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ネコ・ログ #14 [c a t a l o g]

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  • 私は学生時代を名古屋で過ごしました。田舎娘である私は中京地区の大都市・名古屋に大きな期待をい抱いていたのですが、名古屋は住んでみると、自分の行動力のなさを差しおいて、徳川に代表される金ピカの文化以外は、デパートにしか文化が栄えてない!! 平べったい街だと感じてしまいました。サブカルチャーはどこ? そんな中、鶴舞、上前津、大須、千種、今池、といった住宅地と商業地がいい具合で混じっている所もあって、そういう所には、わりと古本屋も集まっていました。/ 古本屋に入って、本の背をずうっと目で追っているとうきうきしてきます。私の場合、右目に力を入れて左から右に本を探します。横書きです。/ 文庫の棚に背の色がピンクで文字が白ヌキの金井美恵子の本をみつけると、自分の部屋の本棚にピンクの背の幅が約1センチ増える場面を想像して、ぽーっとなってしまいます。落合恵子も同じ色指定ですが、これは置いておきます。
    浅生 ハルミン 『猫座の女の生活と意見』


  • ♯118│ラム│飼い猫 ── 僕とネコも恋をする
    とっても可愛く撮れているけれど、不用意に手を伸ばすとネコパンチ(引っ掻き攻撃!)が飛んで来る(ネコの爪が鋭く研がれていると、手の皮膚に刺さったまま抜けなくなってしまうことがある。そんな時はネコの方も焦って、必死に爪を抜こうとします)。ラムさんは美しい毛並みを従順に撫でさせてくれる時と、嫌がる時の境界を推し量り難いネコなのだ。ネコの方から親しげにスリスリして来るからといって、その逆も許容しているとは限らない。触るのは好きだけれど、触られるのは大嫌いなタイプなのかもしれない。この写真には映っていないが、階段に寝そべっているラムの左側に1冊の本 ──『猫はカガクに恋をする?』(インデックス・コミュニケーションズ 2007)が立て掛けてある。「シュレディンガーの思考実験」のページから抜け出て来たオッドアイのシュレ猫エオウィンが時空を超えて歴史上の科学者たちの許へタイム・ワープする「恋愛科学小説」です。

    ♯119│クー│飼い猫 ── 体脂肪率は高いかも?
    この界隈には4〜5匹のネコたちが暮らしている。#110 でも触れたように、一番馴れていた三毛猫のフウが2008年春に他界。急にゴハンを食べなくなったので病院で検査したら内臓に腫瘍が発見された。手術出来ないほど大きくなっていたという。動物は人間のように躰の不調を訴えないから初期発見が難しいらしい。残されたネコたちは用心深くて近寄って来ない。遠巻きにして敵か味方か品定めをしている感じ。しかし、最近になって少し気を許し始めたような気もする。1匹を撮影していると気配を察したのか、いつの間にか仲間のネコたちも現われる。いわゆる「赤ネコ」のクーは鮮やかな橙色の毛並み。体格も立派で尻尾も長い。撮影者の周りを徘徊して一定の距離を保つ。人間と目は合わせない。スリスリして来る人懐っこいネコよりも、2〜3m離れてジッと静止(カメラを注視!)しているネコの方が実は撮り易いのですが‥‥。

    ♯120│トキ│ノラ猫 ── フラッシュ撮影の白トビ効果!
    叢の中に隠れて外光が届かない。やむを得ずにフラッシュ撮影したら、至近距離にある周囲の葉っぱが反射して白トビしてしまった。それが白い縁となって「思い出のアルバム」のようなファンタスティックな効果を生んだ。トキとミルクは白黒牛柄模様のパターンも瓜2つで、双子ネコのように良く似ている。2匹の見分け方は鼻の先がピンクか黒か‥‥トキは臆病で警戒心が強く、ミルクは小さな躰に反して気性が荒い(ゴハンを強請る時はウーウーと唸ってます!)。もう1匹の兄弟姉妹のアドとミルクは仲良しで戯れ合っていることが多いけれど、トキは1人でいることが好きな内向的な草食男子系タイプ。白い毛並みの部分はフラッシュ撮影しなくても白トビすることがあるので、iPhotoの自動補正(エンファンス)は使わないで明度だけを下げて対処しています。

