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スニーズ・コメンツ #11 [c o m m e n t s]



▢ 苦難9度さ、血だ!‥‥尻餅突き土、森下千里クン泣く
39℃の高熱なのに一体どうして、こんな辛い目に遭わなくちゃならないのかしら?‥‥森下千里くんは円い土俵の上でフラフラの体だった。菊川怜主演の映画『フンドシしめちゃった2』への出演が決まってから連日、丸木戸部屋で稽古が続いていたからだ。スポーツ・ジムへ通うことを思えば、仕事も兼ねた基礎体力作りは願ってもないチャンス。「女相撲」にも興味があったし、ボクシングや柔道よりは痛くないのでは‥‥高を括っていたのが大きな間違いだった。大股開きのシコ踏みも終わり、立ち合いの稽古。頭を低く下げて文字通りの猪突猛進!‥‥思いっきりダッシュして体当たりしたのに相手の力士はビクとも動じない。反対に撥ね付けられて土俵に尻餅を突いてしまった。オマケに激突した時の衝撃で鼻血ブー。気がついた時は病院のベッドの上で点滴を受けていた。「おのれ佐渡の海、少しは手加減しろよな。今に見ていろ、本番では菊川怜を同じ目に遭わせてやる」と、早くもガチンコ対決に闘志を燃やしていた。

▢ 仕切りの塩足し、女避難、押し倒しの力士
円い土俵の中は女人禁制の「聖地」になっているらしいが、男女差別だとか男尊女卑だとか言い張って土俵に立とうとする女性たちがいます。どうせなら「女」としてではなく「女力士」として土を踏んだらどうでしょうか。女性の相撲ファンが増えたことが発言力の源泉になっているのかもしれません(ある女性の横綱審議委員はモンゴル出身の横綱を強く非難していました)。大量の塩を土俵上に撒くことで有名な力士の取り組みで、塩に脚を捕られて滑ったのか、勢い余って押し倒した相手力士もろとも土俵下へ転落したことがありました。あの時の桟敷席の女性たちの慌てふためきようは愉快だったなぁ。相撲好きの女たちはK-1やボクシングの試合を観戦するのと同じような目で「大相撲」を観ているのか、それとも「国技」という神聖な儀式として眺めているのか‥‥良く分かりませんね。もちろん相撲好きの女にも男にも、全く興味はないのですが。

▢ 弟子を怒ったムンク君、無駄遣いをして‥‥
人妻のミリー・タウロウ、司法長官の娘オーダ・クローグ、医者の娘でノルウェー首相の姪のダグニー・ユール、絵描き仲間のオーセ・ヌッレガール、ヴァイオリン奏者のエヴァ・ムドッチ、ワイン商の娘トゥッラ・ラーセン‥‥生涯独身者として生きたエドヴァルド・ムンクは女性に不自由しなかった。子孫を1人も残さなかったので「ムンクの娘」は存在しないが、エーケリーの屋敷ヘ隠遁した後も、家政婦兼モデル志願の若い女性たちがムンクの許を訪れた。モローにおけるマチスとルオーのように、ムンクにも弟子と呼ぶに相応しい画家がいただろうか。実は2人だけムンクに愛弟子がいたらしい。1人はスー・プリドーの『ムンク伝』にも登場するルドヴィク・カールステン。もう1人が出来の悪い弟子で、仕事はサボる、勝手に金銭を持ち出しては恋人たちに貢ぐ。自由恋愛が苦痛しか生み出さないことを身を持って体験していたムンク君は何度も説得を試みたが一向に改まる気配がない。1度だけ本気で怒ったことがあった。ある日、弟子は画材を買いに行ったまま2度と戻って来なかった。だから「女」は信用出来ないんだ!‥‥「ムンクの弟子」も「娘」だったのだ。

