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P A G E V I E W〔7 0 0 0 0 0〕 [b l o g]

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読者の皆さん、愛読ありがとう。〈s k n y s - s y n k s〉の総閲覧数が700000pvを越えました(2010/10/21)。6月21日から、ちょうど4ヵ月で10万pv(記事数21)に達したことになります。このペースで行くと、1年後には100万pv達成することになります。もっと早くなる可能性も高いけれど、それは読者次第ということで‥‥。サイドバーに置いてある「Blogopolis」は架空都市(青い海原に浮かぶ孤島のように見えなくもない)に建つ家屋やビルの大きさでブログの人気度を表わす趣向が面白い。購読者数=高さ、ブックマーク数=広さに比例しているらしく、人気のある記事は「別館」として増築されるようだ。〈s k n y n x〉は購読者数=0、ブックマーク数=9(2010/10/25現在)で、ビルの谷間に埋もれている。一ヵ所に定住しているわけではなく、ヤドカリみたいに流動的に場所を移動するところが現実の地図上の建築物とは異なる。今は西の果ての辺境(マージナル)ですが、いつの日か都心の一等地に進出することが出来るのでしょうか?

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〈ブルックリン最新出口〉に選出したかったアルバムが1枚あった。DM Stithの《Heavy Ghost》(Asthematic Kitty 2009)‥‥1年半前にリリースされたアルバムが早くも入手困難、2009年ベスト・アルバムに選出されほどの秀作なのに、CDショップの店頭から消えてしまった。大手のネット通販や輸入レコード店のオンライン・ショップに在庫はあるけれど、通販は嫌いだし、取り寄せ注文も面倒臭い。DM Stithに限らず、最近はCDショップに在庫のないことが少なくない。売れ残りが出ることを恐れて、少数しか入荷しないのだろうか(1週間経って1枚も売れないと、輸入したバイヤーが始末書を提出するという噂も漏れ聞く)。某CDショップには「DM Stith」のネームプレートがあるだけで、一向に補充される気配がない。ところが先日、クリアランス・セールのワゴンの中を漁っていて発見!‥‥ちょっと信じられない、喜んで良いのか悲しむべきなのか複雑な気分になった。数カ月間も探していたアルバムがセール品(¥490)とは‥‥売れないのでセールに回されたのか、店頭に並ばないので売れないのか?‥‥いずれにしても、同時に公開表示される早いもの勝ちのネット・セールでは味わえない「掘出し物」だった。

デカルコマニー風のアルバム・カヴァやブックレット(12頁)の自筆イラストを見れば分かるように、DM StithことDavid Michael Stithの本業はグラフィック・デザイナーである。彼のスタイルはピアノやギターを弾きながら歌う宅録系SSWで、いわゆるエレクトロニカ色も濃い。多重録音されたコーラスやストリングスに覆われた暗鬱な森から聴こえて来る精霊や幽鬼(ゴースツ)のような中性的なヴォイスを気味悪く感じるリスナーもいるかもしれない。しかし、DM Stithのデビュー・アルバム《Heavy Ghost》にはレーベル・メイトで録音にも参加しているSufjan Stevensのニュー・アルバム《The Age Of Adz》(2010)に似た感触があるのだ(DM Stithはアクースティックで儚く、Sufjan Stevensはエレクトロニックで狂おしい)。《Heavy Ghost Appendices》(2010)はデモ・ヴァージョンやカヴァ曲、リミックスなど全22曲を収録した2枚組コンピレーション。この「付属物」もリアル・ショップに並ぶ気配がないので、某輸入レコード通販センターから店鋪へ取り寄せてもらった。もちろん、こっちは通常価格(¥1650)である。

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アナログ盤に代わって登場した音楽CD(デジタル)は音が硬いとか冷たいとか、どのような再生装置で聴いても全く同じ音質だとか言われていたが、リマスター技術の進歩によって音質は改善され、CD盤の材質によっても音が変化することが分かって来た。しかし、ネット上からダウンロードされる圧縮ファイルやCD以上に高音質(24bit)の配信で、皮肉なことにCD事態の存在が危ぶまれる事態になっている。街のレコード店が減少するどころか、CDメディアそのものが消滅してしまう未来が近づいて来たのだ。その一方で、アナログ盤の音質の良さを主張して譲らないアナログ派ならぬアナクロ音楽愛好家たちも少なくない。最高級の海外ブランド・オーディオ(アンプ、プレイヤー、スピーカー)でアナログ盤を再生すれば良いサウンドでしょうね。アナログ至上主義者やオーディオ・マニアにケチをつけるつもりは全くないけれど、円盤形のレコード(アナログ盤)は外周と内周でスピードが異なる。つまり内周へ進むほど、盤面に刻まれた情報量が少なくなって音質が低下するということを知っているのかしら?

