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ネコ・ログ #16 [c a t a l o g]

  
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  • このとき僕らの母は、自分の娘時代のことを話し疲れて、ぐっすり眠っていた。彼女は色とりどりの7つの枕に頭を立てかけるようにしていた。てっぺんの枕だけはサテンのカヴァーで、その他は安物のきれで包んであった。それぞれ、隅にニュージャージーのあるリゾート・モーテルのラベルがついている。僕は、こんな風にしていたら首が窮屈なんじゃないかと思って、積み重ねた下の5つの枕をそっと抜き取った。彼女は一瞬目をあけたが、何も言わず、また眠ってしまった。彼女のすぐ枕元のマットレスの上に、同じように居眠りしている1匹の猫がいた。母の首のあたりに尻尾をのせている。その猫は23歳だった。とても太っていて、むしろフクロウのようだった。過去4年間、僕はやつが目を開けたのを見たことがなかった。70丁目の古いアパートの地下室からやつを連れて帰った日から、やつは自分の家を見つけたと思っている。いまでは解放されるのを拒んでいる。何とかして息をし続けている。僕は1度話しかけてみたが、やつは何も言わなかった。
    ジム・キャロル 「夢うつつの本」


  • ♯136│カホ│ノラ猫 ── こんなところに可愛い子ちゃんが!
    S神井川沿いの遊歩道の茂みに4〜5匹のネコたちがいる。ちょうど近所のオバアさんがゴハンを運んで来たところだった。キャット・フードを1匹分ずつ小分けして、茂みの中に隠れているネコたちの前に置く。待ち切れなくて、歩道に出て来るネコもいる。食事中のネコたちの邪魔にならないように気を遣ってシャッターを押す。既に陽も落ちて周囲は暗くなっているので、フラッシュ撮影になった(至近距離で撮ると白い部分が白トビしてしまう)。ネコたちが夕飯を食べる時間も場所も順番も決まっているらしいが、今日は見知らぬ人がいるので、「いつもと勝手が違う」と、食事係の女性が言う。予期せぬ観察者にネコたちも、ちょっと混乱、昂奮、警戒しているのかもしれない。茂みの奥は金網フェンスでコの字型に囲まれた駐車場になっていて、ネコたちは川沿いの歩道と表通りを自由に行き来している。

    ♯137│パス│飼い猫 ── イタ飯屋さんのネコなのだ
    廃校となったT島区立小学校の跡地は某私立大学に売却された。小・中・高校の場合は敷地内に校舎だけでなく、一定面積以上のグラウンド用地(校庭)を確保しなければならないけれど、大学のキャンパスにはグラウンド設置の義務はないらしい。周囲の空間を占有する鬱陶しい建物の裏道を回り込んで表通りに出る途中の向かい側に、一軒のイタリアン・レストランがある。エアコン・ダクトの傍に犬小屋ならぬ「ネコ小屋」がある。店主がノラ猫だったネコを拾って飼っているという。車道を隔てた大学の赤レンガ(赤紫色)敷きの歩道でゴロニャンしているパスちゃんを撮った。人懐っこいネコで、自ら近づいてスリスリと身を寄せて来る。初めて会った時は痩せっぽちの奥目ネコだったが、少し肥って目の状態も恢復して来たようだ。犬を連れて散歩している女性と、近隣に住むオバアさんがパスのことを気に懸けている。

    ♯138│トロ│ノラ猫 ── 今年の夏は涼しかったにゃ
    2009年の夏は涼しかった。酷暑の夏のネコたちは、椰子の木の周りを駆け回ってバターになったトラたちみたいに溶けている(グッタリと地面の上に伸びている)ことが少なくないけれど、冷夏のネコたちは皆さん元気だった。日陰の冷やりしたコンクリートや石畳の上で寝そべっているネコたちは、躰の中に溜まっている熱を逃がしているのかもしれない。トロも日当たりの良いS公園ではなく、車道を挟んだ向かい側の民家の前でゴロゴロ、ウトウトしていた。大きなマンホール状の丸い蓋の上で横たわっている。近寄っても全く逃げる気配がないので、自由に接写出来た。お昼寝の邪魔をしちゃったのかもしれませんが‥‥。左上の顔から肩にかけて、柔らかい陽光が射している。トロの目の色と背景の同色コーディネート、淡いグリーンの配色が涼しげでしょう?

