に入り込んで桶の水を飲んでいるといった光景は、猫のいる家庭ならよく目にするものである。浴槽の水はなかなか飲みにくいだろうから、そういう光景は私も見たことがないが。「ち」(引用者註:著者と暮らしていた黒猫)も、風呂場の水が好きで、桶に残った水などを飲んでいる。/ 当家では、米のとぎ水は下水に流さず野菜の水遣りに使うので、いったんばけつにあけておくが、「ち」はその水もよく飲んでいる。人間では願い下げの「ぬか臭さ」も嫌いではないのだろうか。さらに、台所の流しに上がり、食器にたまった水を飲んでいることもある。/ そして、これは書くのにやや気が引けるのだが、トイレ水も飲む。しかも、わざわざトイレの前で開けろとばかりににゃあこにゃあこ鳴き、仕方がないので開けてやるといそいそと入り込んで便器に上がり、便器の中に前肢をついて首を突っ込んで飲むのだ(もちろん自分の水入れの水はなみなみと入っているのにそこを素通りしてトイレに行くのだ)。
    蔦谷 香理 『猫毛愛』


  • ♯172│ソラン│飼い猫 ── 黒ネコのヒゲは白い!
    リラックスして寛いだ表情のソランちゃん。黒毛肌をバックにしたヒゲは確かに白い。なぜ黒ネコのヒゲは白いのか?‥‥チャコール・グレーのムンクちゃんのヒゲは黒いのに。相変わらず落ち着きのない気まぐれソランですが、一緒に仲良く遊んだ後に「バイバイ」して歩き出すと後を追いかけて来ることがある。このまま家や駅まで尾いて来たらどうしようと思うまでもなく、ある一定のエリア内に留まって外へは踏み出さない。ネコたちには目に見えない縄張り(テリトリー)があるらしいのだ。それはソランだけではなく、トミーサビくんにも共通して見られる行動である。自分に好意を持って接してくれた人を慕って後を追いかけて来るというよりも、訪ねて来た人を玄関先まで出て「見送る」行為に近い。「もう、ここまでで良いよ」と話しかけても、トコトコと早足で歩いて来る。先回りして待っているネコもいる。テリトリーの境界線上で名残惜しそうに坐っている姿は健気で可愛い。

    ♯173│パル│ノラ猫 ── セブン-イレブンの前で
    I袋駅前公園に棲むネコたちは場所柄、人や犬(散歩中)、クルマ、自転車、バイクなどの往来が1日中絶えることがないので常に緊張状態にあり、結構ストレスも溜まっているのかもしれない。目の前を横切る(動く)ものに対してはパルのように目を大きく瞠ることも少なくない(もっとも、それが逆にシャッター・チャンスになっているのだが)。写真のバックに映っているのがコンビニ(セブン-イレブン)で、緑の叢の見える向かって左側に「I袋水天宮」の社がある。階段のある神社周辺は細長い公園内のネコたちの溜り場になっている。手水舎(手洗い場)もあるので水分補給にも事欠かない。パルはJRの線路の方を見つめているわけだが、通過する山手線や埼京線の電車ではなく、植え込みの中にいる仲間のネコか、あるいはゴハンを運んで来た人間かどうかを見定めているのだと思う。右奥で寝そべっているネコはリラックスしていますね。

    ♯174│ラーク│ノラ猫 ── カリカリが大好き
    ある日、太っ腹のネコおじさんが気を利かせて生の魚(鯵)を丸ごと夕食に振る舞ってくれた。でもリアル魚を見たことが1度もないのか、公園のネコたちはビックリして後退り‥‥ネズミやトカゲなどを捕まえて弄ぶように爪を立てて、「死んだ魚」と格闘したあげく、遠くの方へ放っぽり投げてしまった。まぁ、リアル魚を見たことがないのは、スーパーの鮮魚コーナーで「切り身」しか買わない今どきのギャルと同じレヴェルですが‥‥。ラーク君もネコ缶に入っている湿ったキャット・フードよりも、乾燥したビスケット・タイプの方を好む。甘え声で「ミャ〜」と鳴いて、ネコおばさんの持って来た「カリカリ」を強請る。一心不乱に食べているようでも、周囲に対する警戒は怠らない。食事中でも時々目を上げて異変がないかどうか周囲を観察している。「カリカリカリ‥‥」という、歯で噛み砕く音が小気味良く響く。