円盤形のアナログ・レコードはエジソンが発明した円筒形の蓄音機に音質面で劣っている。『森博嗣の半熟セミナ 博士、質問があります!』(講談社 2008)の中で、博士は助手の質問に次のように答えている。アナログ盤は「同じ回転数で回っているわけだから、針が溝を擦る速度は、レコードの外側が速い。最初の曲よりも、後の方の曲の方が速度が遅くなる。ようするに、記録密度が変わってしまうわけだね。速い方が解像度が高いことになる。それから、溝がカーブしているのも良くない」と。学生時代にアナログ盤を聴いていて、1曲目は澄んだ良い音なのに、次第に音がモコモコ籠って来て音質が悪くなって行くように感じたのは、決して「空耳」ではなかったのだ。アナログ盤の最初と最後の曲に音質差があることは、アルバムから選曲〜ダビングしてオリジナル・カセットテープを作る際にも感じたことである。アナログ盤の音質が均一ではないという構造的な欠陥に、アナログ盤偏愛者や音楽評論家たちは一体何と答えるのでしょうか。

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ゲゲゲ人気の波及効果で水木しげる先生の「妖怪マンガ」が再評価されて、より広範囲の読者(特に毛嫌いしていた女性たち)を獲得するのは良いことだと思う。しかし、その一方で楳図かずお先生の「恐怖マンガ」の旗色が悪くなっているように感じるのは気のせいだろうか。鬼太郎や猫娘、ねずみ男などの銅像のある「水木ロード」は好意的に迎えられて、赤白ボーダー模様の「UMEZZ HOUSE」が周辺の住民から非難されているのは理不尽ではないか。商店街と住宅地の違いはあるけれど、写真で見る限り、「まことちゃんハウス」が街の景観を著しく損ねているようには思えない。反対運動をしている住民たちの意識下には少年少女に悪影響を与える気味の悪い有害コミックを描いているマンガ家の建てた家という偏見があるような気もしないではない。楳図かずおは「恐怖マンガ」のパイオニアである。「ホラー」という言葉(ジャンル)がなかった半世紀以上前から全国の少年少女たちを震え上がらせる怖いマンガを描いて来たのだ。その画業が誉められることはあっても貶される由縁は露一つない。ある日、クラスの女子が学校に持って来た少女コミック誌の「へび女」の衝撃は今でも忘れられない。

「ねこ目の少女」(1965)は週刊少女フレンドに連載された楳図かずおの出世作である。加賀の殿さまは大のネコ嫌いだった。町中のネコたちを狩っては虐殺していた。その加賀家に花姫と雪姫という可愛い双子姉妹が生まれる。ところが、殺されたネコたちの「祟り」なのか、雪姫は「ねこの目」をしていた。その容姿を気味悪がった殿さまは実の娘の食事の中に毒を盛って殺そうとさえする。ある夜、雪姫は短刀で「猫の像」を彫り始めるが、志半ばで絶命する‥‥。加賀家の末裔の夫妻に生まれた双子姉妹の木ノ実とヒトミ。ある日、庭に埋まっていた「猫の像」を抱いたヒトミの顔がネコのように変わってしまう。夜中に物置きの中で「猫の像」を彫っていた姿を目撃されたヒトミは木ノ実に襲おうとするが、階段の手摺が折れて転落死する。そして稲妻が光りと雷鳴が轟く嵐の夜に、墓の中から甦る(なぜか土葬!)。木ノ実とヒトミの双子姉妹は花姫と雪姫の生まれ変わりだった。「猫の像」を完成させてネコの姿を木像に写すことで、ねこ目の少女は美しい雪姫に戻り、「加賀家に伝わる怖しい呪いが解けるのじゃ」。悪いのはネコを殺戮した加賀の殿さまで、ネコちゃんに罪は全くないのだ!‥‥ニャーゴ。

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『ハンニバル・ライジング』(新潮社 2007)はハンニバル・レクターの幼年期から青年時代の物語だが、「怪物くん」ではなく美少年として描かれている。まるで少女マンガの主人公のように‥‥。1941年、リトアニア。ヒトラーが電撃的バルバロッサ作戦でソ連に侵攻したのを期に、レクター伯の一家も居城から山奥の狩猟ロッジへ避難する。1944年冬、ロッジの井戸の水を借りに立ち寄ったソ連軍の戦車(T-34)とドイツ軍のシュトゥーカ爆撃機の戦闘に巻き込まれて家族や使用人たちを失う。生き残ったのは妹のミーシャとハンニバル少年だけだった。さらに兄妹はロッジに押し入ったハイエナのような略奪者たちに蹂躙されてしまう。ミーシャの死‥‥ソ連軍の大型戦車(KV-1)に救助されたハンニバルは失語症になっていた。叔父のロベール・レクター伯爵(画家)の許へ孤児院から引き取られ、紫夫人(日本人妻)に庇護される。ハンニバルは叔母を侮辱して辱め、叔父の死に間接的に関与した精肉業者のポール・モマンを惨殺する。

