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ネコ・ログ #13 [c a t a l o g]

  
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  • 来る日も来る日も、ミッツは飾り窓に坐って、通りを見ていた。人通りが多い通り、それはよく雨や霧で霞んでみえた。どうしてこんなにもすっかり世界が変わってしまったのだろう。外を見渡しても、故郷を思い出させてくれるものは何1つなかった。だが、ある日、街灯に火が点る時刻に、ミッツは驚いて、我が目を疑った。豹がいたのだ。つまり、あの豹は死ななかったのだ。ミッツの目の前を歩いている。確かに、あの豹だ。黒い毛、トパーズ色の目、だがひどく小柄になってしまった。クモザルほどに縮んでしまったではないか。それに、誰も彼を恐がっていないようだ。誰も彼に少しも注意を払っていないようだ。だが、待て。1人いる。包みを数個抱えた老婦人が彼に近づき、体を屈める。すると、彼は一目散に通りの真ん中に駆け出した。(危なくバスにはねられるところだった。老婦人が金切り声をあげた。)ミッツは彼が帽子屋の隣の小路に逃げ込むのを見守った。なるほど、豹はこの森では王ではないかもしれない。だが、少なくとも自由だ。 
    シークリット・ヌーネス 『ミッツ』

  •                     *

    ♯109│トミー│飼い猫 ── 駐車場でゴロニャン
    トミー(牝猫だったのでトミーに改名しました)は人懐こくって、呼ぶとミャーミャー鳴いて近寄って来る。首筋を撫でると、お尻を上げ、尻尾を立てて頭を下に。そのまま横に倒れてゴロニャン体勢になり、気持ち良さそうに首を振ってコックリするのがトミーの習性。でも、恍惚状態は長く続かない。女飼主が自転車で帰って来るのを察知すると、今までのニルヴァーナ状態は嘘だったかのように、飼主の許へトコトコと走って行ってゴハンを強請る。どうして飼主の帰宅が分かるのだろうか?‥‥彼女にも甘えているのかと思ったら、「私には指1本触れさせない。全く外面が良いんだから」と、苦笑する。最近、気を許してリラックスしないのは、サビくんが近くにいることが多いからだと思う。サビが近寄って来ると、トミーは激しく威嚇する。サビくんのことを毛嫌いしているので、彼が周囲にいるだけで緊張しちゃうんでしょうね。

    ♯110│オキ│飼い猫 ── 老猫なのに甘えん坊です
    昨年(2008)の春、三毛猫のフウが亡くなった。「急にゴハンを食べなくなった。病院で検査した時は、内臓の腫瘍が手術出来ないほど大きくなっていた」と、飼主が述懐する。ネコは人間のように躰の不調を周囲に訴えたりしないからね。重篤な病気だと分かった時には既に手後れだったという場合も少なくないらしい。その界隈で一番馴れていた美猫がフウだった。人馴れしているということは写真に撮り易いということ。もっと沢山撮ってあげれば良かった。その外見からはフウが病魔に冒されていたとは全く気づかなかった。他のネコたちは警戒心が強くて近寄ると逃げられてしまう。老猫のオキは躰を動かすのが億劫なのか、動かしたくても敏捷に反応出来ないのか、手を差し伸べても全く動じる気配がない。指を甘咬みするのは甘えているから‥‥もっと遊んで欲しいという意志表示だと、飼主が解説する。オキには健康で天寿を全うして欲しいと思います。