▢ 嫁棲むな、悪意感じ敏感。「美人がイグアナ娘よ」
東京郊外に建つ洋館には古い言い伝えが今も語り継がれている。その昔、飼っていたペットのイグアナの後を追って路上へ飛び出した1人娘がクルマに轢かれて死んだ。逆上した父親は逃げたイグアナを八つ裂きにして殺したという。それ以来、この屋敷に「イグアナの娘」が産まれるようになった。人間の少女と外見は全く変わらないが、1つだけ決定的な違いがある。写真や鏡に映る姿が「イグアナ」なのだ。従って室内に写真や鏡は1枚もないし、窓も磨りガラス、顔が映るような表面がツルツルした陶器や金属類などは食器からドアノブに至るまで徹底的に排除されている。「イグアナの娘」は本人にも親兄弟姉妹にも明かされることはない。「イグアナの娘」は結婚するとイグアナの呪いが解けて元の人間に戻ると言われている。その娘が嫁ぐか死ぬかした後で新たな「イグアナの娘」が1人産まれるらしい。

イグアナ家の長男と結婚したM子によると、育美、久美、麻美、奈美の4姉妹の中の1人が「イグアナ娘」だという。近隣では口悪く「呪いのイグアナ4姉妹」などと揶揄されているように、外から来た女性‥‥特に若い「嫁」には悪意を持っているらしく、新婚早々のM子も冷血な爬虫類の娘たちらしいイジメに遭って神経過敏になっていた。躰は疲れているのに気が昂って眠れぬ夜もあった。ある夜、夢か幻か、意外と可愛いイグアナの霊が夢枕に立ってM子に告げた──「美人がイグアナ娘よ」。次の日、事件は起こった。大理石造りの浴室で長女の育美がバラバラ死体となって発見されたのだ。まるで八つ裂きにされたイグアナのような無惨な姿に変わり果てて。犯人は誰なのか、その犯行の動機は?‥‥本当にイグアナの呪いなのか、「イグアナ娘」は育美だったのか、謎は深まるばかり。綾取猫人の長編ミステリィ『イグアナ館の殺人』の第1章が始まった。

▢ リモコンTV、お化けは尾鰭てんこ盛り
白黒TVからカラーに代わっても暫くはダイヤル式のレバーをガチャガチャ回してチャンネルを切り替えていた記憶がある。いつ頃からリモコンTVになったのだろうか(今も現役の20年前のTVも本体には電源ボタンしか付いていない)。リモコンTVになって手軽にチャンネルを切り替えられるようになった。「ザッピング」という視聴方法も、『レス・ザン・ゼロ』の主人公のように音声をミュート(消音)してMTVを視る80年代のスタイルもリモコンTV以降のことだろう。都内某所の心霊スポット、バブルが弾けて建設途中のまま放置されている高層マンション‥‥そこに毎夜、子供の幽霊が出没するという。K探険隊一行(K隊長、インチキ霊能師E、リアクション芸人D、グラドルM)が幽霊マンションの前に着く。ラップ音、ポスターガイスト、心霊現象(写真)‥‥Kが狼狽え、Dが絶叫し、Mが泣き出し、Eが講釈する典型的な「ヤラセ番組」。日本のオバケには実体も下半身もないけれど、グロテスクな深海魚の生け作りのように尾鰭だけが誇張される。山岸凉子の「汐の声」の方が遙かに怖かったなぁ‥‥と思って、リモコンでTVの電源を切る。

▢ 奇異の眼差しガス爆発、吐く恥ずかしさ、生(なま)の息
飛行機が墜落したのか、それとも爆弾が投下されたのか、耳を劈く大爆発音と共に爆風が起こり、店内の窓ガラスが粉々に砕け散った。慌てて外に跳び出すともの凄い量の風塵が真夏の積乱雲のように地上を覆って逼って来る。野次馬根性で爆心地へ近づいて行った群集も事態の大きさに怖れをなしたのか反対方向へ一目散に逃げて行く。私も全速力で駆け出した。100mほど走ってゼイゼイと肩で息を吐く。いつの間にか裸足になっていて、赤いハイヒールがトートバッグの中に入っていた。9・11を思い出させる世界の終わりのような光景に反して、逃げ惑う人間たちは自分も含めて滑稽だった。彼と一緒でなくて良かった。いや、一緒の方が良かった?‥‥一体どうやって帰宅したのか全く記憶にない。TVの臨時ニュースは老朽化した雑居ビルのガス漏れが爆発の原因だったと伝えていた。