    ♯175│シコ│ノラ猫 ── 瞠目するネコちゃん
    パルとは逆方向から撮った写真で、対照的にシコはコンビニ(セブン-イレブン)の方を見つめている。手前の岩場に置いた白い左前脚が可愛い。顔の上部が黒く、マズル部分から下が白いツートーン・キャット。ちょうど顎のところが黒いので、ちょっと次元大介のように見えなくもない。躰を触られても怖がらないくらいには人馴れしているのに、長い尻尾に触られるのだけは嫌いらしく、振り向いて恨めしげに「ニャ〜」と鳴く。シコが目を瞠って一体何を見つめているのかは不明‥‥でも、視線の角度から推察すると鳥(ハトやスズメやカラス)の可能性が高い。海を泳いでいたリアル魚は「獲物」として認識出来なかったけれど、空を飛ぶ鳥類に対してはハンターとしての本能、DNAに眠っていた遺伝子が目醒めるのだろうか。ネコ族は草食系男子のように鼻の下を伸ばして、舗道を行き交う女子校生やミニスカ娘の脚線美に見蕩れているわけではない。

    ♯176│ジノ│ノラ猫 ── 萌えよネコ耳!
    ネコの耳の大きさは年齢に反比例する。子ネコは「小顔」なので、相対的に耳が大きく見えるから。たとえば、諏訪野チビ猫の耳が次第に大きくなって、逆に幼い顔立ちになったように。ヘッドフォンやカチューシャ(ヘアバンド)のように頭に着装するコスプレ用の「ネコ耳」を最初に発案したのは一体誰なのか。ミッキーマウスの「ネズ耳」からヒントを得て作られたものなのか、それとも「ネコ耳」は「ネズ耳」の前から独自に存在していたのだろうか?‥‥。ジノの写真を撮っていると、ランドセルを背負った女子小学生がネコを撫でながら教えてくれる。「馴れているけれど、躰に触っていると引っ掻かれることがある。ネコと仲良くなれば引っ掻かれなくなる」と。ジノの耳の大きさには子ネコ時代の面影が残っている(左耳がカットされているのは避妊手術済みという目印)。通りかかったオバさんが「ネコを虐めないでね」と声をかけて行く。

    ♯177│サンバ│捨て猫? ── ウンコ中じゃないよ
    広場を歩いていたネコの後を尾いて行くと、ある団地の前にある駐輪場へ案内された。バイクの後ろ座席に乗った子ネコ(ホッパー)もいる。周辺には引っ越しの際に置いて行った家具類などの粗大ゴミが無造作に積み重なっている。その時には気づかなかったが、この辺一帯の団地5棟の老朽化に伴う建て替え計画が進行中だったのだ。解体工事〜建設中の期間、仮の住居へ引っ越して行く住人たち。毎日この附近をウォーキングしている老人も、「いつの間に藻抜けの殻になってしまったのか、200世帯以上の住民は一体どこへ行ってしまったのか?」と首を捻る。もしかして置き去りにされた飼いネコたちだったのだろうか?‥‥そう考えると、思い詰めたようなネコの必死さが写真からも伝わって来る(ちなみに左に写っているMac Fan6月号の表紙は夏帆!)。その後、ゴースト団地と化した区劃には金網や金属製の塀が張り巡らされて、関係者以外は敷地内へ入れなくなってしまった。駐輪場のネコたちは飼主と一緒に引っ越し先へ連れて行ってもらえたのだろうか。

    ♯178│アップ│ノラ猫 ── ロン毛という生き方
    毛髪や髭を長く伸ばした導師や仙人が浮世離れしているように、長毛種のネコも悟りを開いて泰然自若しているように見える。アップも長い毛並みを撫でられたくらいでは全く動じない。まるで公園の主のように堂々としている。かつて男子の「長髪」は不潔、見苦しいなどの理由で大人たちから忌み嫌われた。女性は髪が長くても嫌悪されないし、パンツ(スラックス)を穿いて自由に闊歩しているのに、男性が髪を伸ばしてスカートを穿くと「女装」と看做されてしまう。「長髪」が「ロングヘアー」や「ロン毛」と呼ばれるようになってから少し風向きが変わって来た。ヘビメタやパンクが音楽の1ジャンルとして定着したように、「ロン毛」もスキンヘッドやモヒカンと同じく、ヘア・スタイルの1つとなったのだ。しかし皮肉なことに、「長髪」の若者たちも中高年のオヤジと化して髪の毛が薄くなって来た。「ロン毛」にしたくても出来ないという哀しいジレンマ。最も醜悪なのはハゲ隠しのカツラや似合わない帽子を被っている男ども‥‥一番カッコ良い「ロン毛」は内田裕也である。

    ♯179│ソラン│飼い猫 ── ソラリ・キャット・ソラン
    舌先を器用に操って水を飲むネコの動作は優雅で見飽きることがない。左手前にある青いポリバケツの中の水を飲んでいるソランを撮った。ちょうど吸水を止めてカメラ目線で見つめているところ‥‥ソラリゼーション機能+フラッシュ撮影の合せ技である。なぜかしらネコは汲みたての新鮮な水よりも、清潔とは言い難い溜め置きの水を好んで飲む傾向があるらしい。スーパー仔猫ガミッチ(Gummitch)も、図書館ねこデューイ(Dewey)も飼主が用意した水を一向に飲もうとしなかった。動物は人もネコも水なしには生きられない。どこかでネコたちも水分を補給しているはず。その場所がトイレだったとは!‥‥洋式トイレの便座に跨がって水を飲んでいるネコを目撃した飼主は少なからずショックを受けることになる。どうしてネコは専用ボールの中の水を飲まないのか。容器に付着した洗剤や水道水の中に含まれるカルキ(塩素)臭を嫌がるのだろうか。ソラン君もトイレの水を飲んだりするのかな?

