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ネコ・ログ #18 [c a t a l o g]

  
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  • ノラコがことのほか弱虫なのだろうか、別にそれならそれでいいけれど、とちょっと前に読んだ『昔のミセス』(金井美恵子 / 幻戯書房)を再度めくりながら思った。末尾のほうに先年亡くなった飼い猫トラーのことが書いてある。トラーは折りにふれ小冊子の連載エッセイに登場するので、私たちの売場ではご近所のネコ扱いである。「トラーが亡くなって、金井さん、ずいぶんと気を落としているみたい」などという会話を交わしていたりした。/ 年老いたトラーの元気な頃がこんなふうに書かれている。「かつては部屋でぐっすり眠っていても、外で近所の猫たちがケンカをはじめると、絶対自分も参加すると一声雄叫びをあげ、毛を逆立てて窓から飛び出し、2階のヴェランダから庭木に飛び移り、庭木からブロック塀に飛び乗って、道路へ駆けおりて走って行く」(『昔のミセス』より)。あー、うらやましい、勇ましい飼いネコは飼い主の誇りに違いない。
    田口 久美子 「ネコの品格」


  • ♯154│ルミ│ノラ猫 ── 1stショットはガン飛ばし?
    初めて出合ったネコには必ず挨拶するようにしている。見知らぬ観察者に気づいたネコは真正面から、その対象を敵か味方か値踏みするような鋭い眼差しで見つめる。しかし、直ぐに見切って、何事もなかったように目線を反らす。その僅かな時間が最初のシャッター・チャンスである。この瞬間を逃すと撮影は長期戦にならざるを得ない。人間を警戒している臆病なネコは安全地帯に立ち去り、用心深いネコは一定の距離を置き、人に馴れているネコは鳴きながら近寄って来る。逃げられたネコのことは諦めるしかないけれど、スリ寄って来た人懐っこいネコを撮るのも結構苦労する。一番撮り易いのは1〜2m先でジッと静止して、こちらを見つめている大人しいネコちゃんなのですが‥‥ルミちゃんとの間には背景にあるような障害物(コバルト色の柵)があった。初対面なので表情が険しい(ガン飛ばし?)。シャッターを押した数秒後にはプイと後ろを向いて、奥の繁みの中に姿を消していました。

    ♯155│ボス│ノラ猫 ── S神井川緑地のボス猫
    いつも両耳の元が痛々しく赤剥けしているS神井川緑地のボス猫くん。ネコ同士の喧嘩には強いのかもしれないが、人間を威嚇したり爪を立てたりせずに常に一定の距離を保つ。なかなか躰を触らせてくれない。ボスだからゴハンを食べる優先順位が高いというわけでもないらしい。仲間の面倒見が良いのかもしれない。1人で大声を上げている危ない老人の姿を久しく見ていない。脳腫瘍が悪化して寝たきりボケ老人になってしまったのだろうか。死んだのではないかという噂も聞こえて来る。いずれにせよ天敵がいなくなり、緑地に平穏が戻ってネコたちは安堵しているに見える。発病前のネコ虐待老人と喧嘩したことのある女性がベンチに坐って縞ネコを膝の上に乗せていたので、1枚写真を撮った。ネコを抱く少女や飼主たちの写真も撮っているのだが、残念ながらブログには発表出来ない。人はネコを抱くと、なぜ柔和な笑顔になるのだろうか。

    ♯156│カイ│迷い猫 ── 僕とネコと公園で
    チューブ状のスベリ台やカラフルな迷路などのある公園の傍、遊歩道の横の繁みで1匹のネコがミャーミャー鳴いていた。首輪はないけれど、毛艶や体型から判断してノラ猫には見えない。通行人たちに必死に何かを訴えようとしている。迷いネコだろうか?‥‥通りがかったオジさんも初めて目にするネコだという。徐にウエスト・ポーチから白い小さなケースを出す。中に入っている煮干しを与えると、喜んでカリカリと食べる。お腹が空いていたようだ。飼主も行方不明になったネコちゃんを必死に探しているのかもしれない。その後は、公園で見かけることもないので、飼主の手許へ無事に戻ったと思いたい。飼い猫やノラ猫とは違い、迷い猫との出会いは一期一会ですね。写真の左下に写っている本は、図書館から借りて来た岩合光昭の写真集『地中海の猫』(新潮社 1996)、文庫本『海(kai)ちゃん』(2008)、岩合日出子 のエッセイ『ママになったネコの海ちゃん』(ポプラ社 2003)です。フラッシュ撮影。

