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ネコ・ログ #19 [c a t a l o g]

  
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  • ネコは天真です。原始の力を持っています。あるがままに生きる姿を見せるところがヒトを惹きつけます。自然なネコの生き方、暮らし方ができるのは島だけになってしまったかもしれません。/ 2000年、初めてこの島を訪れた時に巡航船から小さな入江を見つけました。こんな島で暮らせたらいいだろうな、とその入江で小舟を漕いでいる姿を漠然と思い浮かべます。松林と海に囲まれた小屋で毎日必要な分だけ魚を獲ってきて、小さな畑で野菜を育てることを想像してみます。その夢にはもちろんネコと一緒の暮らしがあります。ゆっくりとした時間の流れをネコと共有することは素晴らしいでしょう。/ 実際は島で暮らすことのデメリットも多々あります。だからこそ島からヒトが去ってしまうのです。でもこれからの地球を想うとどうなのでしょうか、島や海を大切にできなければ何をしても地球は滅びてしまうのではないでしょうか。ネコを見ているとこの地球に生まれてきたときのことをヒトは忘れてしまっているのかと思うことさえあります。生きものとして、ヒトはもっと体に正直でありさえすれば、いろいろな問題の答も見つかるのではないでしょうか。ね、ネコ様よ。
    岩合 光昭 『ハートのしっぽ』


  • ♯163│マオ│迷い猫 ── 公園の迷子ネコちゃん
    チューブ状のスベリ台やブロック迷路のある公園の片隅でニャーニャー鳴いていた謎の迷いネコ(普段は見かけないネコだったし、毛並みも栄養状態も良さそうなので、近所で飼われているネコなのかもしれない)。〈ネコ・ログ #18〉で見たネコちゃんに似ていると思った読者はネコ鑑識眼が鋭い。その正体はカイちゃん!‥‥フラッシュ撮影したら全く別ネコ28号のように写っちゃった。1粒で2度美味しい、1着で2着分使い回せるリヴァーシブル・ネコなのだ。もし猫語が話せるのならば、マオちゃんが何を訴えているのか解るのに、その脹よかな毛並みを撫でてあげることしか出来ない。遊歩道を通りがかったオジさんがウエスト・ホーチから小さな白いケースに入った煮干しを取り出すと、ポリポリと食べる。お腹が空いていただけなのだろうか?‥‥何か秘密のメッセージを伝えようとしていたように思える。『猫語練習帳』(朝日出版社 2002)で「猫語」を学ぼうかしら。

    ♯164│イチゴ│飼い猫 ── ソラリ・キャット・イチゴ
    「ネコ・ログ」の常連三毛ネコ、イチゴちゃんは目が合うと近寄ってスリスリして来るけれど、カメラを向けると目を反らす。一緒に戯れている間に陽も暮れて来た(彼女は遊んでいるつもりでも、撮影者は悪戦苦闘しているのだ)‥‥。今までソッポを向いていたイチゴちゃんがカメラ目線で、どうして撮らないの、折角ポーズを取ってあげているのに‥‥とでも言いたげな睛で見つめる。既に暗くなって、手ブレ・マークがモニタ画面に表示されてしまうので、フラッシュ+ソラリ・モードで試してみた。白・黒・茶の3色が際立つ美しいネコ写真になった。飼主夫婦が共働きなので、イチゴちゃんは昼間は外ネコ、夜になると内ネコという生活を送っている。猛暑の今夏はガレージ(空き車庫)の日陰で涼を納っていた。コンクリートの床が体温で暖まると徐に移動する。隣家の老人に「お前も年寄りになったなぁ」と、躰を手荒く撫でられていましたが‥‥。

    ♯165│フリオ│ノラ猫 ── ベンチの上で寛ぎます
    スーパーHの細い車道を挟んだ左隣に花壇とベンチに囲まれた三角形の小公園がある。奥は茂みになっていて、民家と駐車場の挟間は金網で仕切られている。小さなスペースに3〜4匹のネコたちが棲息しているけれど、人馴れしているのはフリオちゃんだけで、他のネコは近づくと茂みの奥へ身を隠してしまう。石のベンチに坐って手招きすると、フリオがベンチに跳び乗り、腹這いになって寛ぐ。キャットフードを持って来るネコ・オバさんが話す。スーパーHの裏手にある8階建てマンションの屋上にネコが昇って来るので困ると、住人から苦情を言われたと苦笑い。樹の上や高い塀の上など、ネコ科の動物は高い所に昇る習性がある。もしネコが落ちたらどうするのよ。屋上に昇るのを防げないのなら、保健所に連絡するわよと言うマンションの住人に、区の保健所がノラネコを引き取らないことを知っているネコ・オバさんは「どうぞ、ご自由に」と鷹揚に応じる。保健所の担当者からは逆に転落防止用のネットを張って下さいと言われたらしい。階段を1階から8階まで昇って行くネコの後姿が目に浮かぶ。僕とフリオと公園で。