    ♯180│レモン│飼い猫 ── マグちゃんのママだったのね
    個性的なネコたちが棲息する空地、民家が建ち並ぶ地域で何度かネコの写真を撮ったことがある。最近ネコの姿を見かけなくなったけれど、一体どこへ行ってしまったのか、近所にネコを虐待する住人がいる!‥‥など、ネコ好きの主婦と立ち話をした際に、今度ネコ写真を持って来る約束していた。オッドアイの長毛種マミーマグちゃんの写真を手渡した時、たまたま持っていた「ネコ・アルバム」の中にレモンちゃんを発見した主婦が驚きの声を上げた‥‥「マグちゃんのお母さん!」。ファニー・フェイスのマグは近隣の家の飼いネコだが、昼間は主婦の家へ遊びに来るという(矢口高雄が飼っていた三毛猫ナッコのように別宅を持っているのだ)。お母さんの方は訳あって路地を1つ隔てた余所の家の主人にゴハンをもらっている。そこにも数匹のネコたちが暮らしている。人懐っこいレモンとマグが母子関係にあったとは!‥‥ネコの年齢は分からないなぁ。

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    各記事のトップを飾ってくれたネコちゃん(9匹)のプロフィールを紹介する「ネコ・カタログ」の第20集です。サムネイルをクリックすると掲載したネコ写真に、右下にあるナンバー表の数字をクリックすると該当紹介文にジャンプ、#ネコ・タイトルをクリックするとトップに戻ります。ノラ猫や地域猫、飼い猫を差別しない方針で、これまでに延べ180匹以上のネコちゃんを紹介して来ましたが、こんなにも多くのネコたちが棲息していることに驚かされます。第20集にはソランちゃんが2度も登場!‥‥パルやシコ、レモンちゃんも元気です。先日サンリオ・バーゲン(半額セール)に行って来ました。定番キャラのキティちゃんではなく、見馴れない2匹のネコがいた。ニョッキとペンネ(Nyokki & Penne)という仲良し黒・白ネコ。黒ネコのニョッキが可愛かったので青地にピンク・ドットのプチタオルを買ってしまった。イタリアン・レストランの主人に飼われている2匹の子ネコが旅に出るというストーリらしい。キティちゃんを超える「子猫キャラ」になるでしょうか。

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    • 「猫毛愛」は「ねこげあい」ではなく「ねこけあい」と読むそうです^^
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    猫毛愛 ── 毛から気づいた50の猫のおきて

    猫毛愛 ── 毛から気づいた50の猫のおきて

    • 著者:蔦谷 香理
    • 出版社:幻冬舎
    • 発売日:2010/11/25
    • メディア:単行本
    • 目次:猫毛1本、愛の素 /「猫毛」は「ねこけ」である / 黒猫の猫毛はまっくろけにあらず / 猫は猫くさいが、健康な猫毛は無臭である / 毛並み良き猫、健康優良猫 / 猫毛は茶柱である / 猫毛は自他の境界である / なにがなんでも人の足は踏んで歩く / でも人に踏まれるのはいや / 見えないものが、たぶん見えている / おはらいをしてくれる / 見つめられるの...

    タグ:cats catalog
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    コメント 4

    HOKUTEN

    境界線でお見送りですか。
    かわいいですねぇ・・・。
    そこまで仲良くなったことが無いなぁ・・・。
    by HOKUTEN (2011-01-27 03:43) 

    sknys

    HOKUTENさん、コメントありがとう。
    後を追いかけて来ると思うと、後ろ髪を引かれて切なくなるけれど、
    お見送りと考えれば気分良く別れられる^^
    外ネコと仲良くなる秘訣は、腰を落として目線の高さを同じにすることです。
    by sknys (2011-01-27 22:45) 

    渋谷@美容院スタッフ

    私のお気に入りのブログです☆これからも楽しみにしていますね!(^ー^)b
    by 渋谷@美容院スタッフ (2011-02-12 16:16) 

    sknys

    渋谷@美容院スタッフさん、コメントありがとう。
    髪は自分でカットしています。
    男の人からは、脱色して染めているの?‥‥って訊かれますが^^;
    by sknys (2011-02-14 00:25) 

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