    ♯157│ミルク│ノラ猫 ── 子ネコには桜が良く似合う
    2009年の春、S神井川緑地で撮った子猫時代のミルクちゃんです。舞い散る桜の淡いピンクとネコの白と黒の対比が風雅ですね。牛柄ブチ模様の3兄弟姉妹の中では一番やんちゃなネコで、良く似た柄のトキ(ミルクはピンク色の鼻の先に黒い部分がある)と好対照‥‥トキは繁みの中に隠れていて、なかなか出て来ません。ミルクは長兄姉(?)のアドと戯れ合って遊んでいます。昨年の花見の時季は子供たちもネコと一緒に遊んだり、写真を撮り合ったりして賑やかでしたが、交通事故で死んだリュウちゃんのいない今年(2010)は喪に服しているかのように静かでしたね。ネコも少女たちも成長したということでしょうか。桜の写真は青空でないと映えない。灰色のスモッグに覆われた東京の空の下の桜は薄汚れて見える。真っ青に晴れた日が少なかったことも影響しているのかな。ネコたちの目に舞い散る桜はどのように映っているのかしら?

    ♯158│シオ│迷い猫 ── 我がままな迷いネコさま
    大きい体躯、長毛種、青い目‥‥ある日の夕暮れ時に突然どこからともなく現われたネコさま。近所の住人も初めて見るネコだと不思議がる。自転車に乗ってS神井川緑地へ来ていた事情通の男の人が話す。少し先の民家(今は取り壊し中で、青いビニール・シートに覆われている)に住んでいた独り暮らしのバアさんが飼っていたネコではないか、その女飼主が亡くなって引き取り手のなくなった迷いネコではないか‥‥と。同じ種類の子ネコたちが数匹いたと言う。可愛い子ネコは引き取られて行ったけれど、大きな親ネコの貰い手が見つからないということだろうか。老婆に甘やかされて育てられたネコらしく、気位が高くて我がまま放題。ミャーミャーと鳴いてゴハンを強請るが、躰に指1本でも触れようものならシャーシャーと威嚇し、鋭い爪を立てて引っ掻く。陽も落ちて暗くなって来たので帰ろうとすると、ジーンズを裾を前脚で掴んで離そうとしない。別れ際に未練がましい女に縋り着かれたような複雑な気分に陥りましたが‥‥。

    ♯159│レモン│飼い猫 ── スキ、スキ、スニーズ!
    人懐っこいレモンちゃんは近寄ってスリスリして来るので、反って写真には撮り難い(最初のレモンの写真は美人の姉さんがブレスレットを嵌めた右手で撫でているところだった)。一時たりとも静止しない落ち着きのない性格も「ネコ写真」の難易度を上げている。躰を撫でても怒らないけれど、調子に乗って抱き上げとすると爪を立てて激しく抵抗する。お腹を触られるのが嫌いみたい。暫く一緒に遊んで打ち解けた後で、やっと撮れた1枚(花屋さんの前でレモンを撮った時も苦労しました)。この写真のように生き生きとしたネコの表情は、なかなか上手く撮れません。緑色の目がチャーミングで、深い愛情に溢れていると感じるのは、「ネコバカ」の思い込みでしょうか。左に映り込んでいるグリーンの部分は撮影者のウインドブレーカーです。スリ寄って来ないように、左手で押さえて撮ったんじゃないかって?

    ♯160│バル│ノラ猫 ── 上目遣いで、おねだり
    S神井川緑地の遊歩道沿いに3〜4匹のネコたちが暮らしている。金網で仕切られた民家の隙間や隣の露天駐車場、車道を隔てたマンション付近がナワバリになっているようだ。特定の家で飼われているネコというわけではないらしく、毎日決まった時刻に近所のバアさんがゴハン(キャットフード)を運んで来る。皆さん器量良しの可愛いネコちゃんだが、ノラ猫らしく人間のことを警戒している。近づくと遊歩道の繁みの中に隠れたり、金網の向こうへ逃げたり、駐車中のクルマの下に潜ったり‥‥甘え声で誘った次の瞬間、威嚇声とネコパンチで急襲するKat Bjelland(Babes In Toyland)みたいな豹変ネコもいるので油断出来ない。食べ物で誘き寄せるのは本意ではないけれど、大好物のチーズ欲しさにバルが注意深く近寄って来た。上目遣いで、お強請りのポーズ‥‥欲しいものを手に入れようとして猫撫で声で甘えるのはネコもヒトも同じですね。

    ♯161│ホルム│飼い猫 ── 黒いフクロウではありません!
    人懐っこいホルム君はビャービャー鳴きながらスリ寄って来る。このネコも撮り難い。しかも毛並みが黒いのだ(正確には焦げ茶色)。妹と一緒に母親を見舞ったジム・キャロルが枕元で寝ているデブ猫(23歳)を見て、「とても太っていて、むしろフクロウのようだった」と書いていたように、長毛種のネコとフクロウには似ているところがある。この露地には黒ネコのソランや灰色ネコのムンクちゃん、トミーサビ君、紐に繋がれた家ネコなど‥‥10匹くらいのネコたちが仲良く暮らしている。トミーとサビ君の力関係は躰の大きさに反して、気の強いトミーの方が勝っているが、最近彼女の態度が妙に余所余所しい。前よりも懐かなくなった。大人しいサビ君の毛並みを撫でていると、少し離れたところから睨んでいる鋭い視線を背中に感じることがある。ネコも嫉妬するのだろうか。