    ♯121│モン&マウ│ノラ猫 ── 猫たちは見ていた
    JR駅に通じる川沿いの石畳。比較的人の往来が多いところなので、ネコたちは傍らの茂みの中に隠れて通勤通学者、買い物客たちなどの姿を注意深く見張っている。左のモンちゃんを狙って撮った写真ですが、モニタ画面で確認したら右端に2匹目のネコが映っているではないか!‥‥予期せぬ2ショット。目線を合わせていないモンちゃんに対して、右のマウちゃんは撮影者(デジカメ)の方をジッと注視している。全く気づかなかったなぁ。ネコたちは見ていた‥‥人間がネコを見ている時よりも、ネコが人間を観察している場合の方が遙かに多い。モンが可愛いアイドル系ならばマウは目ぢからのある耽美系。モンが白と茶のブチ柄なら、モンはエスプレッソとミルクが良く混じり合っていない淡いカプチーノのような美妙な色合い。もしかしたらモンとマウの2匹は兄弟姉妹かもしれない。

    ♯122│シンコ│飼い猫 ── ふわふわ子猫ちゃん
    「関係者以外立入禁止」という標札が掲げてあるアパートの敷地内に4〜5匹のネコたちが住み着いている。門の外から猫語で呼びかけると鉄柵の間をスリ抜けて駆け寄って来る。人見知りしない人懐っこいネコたちなのだ。シンコは2匹いる子猫の片割れで、いつも母猫に見守られている。恐怖心よりも好奇心の方が勝っているのか、子供たちに抱かれるのも全く厭わない。ネコを抱くとスカートが毛だらけになってしまう。ネコ好きの成人男女の比率は半々だと思うが、不思議なことにネコ好きの子供は女の子と決まっている。なぜか男の子はネコに興味を示さない。フワフワした毛並みが柔らかくて肌触りが良い。アパートの隣りが魚屋さんという好条件!‥‥事情通の女の子によると、お裾分けをもらっているらしい。最近は行動範囲(テリトリー)が広がって、車道を跨いで斜め前の公園へも遠出している。くれぐれもクルマには注意してねと願うばかりである。

    ♯123│マミー│飼い猫 ── ハートさんのお母さまですか?
    花屋さんの前の路地を入ったところにいたオッドアイの長毛種。ハートさんの母猫に違いないと直観しました。母娘そろって綺麗な金眼銀眼(マミーは右目が青で左目が黄色、ハートは左右が逆!)‥‥今春産まれた孫猫は両目ともブルーだった。ハートと仔猫が短毛なのは父猫たちの遺伝子の反映だと思う。母娘、仔猫ともに人間を警戒していて写真に撮るのが難しい。それでもマミーさんが一定の距離を保って逃げずに、こちらをジッと注視しているのは撮影者に興味があるからでしょうね。2〜3m離れた距離からズーム&フラッシュ撮影しています。ラッキーの女主人にマミーの写真を見せたら、「どこのネコ、貴重なネコちゃんよね」と、ネコに劣らず興味津々。近くのマンションで飼われていた日本一のグランプリ猫ちゃん(世界大会に出場した日本代表ネコ!)も美しいオッドアイだったのだ。シャンプーしてあげたら綺麗になるのにねぇと言っていましたが、マミーを捕まえるのに一苦労‥‥まして入浴させて躰を洗うのは至難の技でしょう。

    ♯124│シミー│ノラ猫? ── 駐輪場で逢いましょう
    近所の三毛猫。ラーメン屋さんにいた2匹の子猫のところに通って来たり、夜に駐車中のクルマの下でニャーニャー鳴いていたり‥‥暫く見かけなかったけれど、公園の隅に設置されている駐輪場で屯していたのを発見。今まで1度も撮る機会を逸していたなあんて、燈台下暗しですね。シミーの後を追いかけると、トコトコと車輪の蔭や植え込みの中へ逃げ込む。危害を加えられないと悟ったのか、それとも地上の散策に疲れたのか、オートバイの上に飛び乗って寛いでいる。この座席部分で爪をバリバリと研がれたら、バイクの所有者は悲惨だなぁと他人ごとながら心配になる(リンが乗っていた放置バイクの座席はボロボロにされて、オレンジ色のクッション素材が露わになっていた)。結構肥っているので、この近くで放し飼いにされている外ネコちゃんかもしれませんね。