▢ 弾薬破裂、混乱、子連れは悔やんだ
旧陸軍の造兵廠跡地で不発弾が発見された。第2次大戦中に米軍の爆撃機が落としたものなのか日本軍のものなのかは不明だが、半径500m以内の近隣住民に強制避難命令が勧告されて、圏外の公立校の校庭や体育館、公園や公民館への移動を余儀なくされた。爆発物処理班が不発弾の信管を抜いて幸いにも事なきを得た。住民への避難命令が解除されたのは5時間後のことだった。もし、住宅地や市街地の地中に眠っている不発弾が突然爆発したら?‥‥と、母親は想像する。60年以上前の爆弾が自然に爆発する可能性は低いかもしれない。でも、地球上には真新しい地雷や空から降って来たクラスター爆弾の子爆弾が地中に埋まっている地域もある。近くで爆発が起こったら一体どうするか?‥‥たとえ自分の子供たちが無事だとしても、心的外傷後ストレス障害(PTSD)が懸念される。「地雷廃絶、空から落ちて来る地雷なんて、悪魔の兵器だ!」

▢ 殺気立つ惨劇、店主死んで危険去った喫茶
その喫茶店内は殺気立っていた。通り魔による無差別殺人は往来を歩いている通行人たちだけに限られるという常識は通用しない。駅構内や車内、駅ビルやコンビニ店内でも起こり得るのだ。ナイフや包丁などの凶器を振り回す無差別殺人は、繁華街や店内、校内‥‥たとえ日本全国の至るところに監視カメラを設置しようとも、制服警官のパトロールを強化しようとも完全に防ぐことは出来ない。自らの死を代償とした「自爆テロ」を止められないのと同じである。死刑になることを望んで殺人を犯す人間に死刑を宣告してみたところで、殺人犯の思うツボ(願ったり叶ったり?)、盗人に追い銭のようなもの。死刑を存続する厳罰化は犯罪抑止効果には繋がらない。ある作家が「裁判員制度」ではなく「死刑執行人制度」を採用したらどうかと新聞誌上に書いていた。法務大臣もシッコウニンギョ(執行人魚)の中に入って、新制度普及のPR活動に励むのでしょうか。

喫茶店内へ侵入して来た男は幸いにも無差別殺人者ではなかった。客を人質に立て籠って無茶な要求をするテロ・グループの一員でも、暴力団構成員でも、政治犯でもなかった。容疑者は喫茶店で働いていた元従業員。店主への個人的な恨みによる凶行だった。包丁で店主を惨殺した後で、男は犯行動機を静かに語り、警察へ電話した。人質となってネゴシエーターとの交渉を見守る、徐々に解放される人質、犯人への共感‥‥など、映画のような息詰まる展開を半ば期待していた数十人の客たちはホッと安堵すると同時に気が抜けた。張り詰めていた空気が緩んで談笑が復活する。我が身の安全が担保されると、惨殺死体をバックにケータイで記念写真を撮ったり、家族や友人、知人へ事件の顛末を嬉しそうに喋る輩もいる。遠くから弛緩したパトカーのサイレンが聞こえて来た。

▢ ループ、針の穴通すパス、大人あのリバプール!
英プレミア・リーグが開幕した。キーパーやディフェンダが長身選手ばかりになる昨今の傾向は仕方ないとしても、2mを越すFWクラウチの存在はズルいような気もする。サッカーはバスケットやバレーボールのように身長差が選手の優劣を決定する競技、必ずしも長身選手が有利な球技ではないと思っているので‥‥。そのクラウチが抜けてロビー・キーンが新加入したリバプール。マンU、アーセナル、チェルシーと並んで4強のビッグ・クラブと言われながら長らくリーグ優勝から遠ざかっている。プレミア・リーグは守備重視のセリエAとは異なって、パス交換もワンタッチで、パス・スピードも展開も縦に直線的で速い。状況判断と脚の速さがないと通用しそうにない。ジェラードの針の穴を通すように精確なスルーパス、フェルナンド・トーレスのキーパーの頭を越すループ・シュート‥‥激しいタックルに遭っても何事もなかったように受け流す。大人だなぁ〜と思います。