    ♯111│ソラン│飼い猫 ── 鼻の頭がテカってるよ
    黒いヴェルヴェットのような肌触りの艶やかな毛並み、モールのような長い尻尾、黄身色がかった目、鈴の付いた青い首輪‥‥常連のソランは気まぐれな性格ですが、人懐っこく可愛らしい。もう1匹の黒猫クロウとの見分け方は首輪の種類と目の色(クロウの方は緑系)。この路地一帯の「ネコ横町」には10匹以上のネコたちが棲息している。黒猫2匹、チャコールグレー2匹、長毛種の大小2匹(親子かも?)、トラ猫のラム、地域猫のサビくん、駐車場付近のトミー、中国拳法道場前のバニー‥‥。その他にも室内で飼われているヒモ付きネコや、滅多に姿を現わさない用心深いネコなどの飼い猫が数匹いるらしい。〈ネコ・ログ#12〉で紹介した左耳が折れたネコは、妖艶なムンクとは別ネコ28号であることが判明した。今月は1度しかソランに出逢わなかった。飼主の家の中で安らかに睡っているのだろうか。黒猫の鼻がテカっているのは、MacBookの黒いキーボードと同じ理由である。

    ♯112│ラッキー│飼い猫 ── 2009年もよろしくね
    L理髪店の看板猫ラッキーの姿を見かけなくなって暫く経つ。老猫なので、もしかしたら亡くなったのかと、ちょっと気懸かり(たまたま今日、前を通ったら店先にいました)。ネコ写真を撮っていて、声を掛けて来るのは大抵オバさんたちと決まっている。ラッキーの女飼主も例外に漏れない。でも最近は、ネコ好きの子供たちも近寄って来るようになった。満開の桜を愛でるよりもネコと遊ぶ方に興味がある。子猫を抱いて服が毛だらけになっても全然気にしない。「関係者以外立入禁止」という表示のある敷地内へも平気で入って行く。「好奇心はネコを殺す」という意味の英語の諺があるけれど、ネコと子供は同類かもしれない。ネコたちも警戒心を解いて近寄って来る。しかし、ネコと子供の2ショット写真は不特定の人が自由に閲覧出来るブログでは不用意に公開出来ない(もちろんオバさん連中だって事情は同じですが)。「ラッキーと少女たち」は3〜4年前に撮った写真なので、現在の彼女たちをアイデンティファイすることは難しいでしょう。中学生になれば、ネコの後を追い回すこともない?

    ♯113│ハナ│ノラ猫 ── 実は隠れ三毛なのだ!
    ハナは白と灰色のサバ猫にみえるけれど、鼻や脚の一部が茶色い隠れ三毛(?)だった。S公園のハナが失踪したのは忘れもしない、あの郵政民営化の是非を問う衆院選挙投票日の直後だったから(少子化と過疎化で区立小学校が廃校したため、公園に隣接するK図書館の地下が臨時投票所になったのだ)、もう4年近く前のことになる。一時は10匹以上いた公園のネコたちも櫛の歯が欠けるように1匹、1匹と消えて行き、今では数匹しか姿を確認出来ない。図書館の前で飼主を待っているかのように坐っていた姿。黒猫ピア、捨てられた仔猫と一緒にベンチの上で、まるで擬似家族のように「川」の字になって幸せそうに寝入っていた様子。大型台風上陸の夜に図書館の玄関で雨宿りしていたこと‥‥などがフラッシュバックして、ハナの写真を見る度に切なくなる。

    ♯114│ミレイ│ノラ猫 ── あたしがブクロの「美麗」どす
    I袋駅前公園にもS川緑地の白黒牛柄模様のネコたちと同じように、ミレイと良く似た親子兄弟姉妹が何匹かいる。この子猫が去年産まれた子供(ミレイよりも小さい)ですと、ゴハンをあげていた男性が解説してくれるけれど、なかなか見分けが着かない。ミレイには「目力」というか、凛とした気品がある。「美麗どす」というキャッチコピーが京都弁なっているのは、写真を載せた記事タイトル〈ミレイドスコープ〉の駄洒落だから。「ミレイ」という名前がラファエル前派の画家ジョン・エヴァレット・ミレイから採っていることは言うまでもない。ここはJR東口駅前という立地条件もあって、ネコの世話をする人やゴハンを運んで来る人、ネコ・ウォッチャーも多く、ノラ猫たちは恵まれている。ケータイでミレイやパルの写真を撮っていた男性は、写真を基にネコの絵を描いていると話してくれた。