    ♯125│エドガー│飼い猫 ── 悩ましいポーズですが‥‥
    クビシロちゃんを見かけなくなってから数年経つ。他の家の里子になったのか、失踪したのか、天寿を全うしたのか、病死か、事故死か?‥‥ある日、忽然とクビシロは消えてしまった。2匹いた黒ネコも1匹になって、後に残ったコムは思いの外、リラックスしている。ネコたちも人間社会のように、お互いの「ネコ関係」に気を遣ってストレスが溜まるのだろうか。クビシロ亡き後のコムは落ち着いて、貫禄さえ備わっている。まん丸い顔は兎も角、なんだかグラビア・アイドルの悩ましい水着写真(悩殺ポーズ!)みたいですね。しかも全裸のヘアヌード初公開?‥‥シミーとエドガーの会話 (猫語訳:スニーズ)──「あ〜らエドちゃん、今日も暑いわね。凄い日焼けしてるじゃん。渋谷の街に突如として出没した妖怪ヤマンバみたいに真っ黒けじゃない」「ぢ、地黒だっちゅうの!」

    ♯126│コム│飼い猫 ── 躰の方はロン毛なのよ
    シンコと同じアパートの敷地内で飼われているコムは長毛種なのに、顔だけはネコ理髪店で綺麗にカットしてもらったようにスッキリ、サッパリとしている。躰は毛足の長い絨緞のようにフカフカで暖かく、尻尾はタヌキみたいに太い。人懐っこい性格のコム君もシンコと同じく下校途中の小学性(女子児童)に可愛がってもらっているらしい。傍若無人の少女たちは「立入禁止」の4文字が読めないのか、平気で門を開き、敷地内に侵入して外階段を駆け上がる。ビックリしたネコたちは逃げ去るが、ネコを抱いて階段を降りて来る女の子もいたりして‥‥。子供たちに遊ばれているアパートのネコたちは、迷惑そうにも愉しそうにも映る。成猫になると無関心・無感動になってしまうことが少なくないように、好奇心溢れる純情可憐な女の子も成長すると怠惰なオバサンになってしまうのかと想うと憂鬱な気分に陥ります。子猫と少女は同類の生き物なのかしら。

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    各記事のトップを飾ってくれた猫ちゃん(9匹)のプロフィールを紹介する「ネコ・カタログ」の第14集です。サムネイルをクリックすると掲載したネコ写真に、右下にあるナンバー表の数字をクリックすると該当紹介文にジャンプ、#ネコ・タイトルをクリックするとトップに戻ります。ノラ猫や地域猫、飼い猫を差別しない方針で、これまでに延べ120匹以上のネコちゃんを紹介して来ましたが、こんなにも多くのネコたちが棲息していることに驚かされます。浅生ハルミンさんは「もし生まれ変われるのなら猫ではなく、猫の舌に毎日舐められる猫のごはんの皿になりたいと妄想にあけくれる」ほどの猫好きで、古本好き。「背の色がピンクで文字が白ヌキの金井美恵子の本」とは『愛の生活』(新潮文庫 1973)と『夢の時間』(同 1975)ですね。ちなみにハルミンさんは小学生の頃、「将来何になりたいですか?」というアンケート用紙に「くノ一」と書いたそうです。あなたの街のネコたちにも愛とゴハンを‥‥。

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    猫座の女の生活と意見

    猫座の女の生活と意見

    • 著者:浅生 ハルミン
    • 出版社:晶文社
    • 発売日:2009/02/10
    • メディア:単行本
    • 目次:女と狩猟 / モリーナの壁 / ナジャ偵察日記 / 女とお稽古事の不思議 / 恋人の卵かけごはん / 美学校のおもいで /「おかんアート」のように / ハルミン・ダイアリー / パンツと私 ── 鴨居羊子 / 新婚 ペア・ドール ── 水森亜土 / ヨコハマ・マイ・ソウルタウン ── 藤竜也 1 / マイ・ミスター・ムスタァシュ ── 藤竜也 2 / じじいの鼻ちょうちん ── 杉浦茂


      世界文学全集 ──「猫」の巻(浅生ハルミンさんが選出した「猫本」8冊)
    • 内田 百間 『ノラや』(中公文庫 1997)
    • レオノール・フィニ 『夢先案内猫』(工作舎 1980)
    • 秋吉 久美子 『クミコの詩集 いない いない ばあ』(講談社 1975)
    • 吉田 知子 『猫の目、女の目』(大和書房 1974)
    • 武田 百合子 『日日雑記』(中央公論社 1992)
    • 金崎 肇 『ねこ ネコ 人間』(創造社 1974)
    • ジョルジュ・チェッリ 『猫暮らし』(文藝春秋 1997)
    • 平出 隆 『猫の客』(河出書房新社 2001)

    タグ:catalog cats
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