パリの医学生となったハンニバル青年は死刑囚ルイ・フェラの最後の尋問に使われた薬剤を自ら注射して失われた記憶を取り戻し、妹ミーシャを殺した対独協力者たち──カツィス・ポーヴィック(鍋男)、エンリクス・ドートリッヒ(ソ連警察中尉)、ヴラディス・グルータス(青目の闇商人)、ツィグマス・ミルコ(ドートリッヒの仕事仲間)、ペトナス・コルナス(カフェ店経営者)、ブロニス・グレンツ(剥製屋店主)に復讐を誓う。俳句、和歌、習字、華道、武道、水墨画など‥‥紫夫人から日本の伝統文化を学んだ親日派のハンニバルは、日本人女性と再婚した画家バルテュスを想わせるところがある。それどころかバルテュスとハンニバルは従兄弟関係にあるのだ。『ハンニバル』(1999)が肉食人種たちのグロテスクで悪趣味な「肉料理」だったとすれば、『ハンニバル・ライジング』(2006)は草食系日本趣味の「和食」という感じもある。美少年ハンニバルの姿がエドガー・ポーツネルと重なったりして?‥‥血と肉の違い、バンパネラとカニバリストは似ていないだろうか。

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s k n y s - s y n k s

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  • no nice!
  • Author: s k n y s
  • Articles: 296
  • Date: 2010/10/21
  • Page View: 700140


Heavy Ghost

Heavy Ghost

  • Artist: DM Stith
  • Label: Asthmatic Kitty
  • Date: 2009/03/10
  • Media: Audio CD
  • Songs: Isaac's Song / Pity Dance / Creekmouth / Pigs / Spirit Parade / BMB / Thanksgiving Moon / Fire Of Birds / Morning Glory Cloud / GMS / Braid Of Voices / Wig


森博嗣の半熟セミナ 博士、質問があります!

森博嗣の半熟セミナ 博士、質問があります!

  • 著者:森 博嗣
  • 出版社:講談社
  • 発売日:2008/12/18
  • メディア:単行本
  • 目次:階段の電気ってどんな回路?/ プラスとマイナス / AMとFM / デジカメの一眼レフ / 自転車のハンドルの秘密 / ジャイロ効果って何?/ ブーメランは何故戻ってくる?/ 三輪車の秘密 / 鉄筋コンクリートって?/ コンクリートとセメントの違い / 壊さない試験方法 / どうして左右だけ逆になる?/ サンダーバードを知っていますか?/ 宇宙のテクノロジィ ...


ねこ目の少女

ねこ目の少女

  • 著者:楳図 かずお
  • 出版社:小学館クリエイティブ
  • 発売日:2008/03/14
  • メディア:単行本
  • 収録作品:ねこ目の少女 / ゆうれいがやってくる


ハンニバル・ライジング 上

ハンニバル・ライジング 上

  • 著者:トマス・ハリス(Thomas Harris)/ 高見 浩(訳)
  • 出版社:新潮社
  • 発売日:2007/04/01
  • メディア:文庫
  • 目次:プロローグ / 第1部

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コメント 2

HiyoRi

お久しぶりすぎです。(笑)
当時小学生だった私も、気がついたら中学生・・・。そして今年受験生です。
あの頃は自分だけのオリジナルスキンを作りたくて、一生懸命この「sknys-synks」さんに通わせていただいていました。すごく、懐かしいです。

私も小学生なので沢山のご無礼、迷惑をかけたと思います。本当にすみませんでした。でも、そんな私にオリスキのことについて私が質問すると、いつも丁寧に教えてくださり、とても嬉しかったことを今でも覚えています。
本当にありがとうございました。

最近になって、また少しずつブログを更新し始めた(と言っても月に一度ぐらいのペースですが)ので、すごくお暇なときにでも(記事が本当にくだらないので)覗いてみたりしてください^^

それでは、長文失礼いたしました!
また訪問させていただきます。

旧ニックネーム mana☆より。
 (この名前で、「ピンッ!」ときていただけたら嬉しい限りです。)
by HiyoRi (2010-10-27 23:28) 

sknys

HiyoRi (aka mana☆)さん、コメントありがとう。
「オリジナルスキン」作りは、お互いに燃えましたね。
HTMLやCSSに関しては全くの素人同然だったので、
分かり難いところもあったと思います。

本ブログの読者コメントはオジさんやオバさんが大多数で、
小学生からのコメントは珍しかった。
旧mana☆さんが読者の平均年齢を下げていたわけです。
女子小学生ということで気を遣うこともありましたが、
1人のブロガーとして対等な立ち場でコメントして来ました。

年を取ると1年が瞬く間に過ぎ去って行きます。
10年以上経たないと、懐かしいという感情が湧いて来ません^^;
今現在の貴重な時間を大切に‥‥高校受験、頑張って下さい。
by sknys (2010-10-28 22:10) 

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