▢ 妊娠経過にケイト・ブッシュ、実父と行け!‥‥2回健診に
《Aerial》(EMI 2005)はKate Bushの12年振りのアルバム。「A Sea Of Honey」「A Sky Of Honey」という2部構成で、全16曲がCD2枚にゆったりと収まっている。〈King Of The Mountain〉はElvis Presleyのことを歌ったレゲエ曲。〈π〉は3.141592...という円周率を擬人化した6拍子曲。12年のブランクの間に彼女の身に大き変化があった。1998年に男児を出産したのだ。俗に言う未婚の母、父親の名前が伏せられているのは相手の家庭を慮ってのことかもしれない(ギタリストのDan Mclntoshという説が有力)。愛息の名前はバーティ(Bertie)で、3曲目のタイトルにもなっている。インナー(歌詞カード)にはバーティ君の写真や自筆のイラスト(山頂の風見鳥?)なども添えられていた。Kate Bushは2回健診に行く。1回目は実父のRobertと、2回目は産まれて来る子供の父親と‥‥。母親になって「魔性」が薄れたような気もしますが。

                    *
  • 回文と本文はフィクションです。一部で実名も登場しますが、該当者を故意に誹謗・中傷するものではありません。純粋な「言葉遊び」として愉しんで下さい

  • ケイト・ブッシュ回文は「スニンクスなぞなぞ回文 #12」の解答です^^

 スニンクスなぞなぞ回文 #13

 留守番◯◇△▢☆◎よ◎☆▢△◇◯んばする

 回文作成:sknys

 ヒント:マタニティー・ミュージック?



                    *





イグアナの娘

イグアナの娘

  • 著者:萩尾 望都
  • 出版社:小学館
  • 発売日:2000/12/10
  • メディア:文庫
  • 収録作品:イグアナの娘 / 帰ってくる子 / カタルシス / 午後の日射し / 学校へ行くクスリ / 友人K


Aerial

Aerial

  • Artist: Kate Bush
  • Label: EMI
  • Date: 2005/11/07
  • Media: Audio CD(2CD)
  • Songs: King Of The Mountain / π / Bertie / Mrs. Bartolozzi / How To Be Invisible / Joanni / A Coral Room // Prelude / Prologue / An Architect's Dream / The Painter's Link / Sunset / Aerial Tal / Somewhere In Between / Nocturn / Aerial

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コメント 2

miyuco

こんにちは。
sknysさんのコメントが纏めてありますが
リンクを辿ると必然的にコメントへの返信が
引っ張り出されるということですよね。
…今さら気づいた…
本文へは当然細心の注意をはらいますが
コメント欄にはお気楽に返信している事もあるので
気を引き締めなければ!と思った次第でございます。
sknysさんへの返信はちゃんと考えて書いてます
…というつもりです^^;

by miyuco (2008-09-24 16:51) 

sknys

miyucoさん、コメントありがとう。
深読みしすぎです^^;
コメントした記事を読んで欲しいというリンクなので、
コメント欄(#comments)にはリンクしていません。
「スニコメ」の読者がリンク先の元記事を読むとは限らないし、
まして「返信」まで読む人は少ないのではないかと‥‥。

お気楽なコメントには気楽な返信で、
マジコメにはマジレスで良いのではないでしょうか。
「‥‥大島弓子 “祭り”」へのコメントは茶化しちゃいましたが^^;
ライヴァル(?)の黒木さんも、《なにを隠そう、私はドストエフスキーを
1冊も読んだことがない》と書いています。
by sknys (2008-09-24 21:23) 

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