    ♯115│ダイ│飼い猫 ── 外に出て遊びたいにゃあ
    ガラス製のドアの向こうで美形ネコが外を眺めている。余りにも可愛かったので、ガラス越しに撮ってしまいました(盗撮?)。家の中で飼われている室内ペットとしてのネコは外界を知らずに暮らすことになる。ネコ好き作家の吉行理恵は、屋内で飼っている愛猫を外へ連れ出すと、腰が抜けたように歩くと書いていた。アメリカでは室内で一生飼うことを前提条件に、ペットに永久脱爪手術を施してしまう飼主もいるらしい。高級家具類や絨緞、カーテンなどが傷つくのを嫌っての処置なのでしょうが、ストレス解消も兼ねた爪研ぎと、身を護る武器を奪われて無防備になったネコのことを想うと、身勝手な人間に腹が立つ。親が子供を折檻して殺したり、看護師がボケ老人の爪を剥がす虐待大国の日本に、この悪しき風潮が流行しないことを祈ります。

    ♯116│マル│飼い猫 ── 人懐っこいというけれど‥‥
    外を歩いていて何気なく左に目を遣ると、ちょうどM不動産屋さんの女主人が自転車に乗って帰って来たところだった。玄関のドアを開けると、飼いネコが顔を出す。立ち止まって、手招きして呼ぶとトコトコと外へ出た来た。初対面のネコに挨拶、そしてカメラを向ける。「人懐っこいネコちゃんなんですよ」と、女飼主が自慢する割には駐車中のクルマの下に隠れたまま一向に出て来る気配がない。クルマの下はネコの隠れ場所の1つだが、逆にクルマに轢かれるリスクも高い危険なところ。ドライヴァーが駐車場からクルマを出す時は注意して欲しいですね。フラッシュの光の怯えたのだろうか?‥‥仕方がないのでローアングルで1枚撮る。ちょっと御機嫌斜めのようですが、クルマの下のネコ写真としては比較的良く撮れている方ではないかしら。

    ♯117│サビ│地域猫 ── ソラリ・キャットになりました
    サビくんから首輪とメダル(ネームプレート)が消えた。メダルには「サビくん」という名前と連絡先(Tel.)が記されていたが、やっぱり特定の飼主はいないのだろうか。飼い猫のトミーと一緒にサビくんもゴハンを御馳走になる。チビ猫のトミーとコロコロ肥ったサビくんの対比が面白い。飼い猫は飼主の家でしかゴハンを食べないけれど、地域猫は複数の家でも同じようにゴハンを貰っているのだろう。ノラ猫よりも飼い猫の方が丸々と肥っている場合が多いのだが、世渡り上手のサビくんは食べ過ぎてメタボ体型になってしまったのかもしれない。トミーとサビくんはCyber-shotのソラリ(Solarise)機能を使って撮っている。2枚のネコ写真を見較べてみれば分かるように、ズームで寄った方がソラリ効果が強く反映されるようです。トミーとサビくんも、出来れば喧嘩しないで仲良く暮らして下さい。

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    各記事のトップを飾ってくれた猫ちゃん(9匹)のプロフィールを紹介する「ネコ・カタログ」の第13集です。サムネイルをクリックすると掲載したネコ写真に、右下にあるナンバー表の数字をクリックすると該当紹介文にジャンプ、#ネコ・タイトルをクリックするとトップに戻ります。ノラ猫や地域猫、飼い猫を差別しない方針で、これまでに延べ100匹以上のネコちゃんを紹介して来ましたが、こんなにも多くのネコたちが棲息していることに驚かされます。トミー、ソラン、サビ‥‥は常連ネコ。「ネコ・ログ」以外の隠れネコを含めた全写真を見たい人は一覧カタログ〈101匹ネコちゃん大行進!〉〈CATS ー LIST〉を参照してね。『猫ジャケ2』(ミュージックマガジン 2009)に〈猫のスリスリ〉〈猫のノリータ〉で紹介した「ネコード」が4枚選ばれています。「猫である。」(BRUTUS 658)の「猫好き作家の猫文学」も要チェック!‥‥〈猫のゆりかご〉〈猫にふたたび〉〈猫とおさんぽ〉の中で紹介した「ネコ本」が7冊も選ばれています。あなたの街のネコたちにも愛とゴハンを‥‥。