    ♯162│ムンク│飼い猫 ── 灰色の世界 2
    ムンクは左耳が折れているアクちゃんに劣らず気品に溢れた美しい灰色ネコで、美女の後を無意識にフラフラと尾いて行く若者のように、ネコ・ウォッチャーをネコ・ストーカー化させてしまう。繊細な神経の持ち主なので、驚かせて逃げられないように細心の注意を払い、時間をかけてムンクと親しくなる。あくまでも低姿勢、おネコさまに対する謙虚な気持ちが大切です。ネコには自分の顔が可愛いとか、容姿が美しいとかいう余計な自己意識がない。IQ160のスーパー仔猫ガミッチだって、居間の鏡に映った〈ガミッチ複製〉が自分の姿だとは夢にも思わないし、図書館ねこデューイも自分がアイドル並みの人気者だとは決して思っていない。ネコはネコとして存在する。素人ネコ写真家の願いは1つ‥‥「ネコちゃんおいで、こっちを向いてね。1枚撮らせて下さい!」という思いである。

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    各記事のトップを飾ってくれたネコちゃん(9匹)のプロフィールを紹介する「ネコ・カタログ」の第18集です。サムネイルをクリックすると掲載したネコ写真に、右下にあるナンバー表の数字をクリックすると該当紹介文にジャンプ、#ネコ・タイトルをクリックするとトップに戻ります。ノラ猫や地域猫、飼い猫を差別しない方針で、これまでに延べ160匹以上のネコちゃんを紹介して来ましたが、こんなにも多くのネコたちが棲息していることに驚かされます。第18集の常連ネコはミルク、レモン、ホルム、ムンクちゃん。梅雨明けと共に東京にも猛暑の夏がやって来ました。涼しい木陰で寝ているのかしら?‥‥陽射しの強い日中は外ネコたちも姿を見せません。熱中症に気をつけてね。『書店員のネコ日和』(ポプラ社 2010)はヴェテラン女性書店員がノラコ(三毛ネコ)を内ネコとして飼うまでの顛末を綴ったエッセイ集。ネコと書店と本とサッカー‥‥近所のネコたちの生態と出版小売業界の内輪話と「ネコ本」とジェフ千葉。池袋ジュンク堂(3F)にネコ本の特設コーナーがありましたね。『跳躍者の時空』(河出書房新社 2010)も並べて欲しかったにゃぁ。

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    書店員のネコ日和

    書店員のネコ日和

    • 著者:田口 久美子
    • 出版社:ポプラ社
    • 発売日:2010/03/27
    • メディア:単行本
    • 目次:ノラコによる開店のご挨拶 / ネコを書く / ノラコ登場 / ネコの避妊 / ノラネコ捕獲作戦 / 嵐の去ったあと / 茶々の出奔、ノラコの災難 / ネコの習性? / 消えたノラコ /「車輪の下」戦争 / ネコの品格 / ジュンク堂事件簿 / ソトネコの寒さ対策 / クロ・ファミリー騒動 / 終の棲家 / その後の我が庭 / イエネコのノラコ / コラム 書店事件簿 / 番外編 1...

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    コメント 4

    ぶーけ

    猫さんのお名前、全部つけられたのですか?
    最近古いアルバムですがⅫAlfonsoの「Monet」がお気に入りです。
    閉店セール、掘り出し物はありましたか?
    by ぶーけ (2010-07-29 09:36) 

    sknys

    ぶーけさん、コメントありがとう。
    名前が分かっているネコさん(ホルム君)以外は適当に付けています^^
    XII Alfonsoは仏プログレ・バンドですか?

    某閉店セールは在庫自体が少ないので、掘り出し物は期待薄ですね。
    Camilleの《Music Hole》(EMI 2008)を70%OFFでゲットしました^^;
    by sknys (2010-07-30 00:01) 

    ぶーけ

    すみません、よくわからなくて。。^^;
    色んな要素がまじってて、不思議なバンドです。
    全体としてフランス的なことは確かです。
    70%OFFは大きいですね。^^
    by ぶーけ (2010-07-30 11:15) 

    sknys

    「Philippe (g) & François (key) のClaerhout兄弟を中心に
    '90年代初期に結成された仏産Symphonic Rockバンド」(disk union)
    「Symphonic Rock」というジャンルがあるんですね^^

    「¥100セール」もやってます^^;
    by sknys (2010-07-31 01:08) 

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