    ♯139│シコ│ノラ猫 ── まだチビ猫なんですが‥‥
    背景が映っているロング・ショットや数匹のネコたちの群像を撮った写真は兎も角、1匹のアップ写真はネコの大きさが分かり難い。I袋東口駅前公園内にある神社の石段の前で寝そべっているシコちゃんは精悍な面構えに反して、まだ子ネコなのだ。成猫と子猫の写真の見分け方は「耳の大きさ」にあるのではないかしら。ネコの顔は大きくなっても、耳だけは大きくならないような気がする。回を重ねるごとに大きく(幼く可愛く)なって行った須和野チビ猫の耳とは逆に、実物のネコたちの耳は躰が成長して大きくなるにつれて、相対的に小さくなったように見える。トラやヒョウの子供たちも親に比べると耳の比率が大きいような気がする。鉄腕アトムみたいな大きな黒い耳(アトムの頭にある2つの突起は「ネコ耳」ではなく髪型なのだが)のシコちゃんは、とっても小さい。負けん気だけは強そうですが。

    ♯140│ポロ│ノラ猫 ── 白と灰色のネコ
    ポロはカホと同じ地域に棲息する白と灰色のネコ。S神井川沿いではなく、車道に面した駐車場の隣の民家の前(家屋の横の隙間)にいるところを撮った。ポロとカメラの間には金網状のフェンスがあって、これ以上近寄れない。もっとも不用意に近づくと、「シャーッ」と鳴いて逃げてしまう警戒心の強いネコなのだが‥‥。曇り空の下の(シャッター・スピードの遅い)撮影なのにも拘わらず、手ブレせずに撮れたのは被写体が静止してくれたからだろうか。その空間がフェンスで守られた「安全地帯」だということを、ネコも分かっているのかもしれない。ネコの灰色とバック(建物)の同系色の色合いが馴染んでいる。ロシアンブルーやチャコールグレー‥‥灰色系のネコには、どこかしら高貴な気品が感じられますね。それに加えて、ポロちゃんは「男前」で凛々しい。

    ♯141│ハル│飼い猫? ── 竹藪からネコ!
    年賀状に干支の寅を描いたはずなのに、ネコにしか見えないのは絵が下手な証拠。それならば、逆にネコを描いてトラに見えたら絵が上手いのか?‥‥というエッセイがありました。トラ縞柄のネコを「トラ猫」と称するけれど、同じネコ科の動物であってもトラとネコの顔は余り似ていない。むしろネコはトラよりもヒョウに良く似ている。それでも「ヒョウ猫」と呼ばないのは、国内にヒョウ柄のネコが少ないからでしょう。中国や日本には虎と竹林を取り合わせた屏風絵や襖絵が少なくない。日本には野生の虎も豹も棲息していないが、「藪から棒」ではなく、「竹藪から虎」が出て来たらビックリするでしょうね。ハルとカメラの間には金網フェンスがあるので、ネコは安全だし、たとえトラだったとしても人間に危害は及ばない。2010年の寅年に想うことは、トラ(Tiger)もユキヒョウ(Snow Leopard)「絶滅危惧種」だということです。

    ♯142│エス│飼い猫? ── ピカピカ・ボンネット
    「びっくり猫屋敷」から数ブロック先の民家でも3〜4匹のネコを飼っている。今日の夕食はマグロの切り身なのか、生の牛肉なのか良く分からないけれど「赤いもの」だった。白と茶の良く似たネコたちが食べているゴバンを1匹の白黒ネコが遠巻きに狙っている。食事係の女飼主は「あんたは食べちゃダメよ。うちのネコにゴハンを与えないようにって、注意されてるんだから」と、ネコに言い聞かせるものの、ウーウー唸り声を上げてはダッシュして「獲物」をゲットする。どうやら余所の家で飼われているネコが「赤いもの」に味をしめたらしいのだ。野生の血が騒ぐのかしら。キャット・フードより美味しい?‥‥駐車場のクルマのボンネットに大きなネコが寝そべっていた。クルンと丸められた前脚が可愛い。堂々としているというか、人間には無関心というか、近寄って手で毛並みを撫でても全然逃げ出さない。ピカピカに磨き上げられたボンネットの上が余程居心地が良いのだろう。まだエンジンが暖かいからなのかもしれない。