    ♯166│クー│飼い猫 ── ゴールは僕が守るニャン
    メロン色の目が涼しげなクーちゃんに顔を憶えられたみたいで、ネコ・カメラマンに気づくと近寄って来る。スリスリ攻撃で、アッという間にジーンズの膝下が毛だらけになってしまった。さらに爪を立てて攀じ昇り、10cmくらいの至近距離までネコの顔が迫る。一体何が望みなのかしら?‥‥腹這いになって注意深く前方を見渡す姿はネコ・キーパーを想わせなくもない。11匹のネコ立ちにサッカーを教え込むことが出来ればの話ですが‥‥閑話休題。ネコを撮っているデジカメはシャッター・スピードが1/30秒以下になると自動的に手ブレ・マークがモニタ画面上に表示される。それでも稀にピントが合って鮮明に撮れる時がある。カメラを手前の地面や石などの上に固定すると成功率が高まる(クーの写真も1/30秒で撮っている)。被写体がボケているかどうかはモニタ画像を拡大して、ネコのヒゲが1本1本ブレずに写っているかどうかで判断する。メモリースティックの容量(16MB)が少ないのでピンボケ写真は、その場で削除することにしている。

    ♯167│マージ│飼い猫 ── びっくり猫屋敷の殺人 7
    カメラを向けると大抵のネコは目線を反らしてソッポを向いてしまう。撮影者を真正面から見てくれるのは最初の数秒から数十秒だけで、対象人物が敵か味方か、要注意危険人物か人畜無害なのかを見切ると、まるで何事もなかったように無視する。それでも例外的にカメラを興味深そうに見つめている好奇心旺盛なネコにはシャッター・チャンスがある。大きく目を瞠っているネコ写真を撮るコツは被写体がカメラではなく何か別のもの(人、犬、自転車、自動車、昆虫、鳥など)に目を奪われている隙を狙うこと。ネコが目の前を通過するクルマに驚き、散歩中の犬を睨み、空を飛ぶ雀を見上げ、地上に降りて来た鳩に狙いを定めている間に、ネコと対象物の間に入って撮ること。ネコはカメラではなく、その向こうの「獲物」を見つめているのだ。「びっくり猫屋敷」のネコたちは殺人現場を目撃して驚いているわけではないし、マージさんもイケメン・カメラマンに見惚れているわけでもない。

    ♯168│アンジー│ノラ猫 ── 眠るネコ、寝る胸
    今年(2010年)の夏は猛暑だった。駅前公園のアンジーも溶けたアイスクリームのように眠っていた。ある日、気を利かせたオジさんが奮発して、捌いていない生鯵を公園のネコたちに振る舞ったところ、ビックリ驚いてネコパンチ攻撃を繰り出した後に遠くへ放り投げてしまった。まだ生きていると思っているのだろうか、それとも仔ネコ時代に母ネコから生の魚を食べさせてもらったことがなかったのか?‥‥スーパーやデパ地下の鮮魚売場に並んでいる「切り身」しか見たことのない今どきの娘たちのように、海で泳いでいる状態の丸ごとの魚というものを生まれてから1度も見たことがないのかもしれない。魚屋さんの店頭に並んでいる新鮮な魚を素速く口に咥えて盗んで行く「ドロボー猫」(今や妻帯者や恋人を横恋慕して寝取る性悪女という比喩的な意味でしか使われなくなってしまった!)は一体どこへ行ってしまったのでしょうか。生魚を投げ捨てた公園のネコたちはネコ・オバさんからペットフードを強請るのだった。