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    • 2誌の表紙を飾った不思議顔の猫まこちゃんって、人気があるんですね^^
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    猫ジャケ 2 ── もっと素晴らしきネコードの世界

    猫ジャケ 2 ── もっと素晴らしきネコードの世界

    • 著者:原田 和典 / 清水 ミチコ / 山下 洋輔 / 小西 康陽 / 向井 秀徳
    • 出版社:ミュージックマガジン
    • 発売日:2009/03/13
    • メディア:雑誌
    • 目次:猫ジャケをナデナデする / 私が好きな1枚 / 子猫のかわいさは特別です。/ 兄弟なかよく。/ 冒険に目が釘づけ。/ 表情豊かに。/ そんなに見ないで。/ 食っちゃ寝。/ 座ってよし、立ってよし。/ 動いてもよし。/ 顔アップも実によし。/ 猫は女性が大好き。/ ミューズといっしょ。/ 今も昔も変わらぬ戯れの光景。/ さりげなく、...


    BRUTUS(658)2009年 3/15号

    BRUTUS(658)2009年 3/15号

    • 特集:猫である。
    • 出版社:マガジンハウス
    • 発売日:2009/03/02
    • メディア:雑誌


      猫好き作家の猫文学(猫本22冊)── BRUTUS 2009/3/15

    タグ:cats catalog
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    コメント 4

    ぶぅ

    こんにちわ。

    最近近所に住み着いている黒猫のやっちゃんにはまっています。
    ところが、ここ何日か彼女の姿が見えません。

    死んじゃったのでしょうか?
    無事でいてくれるといいのですが。

    すこしさびしくなっておじゃましました。

    それではまた^^
    by ぶぅ (2009-04-27 14:51) 

    蛇尾

    蛇尾です。
    『猫ジャケ』は、ネコと音楽好きにはたまりません。

    ボリュームの割には、価格が高いですが、2冊とも買っちゃいました。
    ニッパー犬のような、ネコとレコードを使ったレコードレーベルできませんかねぇ。
    by 蛇尾 (2009-04-27 17:33) 

    sknys

    ぶぅさん、コメントありがとう。
    都会では交通事故死の可能性もありますが‥‥。
    黒猫のやっちゃんは子連れで帰って来るかもしれません^^;

    老猫ラッキー(推定18歳)は元気でした。
    16年も飼っているそうです。
    近くのマンションで飼われていた
    日本代表ネコちゃん(金眼銀眼)の写真を見せてもらいました^^
    by sknys (2009-04-27 23:09) 

    sknys

    蛇尾さん、コメントありがとう。
    「猫ジャケ」シリーズは、ネコたちを見ているだけで心和みますよね^^
    『猫ジャケ2』で紹介されているVanessa da Mataの「猫ジャケ」は
    デビュー盤ではなく、2ndアルバムです。

    「His Master's Voice」のワンちゃんですね。
    Big Cat、Fat Cat、Asthmatic Kitty‥‥など、
    ネコ・レーベルは色々ありますが、ネコとレコードの組み合わせはないかも。
    Tigerbeat6のトラ猫ちゃんが手に持っているのはノートかしら?
    http://userserve-ak.last.fm/serve/252/3752025.jpg
    by sknys (2009-04-27 23:29) 

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