    ♯143│リズ│飼い猫 ── 縞しまシッポちゃん
    JR埼京線沿いの道端にトラ縞模様の灰色ネコが佇んでいた。長くて立派な縞しま尻尾、赤い首輪に赤い鈴(この写真では隠れて見えないが)が付いている。こちらを睥睨するような鋭い目つき。表情が硬いのは最初に撮った1枚だから。一緒に遊んで仲良くなると、ネコの方も打ち解けて柔和な顔つきになる。ちょっと気紛れなところもあって、線路沿いにある駐輪スペースの中へ入ったり、近所の家の門を通って中庭の奥へ消えたり‥‥。駅に通じる小道なので、クルマやバイク、自転車、通勤、通学などの人通りも多い。犬を連れた女性が隣家から出て来て、ネコの名前を呼ぶ。この近所では有名なネコちゃんなのだろう。女飼主が現われて「リズちゃん」と呼ぶと、駐輪スペースから戻って来る。昼間は外で放し飼い、夕方になると迎えに来るようだ。彼女の胸に抱かれてリズちゃんは家へ帰って行きました。

    ♯144│ユイ│飼い猫 ── ガッキー(新垣結衣)に似てるって?
    「◯◯ちゃん、こっち向こうね。お目めパッチリ開けてよ」などと、話しかけてネコ写真を撮っていますが、ネコたちは撮影者のことを一体どのように思っているのかな?‥‥「ユイちゃん、この写真、結構良く撮れてるじゃないの。私の写真なんか、ピントが甘い上に陽が翳って仏頂面に映っちゃった。葬式用の「遺影」じゃないんだからって、カメラマンにツッコミを入れたいくらいだわ」「それは災難だったわね。ご愁傷さま」「白ネコと黒ネコはベタッとなって、撮るのが難しいって言うじゃない。でも、ユイちゃんの胸許の柔らかい毛並みのところなんか、フワフワじゃないの」「モデルが良いからね。最初はソッポを向いて知らん顔していたけれど、20分もネバられて、ついに根負けしちゃったわ。好みのタイプだったし」「TVに出ているガッキーに似ているかもよ‥‥」「レナちゃん、ガッキーって誰?」

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    各記事のトップを飾ってくれた猫ちゃん(9匹)のプロフィールを紹介する「ネコ・カタログ」の第16集です。サムネイルをクリックすると掲載したネコ写真に、右下にあるナンバー表の数字をクリックすると該当紹介文にジャンプ、#ネコ・タイトルをクリックするとトップに戻ります。ノラ猫や地域猫、飼い猫を差別しない方針で、これまでに延べ140匹以上のネコちゃんを紹介して来ましたが、こんなにも多くのネコたちが棲息していることに驚かされます。カホ、パス、トロ、シコ、ポロ、ハル、エス、リズ、ユイ‥‥第16集は個性的なネコたちが集まりました。キャロル兄妹が見舞った母親の枕許で寝ている飼い猫(23歳)は長寿だなぁ。ネコとフクロウが良く似ているというのは詩人の炯眼ですね。ペタちゃん(スコティッシュ・フォールド)の写真を見た叔母は「フクロウみたい」と、驚いていました。そう言えば、ナタリア(Natalia Lafourcade)ちゃんのトラ・コスプレ・アルバム《Hu Hu Hu》の中にもフクロウのイラストがありましたね。

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    • 200枚以上のネコ写真をプリントしてもらった「さくらや」の閉店はショックだなぁ

    • ブロクル(BlogCruiser)など、各種サーヴィスを終了するソネ風呂は大丈夫かしら
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    夢うつつ ── ドラッグ・ポエトリー

    夢うつつ ── ドラッグ・ポエトリー

    • 著者:ジム・キャロル(Jim Carroll)/ 大橋 悦子(訳)
    • 出版社:晶文社
    • 発売日:1989/06/20
    • メディア:単行本
    • 収録作品:夢うつつの本 / ニューヨーク・シティ・ヴァリエーション / カリフォルニア・ヴァリエーション / 詩篇 1973-1985

    タグ:cats catalog
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