    ♯169│テンゴ│飼い猫? ── 関係者以外立ち入り禁止!
    某水道局の敷地内に4〜5ひきのネコたちが屯している。歩道と敷地の間は黒い鉄門や鉄柵で仕切られている。「関係者以外立入禁止」の安全地帯であることを彼らは本能的に承知しているのだろう、なかなか鉄柵を越えて出て来ない。何故ネコたちは車道に面した場所にいるのだろうか?‥‥その疑問は、ある日の夕暮れ時に氷解する。1人の女性が大量のキャットフードを鉄柵の前に置いて行く。ネコたちは彼女の運んで来る夕御飯を待っていたのだ。しかし、ここで新たな疑問が脳裡に浮かぶ。施設内で飼われているらしいネコたちは満足な食事さえ与えられていないのか?‥‥水道局の必要経費でネコの「エサ代」は落ちないだろう。従業員が自腹で養っているのか(ネコたちが満腹ならば女性が撒くキャットフードに群がることもないはずだ)、それとも敷地内のゴハンは不味くてネコ跨ぎなのか?‥‥。ネコたちの食べ残したキャットフードを黒カラスどもが狙っている。「カラスが集まって来るので猫の餌を置いて行かないで下さい」という小さなプレートが鉄柵に括り付けられていたけれど、本末転倒のような気もする。敷地内のネコたちに美味しいゴハンを腹一杯食べさせてあげる方が先じゃないの?

    ♯170│ピンク│飼い猫 ── 誰がタイルを剥がしたの?
    ピンクちゃんに出逢ったのは3年も前のこと。それ以来、1度も彼女の姿を見かけないのは屋内で飼われているネコだから?‥‥写真を撮った日は、たまたま何かのアクシデントで外に出て来てしまったのではないか。ちょっと硬めの毛並みも綺麗だったし、ピンク色の首輪も美しく輝いていた。出逢った時の彼女は道端の雑草を無心に食べていた。植物の葉っぱが食べたくて外へ跳び出した可能性もある。補修中なのか、民家の前のタイルの一部が剥がれていた。その四角いタイルがマトリックスのように、ピンクちゃんを異次元へ運ぶ。レイ・ブラッドベリの「びっくり箱」は「塔の中の姫君」や「籠の中の小鳥」のように、4階建ての家(エレヴェータ付き!)の中に幽閉されている少女、この家だけが「世界」だと狂信的な母親から教え込まれていたドーナが母の死後、外へ飛び出すという短篇だったが、ピンクちゃんも同じような心境だったのかしら。もう1度、彼女の逢いたいなぁ。

    ♯171│ホッパー│ノラ猫 ── ワイルドで行こう
    広場にいた白茶ネコの後を追って団地の前に設置されている駐輪場へ行くと、バイクの荷台の上に1匹のネコが坐っていた。躰は小さいのに面構えは精悍なワイルド・キャット。真っ直ぐに見つめる眼光は鋭い。駐輪場まで連れて行ってくれた白茶ネコはニャーニャー鳴いて動き回っているけれど、バイクの上のネコは落ち着き払って微動だにしない。〈ワイルドで行こう〉をBGMに、カスタム・バイク(ハーレー・ダヴィッドソン)に跨がってアメリカを横断する『イージー★ライダー』(1969)のイメージが重なる。ビリーとキャプテン・アメリカの旅は今も続いている(監督・脚本・主演のデニス・ホッパーは2010年5月29日に死去した)。団地から引っ越して行く時に捨てられた家具の中に収まっていたホッパー君は箱の中も大好きらしい。駐輪場の奥にペットフードが置かれていた。団地の住人が世話をしているのでしょう。

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    各記事のトップを飾ってくれたネコちゃん(9匹)のプロフィールを紹介する「ネコ・カタログ」の第19集です。サムネイルをクリックすると掲載したネコ写真に、右下にあるナンバー表の数字をクリックすると該当紹介文にジャンプ、#ネコ・タイトルをクリックするとトップに戻ります。ノラ猫や地域猫、飼い猫を差別しない方針で、これまでに延べ170匹以上のネコちゃんを紹介して来ましたが、こんなにも多くのネコたちが棲息していることに驚かされます。第19集の常連ネコはイチゴとクーちゃん。マージとアンジーとピンクも再登場。『ハートのしっぽ』(小学館 2010)は宮城県の猫島に棲む「田代島のネコたち」を動物写真家・岩合光昭が撮った写真集。周囲約12kmの小さな島で生活する住民よりもネコの数の方が多いことでも有名な「聖地」ですが、地中海に浮かぶ小国「猫町ナーゴ」のようなネコとヒトが共存する理想郷ではない。厳しい自然の中で暮らすネコたちは、キャットフードしか食べたことのない都会のネコたちとは異なり、ワイルドで逞しい。島には猫神社まで祀られているという。

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    • 第19集は美形揃いですね。ね、ネコ様よ^^
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    ハートのしっぽ

    ハートのしっぽ

    • 著者:岩合 光昭
    • 出版社:小学館
    • 発売日:2010/03/08
    • メディア:単行本

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